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【小説】 紅(アカ) 別の世界とその続き 第17話

第17話

買い物はとりあえずこの間、出かけた時に見かけた肉屋に向かった。
外食はまだ落ち着かない。何か食材を買って帰ろうと思った。
 
肉屋に着くと、店の一番良いステーキ肉を指差して
「これを二枚ください」と言ってみた。
店主は「特選ロース二枚だね」と言って、肉を包み始めた。

いつもなら、何かのお祝いや自分へのご褒美の時に買う肉だったが、お金が要らないならと贅沢に二枚注文した。

店主はにこりと笑って、肉を差し出した。
「はい、特選ロース二枚ね。……また、洋服も作って貰いに行くからね」
と言いながら僕に渡した。僕は一応、
「あの、お金はどうしましょう……」
と小さな声で言ってみたけれど、
「お金って?」
と、期待していた答えが返ってきたので、ほっとして、
「いや、何でも無いです。じゃあ、ありがとう」と、そそくさと店を後にした。

少しして、後を追ってきたりしないかと後ろを振り向いてみたが、店主は僕を追ってきたりはしなかった。

何だか、悪い事でもした様な変な気分だ。
けれど僕はすぐに要領を覚えてその後も野菜をもらったり、果物をもらったりした。

タダでもらい放題だ!
 
 
 
 

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