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〇〇〇状態で学習すると学力向上に効果的!?

2022年3月末まで、私は離島にある小さな中学校で数学を教えていました。
少人数であるがゆえに臨機応変に対応できるという利点を生かし、
学力向上のために思いついたアイデアや知り得たエビデンスを
次々と実行し、

効果があれば継続
効果がなければ廃止

というように試行錯誤を繰り返していました。

勉強するときの姿勢

その実践の1つとして

【50分間、立った状態で学習する】

ということを2019年度から実施しました。

以前、投稿した記事で紹介したシータ波という記憶を促進する脳波は、
歩くと自動的に現れることがわかっているので、

(歩きまわりながら授業をすることは難しいけど、
 それに近い立ったままの状態で学習すれば、
 少しはシータ波が出るのでは?)

と考えたことがきっかけになり、早速試してみました。

もちろん、立ったままだと机の位置が低すぎるので、
段ボール箱を人数分準備し、その上に美術で使う画板を置き、
無理なく自然な姿勢でノートが書けるように高さを調整しました。

最初は、生徒たちも長い時間立ったままで学習することによる
違和感や疲労感を覚えていましたが、
数回行うと慣れてきて、
立った状態で数学の勉強をすることが当たり前になりました。

そして、私が退職するまでの3年間実施した結果、
科学的な検証を行ったわけではありませんので
私の主観的な評価にはなりますが、かなりの学習効果があると感じました。
着席している状態にくらべて

・理解力などの認知能力の向上
・知識の定着率の増加
・数学的な思考力の改善
・集中力の増大

などの効果が見られました。
因果関係は定かではありませんが、
実際、試験結果にもつながっており、
他教科にくらべて数学だけが突出するようになりました。

当時の校長も考え事をするときに、
立った状態のほうが捗ることを実感していたようなので、
私の実践に理解を示してくれていたことも
良い結果につながったのだと思います。

また、最近読んだ本にも

スタンディングデスクの使用が
生徒の実行機能(計画や意思決定において極めて重要な能力)の強化や、
作業に取り組む集中力の高まりにつながる
※成人の場合、スタンディングデスクでの作業によって生産性が上がる

アニー・マーフィー・ポール,2022,『脳の外で考える』,ダイヤモンド社

という記述を見つけ、私の行ってきた実践が
生徒たちにとって有益であったことを確信できました。

学校全体での取り組み

そこでこの【立った状態で学習する】という方法は
小規模校だからこそできる実践で
      かつ
誰でもできるお手軽な方法なので、

他の先生方にも推奨し、教科全体の学力の底上げができないかと
画策してみました。

しかし推奨した後も、数学の授業以外、
座った状態での授業を継続しており、
学校全体での実施には至りませんでした。

数学の授業で効果があることを認めている先生方も多かったのですが、
残念ながら
『今までやってきたこと大切にする』
というアップデートしにくい気質が
学校にはまだまだ根強く残っているようです。
もしくは私の人徳の無さが原因だったかもしれませんが…。

まとめ

私の周囲には、なかなか広まりませんでしたが、
立った状態で学習すれば学力向上に対する効果が期待できると思います。

だから別に学校だけでなく、個人的に

じっくり考え事をしたい場合や
効率よく作業をしたい場合に、

立った状態で取り組めば有効に作用するので、私自身も重宝しております。
かなりコストパフォーマンスの高いエビデンスであると思いますが、
どうでしょうか。

ちなみに、ふと思ったんですが、
教師の意向で立ったままの授業を強制的に実施すれば、
エビデンスがあるにもかかわらず
「体罰だ!」
と訴えられたりするのでしょうか…
こんなリスクも考えなければならないとは、世知辛い世の中ですね…

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