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    元気になりたいときに。過去の私から今の私へ、今の私から未来の私へ。

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    しいたけ.さんの心に響いた記事たち。

最近の記事

横顔

「“まんまる”ってさ、誰が最初に言ったのかな。可愛いよね。まるじゃなくて、まんまる」 「たしかにね」 満月の夜、家の近くのウォーキングロードを散歩していた。蛍光のピカピカ光る首輪をつけた散歩中の犬が通り過ぎた。 「可愛いものってだいたい丸いよね。猫とかあざらしとかコロッケとか。私も丸くなったら可愛くなるかな」 「コロッケは知らんけど。君は丸くなくても可愛いよ」 今日の夕飯の話をするように言う君の横顔を見てこそばゆくなった。 ウォーキングロードに植えられた花が、月光

    • 片道

      仕事を休んだ。 9月末ながら、8月並みの猛暑日だった。真っ白な日差しと湿度がゆらめく道をのとのと歩き、駅に向かった。 特に行き先は決めていなかった。いつもの急行電車を見ると足がすくんでしまい、咄嗟に反対側の各停電車に逃げ込んだ。急行電車と違い列車が古く、冷房の効きが緩やかだった。日に焼けた座席に座り、ぼんやりと窓の外を見た。 平日の、昼間の鈍行列車の車内は体育館の倉庫のようだった。橙色の座席から舞うほこりが日差しの中でキラキラしていた。 働いていない時間を「余暇」とし

      • 押花

        「ピンポン」 なにか頼んだっけ、と思いながらモニターホンを覗くと、死神が立っていた。 昨日の夜に衝動的にポチったことを思い出した。 これだから深夜のネットショッピングは良くない。 ドアを開けて謝った。 「すみません、やっぱりキャンセルで」 「そうですか。わかりました」 死神は革張りの立派なノートに何かを書いた。 「何書いてるんですか?」と聞くと、死神はノートを見せてくれた。 見せて良いんだ……と内心思いつつ見ると、文字のようなものは書いてあるが、どうしても焦点

        • 思い出作って帰る

          約束が欲しい。 他人との約束だけでなく、自分との約束も。 夜眠って、朝、目が覚める。 当たり前のことだけど、すごく不思議。 眠ることは死で、起きることは生まれること、というような話を聞いたことがあるが、本当にそうだと思う。 明日も必ず目覚めると疑わずに毎日眠るけど、そうじゃないんだよね。 私は毎日生まれている。 眠って目が覚めなくなるまで、地球で生きる。 ほんの短いあいだ、地球で暮らす。 小さい体を借りて。 地球でいろんなことがしたいね。 時々空の上に帰

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        記事

          ずっと気になっていた『1年3セットの服で生きる』を読んだのですが、これは画期的。ワークを進めたら自分のなりたい像がはっきり見えた。洋服買いに行きたい。

          ずっと気になっていた『1年3セットの服で生きる』を読んだのですが、これは画期的。ワークを進めたら自分のなりたい像がはっきり見えた。洋服買いに行きたい。

          心の傷と向き合うこと。朝ドラの“よね”と“モネ”のことば

          木曜日の夜、私はテレビの前で泣いていた。 夕食を食べながら、その日の朝の「虎に翼」を観ていたのだ。 その週は、原爆裁判がメインテーマだった。視聴していない方に向けて簡単に説明すると、広島・長崎への原爆投下による被害を受けた市民が、国に対して損害賠償を求めた裁判である。主人公の寅子は裁判官として携わっており、原告側の弁護を寅子の友人である山田よねたちが担当していた。 その日の放送回では、原告(つまり原爆を受けた被害者)の1人が直接法廷に立ち、被害の苦しみを訴える日だった。

          心の傷と向き合うこと。朝ドラの“よね”と“モネ”のことば

          振り返ってみれば、常に心のどこかで母親の許可を求めていたように思う。でももう、求めなくていいんだよなぁ。

          振り返ってみれば、常に心のどこかで母親の許可を求めていたように思う。でももう、求めなくていいんだよなぁ。

          私は駄々をこねたかったんだよ、イヤイヤ期を、反抗期をやりたいんだよ。だからいっぱい駄々をこねさせてあげよ。

          私は駄々をこねたかったんだよ、イヤイヤ期を、反抗期をやりたいんだよ。だからいっぱい駄々をこねさせてあげよ。

          「望むことを許可する」の意味

          望んでもどうせ叶わないのなら、望まない方が楽だ、と思って諦め癖がついていた。 それでも、やっぱり心から納得していないと、鬱屈した感情が少しずつ溜まり、澱んでいく。しんどい。 望むことを許可しましょう 確かに、望むことを自分自身に許可することは大切だと思う。それでもなぜか、腑に落ち切っていなかった。 腑に落ち切らない理由がわかった。 「望むことを許可する」の理解がまだ浅かった。 望んでもどうせ叶わない 自分は望む資格はない そういう気持ちから、もしくは叶えたいと思

          「望むことを許可する」の意味

          その右手には

          仕事帰り、スーパーに寄って買い物をした。 スーパーを出ると灰色の雲が出ていて、今にも雨が降り出しそうだった。「家まで何とかもってくれ」と願いながら急ぎ足で帰る。 横断歩道を渡ろうとしたら、信号が点滅し始めたので慌てて走った。ふと目の前を見ると、男女のカップル。2人は手を繋いで走っていた。 私の右手には買い物袋。彼女の右手には彼の左手。  今週の食料を握る私と、今日、いやおそらくもっとずっと自分のそばにいてくれる人の手を握る彼女。 なんだか寂しくなった。 でも、「私

          その右手には

          作りたいレシピには、癒しがある。

          私は料理が「好き」か「嫌い」かで聞かれたら「嫌い」の方に傾くほうだし、やっぱり苦手だ。 それでも、食事は毎日しなきゃいけない。食は生きることのベースだ。外食は好きだし、スーパーやオリジンやコンビニで買うお惣菜も好き。(オリジンは神) ただ、美味しくてもずっと食べていると飽きる。胃も疲れてくる。 「料理は面倒だけど、体にいいもの食べたいなぁ、買ったものじゃなくて手づくりの味が食べたいなぁ」と思い、何とか頑張って自炊しよう、と漬物石みたいに重くなった腰をあげる。せめて、少しで

          作りたいレシピには、癒しがある。

          日々の営み、生活こそが最も貴いと感じる今日この頃。ただ、あとはその平凡な日々を共に歩むパートナーが欲しい……それだけなんだけどな、私の欲しいものは。

          日々の営み、生活こそが最も貴いと感じる今日この頃。ただ、あとはその平凡な日々を共に歩むパートナーが欲しい……それだけなんだけどな、私の欲しいものは。

          忘れないように

          立て続けに書いてしまうけど、忘れないように、書き残す。 やっぱり、不運が重なる時はある。 何で私ばかりこんな目に、どうして……と思うこと。 頑張ってきたはずなのに報われず、他の人ばかりうまくいき(そのように見える)、自分だけがうまくいかない。 後悔も罪悪感もたくさんあって、どんどん自分を責める。 不運だ、と嘆きながら、こうなったのは私が全部悪いからと思ってた。 もうこれなら、生きていても…… 正直、終了ボタンを押しそうになったこともある。どんな言葉も心に響かず、もう、本当

          忘れないように

          思い込みを解く

          本当についさっき、気づいた。 私は自罰的なところがある。 自分は○○してしまったから、バチがあたる、そのぶん苦労しなければいけない、良い人間になるためにはもっと努力して、苦労して、苦しみや悲しみを味わい、自己犠牲しなければ、私は永遠に未熟で、幸せにはなれない……苦しみを避けて幸せになろうだなんてムシが良い…… 書いている今この瞬間ですでに思うけど、そこまで自分を追い詰めなくても、というほどに自分に厳しい。 でも心のどこかで、修行しなければいけない、苦労しなければ、と思

          思い込みを解く

          ここ半年くらいずっと非常事態をなんとか這いつくばって生きていてたのだけど、ようやく穏やかな日常を取り戻しつつある。本を読んだりnoteを書くゆとりも出てきて嬉しい。

          ここ半年くらいずっと非常事態をなんとか這いつくばって生きていてたのだけど、ようやく穏やかな日常を取り戻しつつある。本を読んだりnoteを書くゆとりも出てきて嬉しい。

          アートの力、場の魔力

          美術作家・白水麻耶子さんの展示を見るため、高円寺の絵本屋さん、えほんやるすばんばんするかいしゃに行った。 森のようだ、と思った。 お店の奥にある展示スペースに入るとはっきりと「別世界に入った」と感じた。 白水さんの描く白い犬のような、馬のような不思議な動物たちに迎えられる。彼らは神様のようにも見えるし、人が獣に姿を変えたようにも見える。畏怖と、あたたかさを感じる不思議な感覚。 人間の世界とファンタジーの世界の境界線が曖昧になった空間にいるようだった。 柔らかな照明と、

          アートの力、場の魔力