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短編小説

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#青春ストーリー

逆襲の根明

逆襲の根明

「なぁ。俺達さ、もうどうせ生涯童貞なんだからさ、来年の三月風俗でも行こうぜ」

 信じられない。私の目の前で安くてまずい学食のラーメンをすする男は何を言っているのだ。こいつが童貞を守りながら学生生活を終えるというのは理解できる。もちろん生涯守り抜くことも。しかし、私ほどの男がそのような根暗な境遇にとらわれるなどありえない。

「何をバカなことを言っている。生涯童貞は貴様だけだろう」

 私の真の実

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短編小説:橋の下の秘宝

短編小説:橋の下の秘宝

 どうしてもだめだ。今日ずっと、昨日見つけたお宝のことが頭から離れない。まだ、あるだろうか。すぐにでも見たい。こんな気持ちになってしまうならビビらず、昨日の夜家に持って帰ればよかったんだ。

 昨日の放課後はオレとリョウタとアユムの三人だけで河川敷のグランドでサッカーをした。ほんとは仲のいいヒロとか、ナカちゃんとか、モリリンとかも誘った。リョウタもアユムも友達をいっぱい誘ったんだ。でも、やっぱり昨

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小説:週末課題戦線

小説:週末課題戦線

 週末課題、それは存在してはいけないものである。週末課題、それは歴史に名を連ねる暴君も震えあがるほどにサディスティックな高校教師が我々の休息や青春を亡き者にしてやろうと編み出した拷問である。私が週末課題をやってこないのはこの圧政に異を唱えるためである。我々の青春を邪魔しないでくれという我々の無言の抗議だ。これは革命のためであって断じて週末課題をやるのがめんどうくさいわけではない。

 2年生になっ

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