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【妄想劇場】僕はもうすぐ、空を飛ぶ。

いつか空を飛びたい。
いつか願いは叶うんだ。

 あの空に届くよう
 手を伸ばす まだ足りない
 あの空に届くよう
 跳んでみる まだ飛べない

僕は空を飛びたい。
でも、なぜか僕には羽根がないので
空に降りてきてもらうしかない。

この地球は、オゾン層に包まれている。
つまり、風船だ。
だからきっと、息をいっぱい吸ったら
少しずつ、縮むんだ。

 あの空に届くよう
 息を吸う まだ足りない
 あの空に届くよう
 跳んでみる まだ飛べない

ならば、逆転の発想だ。
地面が空に近づけば良いんだ。
ジャンプして、大地を踏みつける。
いっぱいジャンプして、踏みつける。

日本の反対はブラジルらしい。
いつか、僕が大きくなる頃には、
ブラジルの山がもっと高くなるんだ。

いっぱい、大きく、息を吸う。
いっぱい、高く、跳びあがる。
いっぱい、強く、踏みつける。

 あの空に届くよう
 跳んでみる まだ足りない
 あの空に届くよう
 踏んでみる まだ足りない

これは時間がかかりそうだ。
とんでもない歳月をかけた計画だ。


空の高さは今日も変わらない。
でも大丈夫。
心配はいらないよ。
実は、とっても順調なんだ。

息を吸ったから、空は下がっている。
踏みつけたから、大地も下がっている。

うんうん。
日本では、空と大地の距離は変わらない。
理論上、問題ないね!

ブラジルでは、空が下がっていて
大地は上がっているから、
少しずつ、少しずつ、
空と大地が近づいているんだ。

ブラジルの人は、気づくだろうか?
まだ、バレたらマズいかな?
ニュースになってしまうかな?

いやいや、待てよ。
それは妙案だ。
僕一人の力では、まだ数年かかるだろうが
みんなの協力があれば、早まるハズ!

みんなに呼びかければいいんだ!
世界中で毎朝深呼吸を習慣にして
日本ではスキップ通勤を推奨して
ブラジルでは座禅を流行らせよう!

完璧だ!とても建設的!
とんでもない偉業になるぞ!


…あれ?


ここで僕は、
とんでもないことに気づく。

空と大地が近づいたとて
空を歩けるだけではないか?
空を飛んだと言えるのか?


…あーあ。
とんでもなかったな。


夢を見る人は、愚かで、とても魅力的。

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