UFOキャッチャーという悪魔の誘惑
子どもを持つ親の間で、
あいつだけには近寄らない方いい
という悪魔のような存在がある。
それがUFOキャッチャーだ。
クレーンゲームともいう。
100円入れてクレーンを操作。
目当ての物を掴んだ、
という喜びは束の間、
ポケットに行くまでに
無情にも落ちてしまう。
そして子どもの残念そうな顔を
見てしまうと、また100円を
投じてしまうのだ。
わずか30秒程度の娯楽。
あっという間に財布の中の
100円がなくなっていく。
たちが悪いのが、
たまに取れてしまうことだ。
(大抵は目当ての物ではないが)
まったく取れないのであれば、
二度とやるまいとなるのだが、
たまに取れてしまうので、
子どもにせがまれると
またやってしまう。
私は賭け事は一切やらないのだが、
なんとなくその魔力がわかる気がする。
とはいえ散財には違いないので、
なるべく近づかないようにしている。
だが、子どもと
ショッピングセンターに行くと、
あいつは遠くの方からその存在感を
放っているのだ。
そして今日も100円が飛んでいく。
すると、次男の方だけが
ぬいぐるみを取れてしまった。
帰りの電車では、
次男は初めての成果に喜ぶ一方、
長男は終始不機嫌だ。
何を言っても無言のままでたちが悪い。
やれやれ。子どもにねだられても
我慢してもらうことを覚えてもらわないと。
そんなことを思って翌朝、
子どものベッドに向かう。
次男がまだ起きてこないからだ。
次男は案の定、すやすや眠っていたが、
横に小さな枕があって
ぬいぐるみが丁寧に寝かされていた。
恐らく次男のしわざだ。
ぬいぐるみと一緒に寝たかったのだろう。
あれだけ片付けが苦手なのに、
物を大事にすることを
ちょっとは覚えたのかもしれない。
そうだとしたらやったかいも
あったのかもしれない。
まあ、でも、次は1年後くらいに
出会いたいところ。
子どもと街中を歩くときは、
UFOキャッチャーという悪魔の視線に
気を付けなければいけない。
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