【読書】9月に読んだ本
9月から夫の個展が始まったり、わたしの両親や夫の両親+姪がやってきたりと、なかなか忙しい日々を過ごしていたので読んだ本は3冊のみ。
読書の秋と言うけれど、そういや去年もこの時期から本が遠ざかっていたなあと思い出す。
というわけで、9月に読んだのはこちら。
異類婚姻譚 / 本谷有希子
違った種類の存在と人間が結婚するという説話の総称である「異類婚姻譚」。いつの間にか夫の顔が自分に似てきたと感じたことから、他人とひとつになる「夫婦」について考えるようになるサンちゃん。夫との結婚を引き換えに若くして専業主婦という地位を手に入れ、それに罪悪感はあるものの自分から働こうとはしないサンちゃんと、何もしたくないし働きたくもないだらしない夫。夫は何もしたくないが故に、サンちゃんの体に溶け込もうとして…。
夫婦の共依存みたいな関係を異類婚姻譚に例えているのかなと思った。4編収録されているが、どれもまるで日本昔ばなしのようだった。
コンビニ人間 / 村田沙耶香
数年ぶりに再読。芥川賞をぼちぼち読んでいるので、こちらも読み直してみた。
世間の大多数の「普通」と大きくずれた価値観を持つ恵子。コンビニというマニュアルでギチギチに固められた中でなら「普通」でいることができると信じ、18年間も同じコンビニでアルバイトし続けている。人の感情を読むことができないのに、人のことを客観的に分析できることや、数字にめっぽう強いところ、コンビニ以外の何にも執着しないところなど、恵子を表す極端さの描き方がうまいと思った。
あさひは失敗しない / 真下みこと
いわゆる毒親系の小説。主人公あさひは母親の過干渉を変だとは思っておらず、受け入れて生きてきた。お母さんがいちばんの理解者、友だち。そしてお母さんが言い続けてきた「あさひは失敗しない」というおまじないのような言葉を何の疑問もなく胸に刻んでいる。
失敗しないことは果たしていいことなのか。そりゃ恥をかかないに越したことはないけど、恥をかくからこそ人は成長していく。恥をかかないで育つ怖さを改めて思った。
10月につづく。
最後まで読んでいただきありがとうございます。よければまた、遊びに来てください。