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【試し読み】『魔法のように人をズラす ラグビー最強のステップ』出版にあたって

トップリーグも開幕し、ラグビー変わらずに盛り上がってますね。
今回の新刊はラグビーのステップだけに特化した"究極"の技術本です。
2001年より日本代表で18年間プレー。通算5回のワールドカップに出場を誇り、様々な国際大会に出場しトップの成績を収め、2019年ワールドカップでは銅メダルを獲得された、タッチラグビー界のレジェンドでステッパーの奈良秀明氏がステップ理論を伝授します。
 全ラガーマン必読!本書から、奈良さんがこの本に込めた思い、ステップとの出会いを記した「出版にあたって」を公開します。発売日をお楽しみに~

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魔法のように人をズラす ラグビー最強のステップ
ニュージーランド式ステップデザイン

ページ数 288
判型 A5
本体価格 1800円
出版社 カンゼン
発売日 2021年3月22日

出版にあたって

 僕は現在ステッパーとして活動し、ラグビーのトップリーグ選手から小学生、ラクロスなどの対人スポーツの選手にグースステップをはじめとするニュージーランド式ステップを指導しています。指導している中でよく驚かれるのが、僕が高校まで野球をしていて、ラグビーに触れたのは大学に入ってからであること。みなさんは、僕が小さいころからラグビーをプレーしてグースステップを習得したと思うことが多いようです。僕がグースステップというものを知ったのは大学からはじめたタッチラグビーで、日本代表としてオーストラリア遠征に行ったとき。試合を観戦しているとニュージーランド人の選手がグースステップで相手選手を一発で抜き去ったのです。
 そのときはその選手が何をしたのかまったくわからず、まるで魔法を使ったかのように、一瞬で相手が地面に膝をつけて倒れているのです。
 自分の人生で見たことがないものを目の前で見た、あのときの感動は今でも忘れられません。そして、同時に自分もできるようになりたい。できるようになったらカッコいいし、見ている人に感動を与えたいと思いました。
 ただ一瞬の出来事すぎて、やり方なんてまったくわからない。かつ英語もまったくしゃべれなかったので、その選手に教えを乞うこともできない。そういう状況でしたが、ラッキーなことにその試合をチームがビデオに撮ってくれていました。
 そこから僕は、ダビングしたビデオをめちゃくちゃ観ました。コマ送りを何回もして、どうやっているのかを自分で分析し、実践してみる。そして、その実践した姿をビデオで撮る。当時はスマホなんてものはないのでビデオカメラで撮って、家に帰ってから比較をして、違いを発見しては修正して、再度実践の繰り返し。形がなんとなくできてきたら、それを実戦で試していきました。
 この繰り返しをひたすらやっていくと、気づいたときには僕の得意なプレーは「ステップ」となっていました。
 なので、僕は誰かにグースステップを教わったことはなく、「真似事」から自分自身の力で習得してきたのです。 
 今であればYouTubeなどでグースステップをする選手の姿をすぐ観ることができ、スマホで自分の動きをその場で撮影し、比較ができるので、恵まれた環境だと思います。なので、僕みたいな指導者がいなくてもグースステップはできるはずなのです。実際にニュージーランドでは、みんな子どもの頃から憧れの選手のグースステップを真似しているため、教わることなく、当たり前のようにグースステップをしています。
 それは実際に、グースステップなどを目にする機会が多いからなんだろうなと思います。
 日本でもニュージーランドのように、グースステップなどを日本人の選手たちが当たり前のように繰り出し、それに子どもたちが憧れ、真似をして、浸透していってほしい。そんな想いがあります。
 とはいえ、日本のラグビー界では、僕が指導するグースステップをはじめとするニュージーランド式ステップは「自分にはできないです」「ニュージーランド人だからできる」という考えがまだまだ根深いのが実情です。
 そこで僕が感じたのは、「ニュージーランド人ができて、日本人ができないと思う理由はなんだろう?」ということ。同じ人間で、身体の構造も一緒で、スピードに関しても日本人はむしろほかの国に比べて速いといわれている。なおさらできない理由はない。ただやり方を知らないだけなんだと。日本人でもできる。そういうことをみんなに伝えることで、みんなのマインドを「できない」から「できるんだ」に変えていこうと。

 またステップは「センス」というひと言でまとめられており、ステップが得意な選手、指導者のみなさんでもうまく言葉で伝えることができないという話をよく聞きます。
 それはなぜか?
 やり方をはじめ、なぜそれをするのかという言語化が、グースステップに関してはニュージーランドでもまだされていないからだと思います。
 僕はステップが好きすぎるがゆえに、それを人に伝えるために動きのひとつひとつを分解し、言語化していくことができました。つまり人に伝えることができるようになったので、2015年からニュージーランド式ステップレッスンをはじめ、多くの選手に発信していくようになりました。
 指導をしていくと、次のような声をよく聴きました。
 ・ステップを踏むがどうしてもDFを抜けない
 ・ステップの間合いがわからない
 ・自分の武器を手に入れたい
 ・オールブラックスの選手のようなステップをしたい
 ・ステップをきりたいがやり方がわからない
 ・ステップのコツを知りたい
 ・グースステップをできるようになりたい
 つまり、ステップを武器にしたい、グースステップをできるようになりたいというニーズがあることがわかっていきました。
 そして、僕がレッスンをすると指導者のみなさんが共通しておっしゃるのが、「自分が現役のときに知りたかった」のひと言!
 なぜそのひと言が出るかというと、ステップはセンスではなく、やり方を理解すれば誰でもできるということをレッスンを通じて実感していただいているからです。
 もちろん「やりたい」という意思があるのが前提ですが、誰でもやりたいと思えばできます。そして何歳からはじめても遅くありません。僕がステップに力を入れはじめたのは19歳で、37 歳となった今でもまだまだ自分の伸びしろを感じ、成長し続けています。レッスン受講者の中には30歳をすぎてから挑戦し、習得し、実戦で活用している方もいらっしゃいます。
 そのことを知らずに、「自分には無理だ!」と決めつけている選手、指導者が多いのです。
 この状況を変え、日本にグースステップが浸透する世界を作るため、書籍にてこれまで積み重ねてきたノウハウをみなさんにシェアしていきたいと思います。
 もちろん僕が書くことが絶対の正解ではないですが、ぜひ本書を参考にしていただき、最終的にはグースステップをはじめ、観ている人を感動させるオリジナルステップをみなさんに作っていただければ幸いです。

2021年2月 奈良秀明

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プロフィール

奈良秀明(なら・ひであき)
1983年3月29日東京都町田市出身。忠生高校から日本体育大学へ進学。2001年よりタッチラグビー日本代表で18年間プレー。通算5回のワールドカップに出場。 2011年タッチワールドカップではメンズクラス(男子の部)世界4位・日本チームMIPを獲得。様々な国際大会に出場しトップの成績を収めている。2019年ワールドカップでは銅メダルを獲得。日本初のステッパーとして、2015年にニュー ジーランド式ステップ指導プログラムを開発、また同年に日本初のタッチラグ ビースクール「町田ゼルビアBLUES」(JリーグFC町田ゼルビアのスポーツスクー ル)を設立して、小学生を対象に指導を開始。これまで7人制ラグビー日本代表選 手をはじめ小学生から社会人と幅広く指導を実践。約5000人に指導した実績を誇る。

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