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【詩】金だわしのカナちゃん

私はカナダワシ。
金属のたわし、カナダワシ。
カナちゃんってお呼びくださいまし。

どんな心の汚れでも
磨いて癒やして差し上げますわ。

ごしごし ごしごし カナダワシ

そんなに遠慮なさらないで。
いいのよ、私の生きがいだもの。

ごしごし ごしごし カナダワシ

ある日、私は傷付けた。
優しくしようと寄り添った。
あなたは望んでいなかった。

あなた無しでは生きられないのに
カナダワシでは埋められないのね

私は、悲しいカナダワシ。
私は、磨くのを辞めた。
私は、何者でも無くなった。

ある日、私は気付けた。
できることと、できないこと。
できるけれど、やらないこと。

あなたの傷を癒すことは私にはできない。
だけど、一緒に笑って喜んで
明るく輝かせることは私にしかできない。

ごしごし ごしごし カナダワシ
今ならちゃんと、できるかな私。

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