明日の空 vol.5
第五章「嬉しいお裾分け」
今日は、なんのビール買っていこうかなぁ。それとも、たまにはビール以外のお酒買っていってみようかな。(あー、ビールの他に何呑むか聞いておけば良かった。)気になるおつまみこの前コンビニで見かけたから買っていこう!
と、すっかり屋上で過ごす夜の時間が生活の一部になりかけている。
会社から一旦家に帰ってから、すっぴんそしてラフな服に着替えてコンビニでビールとハイボール、気になっていたおつまみとおにぎりを買って足取りも軽く団地へ向かう。(晩ごはんは、もっぱら屋上だ。)
屋上へ続く扉をあけて、歩いていくとぽんずさんが、元気に手をふり出迎えてくれる。
「ぽんずさん、ハイボール呑めます?」と私が聞くと、両手で大きく円を作って「ハイボールも好きっす!」と笑顔で言ってくれた。
ぽんずさんは、酒を毎回買ってきてくれるのは忍びないと、私は全く気にもしていないけど、おつまみ?おかずを作って持ってきてくれる。これが旨い。
「今日は、鶏皮の照り焼きとほうれん草の白和え作ってきました。鳥の身の方は、私がお昼に美味しくいただきました(笑)」とぽんずさんは言った。
「鶏皮も白和えも好きですっ。ありがとうぽんずさん!嬉しい。身より皮が好き!」といい切る前に、つまんでいる私。
「ちなみに、たみちゃんさ、果実酒とかいける口?」とぽんずさんは言った。
「いいっすね!」と私も両手で円を作って◯と答える。
「この団地、梅とかゆずとか金柑とか豊作なのよ。ここだけの話、実は、こっそりと管理人の父の目を盗んで植えた木がしっかり実ってまして。。」「季節ごとに、酒につけてリキュール作ったり、ジュース作ったり。もちろん、団地の皆さんへも時々振る舞ってますよ!独り占めはしませんよぉ。」とぽんずさんが教えてくれた。「ここだけの話ね。内緒ね。」と。
「それ、団地内にこんな木生えてたっけってウワサになりません?」と私は言った。
「みんなハテナとは、なってるけどそんな気にしないみたい。なんせ、食べれる実がなるのは嬉しいでしょ。」と持論を唱えるぽんずさん。
「理由はどうであれ、呑ませていただけるのはありがたいです!リキュール?ジュース?コツコツ仕込まなきゃいけないの苦手なんですよね。だめにしちゃいそうで。」と私は言った。
「あー、なんかたみちゃんっぽいよね。見たことないけど、お部屋もちょっと散らかってるでしょ!」とぽんずさんに言われた。
「最近出会ったばかりなのに、なかなか、言いますね。まっ!図星なのでグーの音もでませんけど。」と開き直って私は言った。
「ちなみに、ガリとか食べる?」とぽんずさん。
「ガリ…って、あの寿司の時に食べるガリですか?まぁ、普通に食べますけど。。」と言うと、「私、ガリも好きでさぁ、寿司というよりもガリを食べたくて寿司食べてるみたいな。ガリメインで、寿司添え物なの。ガリも季節になったら新生姜買ってきて作ってるからまた持参するわ!」と嬉しそうにぽんずさんは言った。
今日は、ぽんずさんのお手製おつまみとビール以外に新加入のハイボールも相まって屋上飲みが盛り上がっている。
次号へ続く…
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