その右手には
仕事帰り、スーパーに寄って買い物をした。
スーパーを出ると灰色の雲が出ていて、今にも雨が降り出しそうだった。「家まで何とかもってくれ」と願いながら急ぎ足で帰る。
横断歩道を渡ろうとしたら、信号が点滅し始めたので慌てて走った。ふと目の前を見ると、男女のカップル。2人は手を繋いで走っていた。
私の右手には買い物袋。彼女の右手には彼の左手。
今週の食料を握る私と、今日、いやおそらくもっとずっと自分のそばにいてくれる人の手を握る彼女。
なんだか寂しくなった。
でも、「私は自分で自分を生かしているのだ。誇り高い右手だ」と自分を励まし、家に帰った。
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