見出し画像

【全文公開】彼等の野球ヒストリーを追ってみたいと思いました 『小さなプロ野球選手の履歴書』はじめに

球春到来!
2月になって各球団春季キャンプが始まりました。いよいよ野球の季節ですね!今年は3月にWBC(ワールドベースボールクラシック)も開催されますね。シーズンを待ちきれないこの時期に

『小さなプロ野球選手の履歴書』

というタイトルを2月9日に刊行!(一部地域によって遅れがございます)
身長が大きいとは言えない選手たち、指導者と本人の証言から『成功の秘訣』を紐解きます。
本日は本書の「はじめに」を全文公開です。ぜひ!

書影はAmazonへリンクします

『小さなプロ野球選手の履歴書』
ヤキュイク編集部 編
ISBNコード:978-4-86255-672-1
定価:1,870円(本体1,700円+税)
判型:四六判
ページ数:224P
発売日:2023年2月9日
出版社:カンゼン

プロ野球選手になるために一番必要なものは、『身長』ではない
指導者と本人の証言から紐解く『成功の秘訣』

「壁の越え方はひとつじゃない」――石川雅規
「体の小ささを言い訳にしない」――美馬学
「自分が決めたことを毎日続けて」――宮﨑敏郎
「この身長だからより一層頑張らないといけない」――小川泰弘
「自分に合った体の使い方を見つける」――宮城大弥
「身長や体重に関係なく活躍できるのが野球の魅力」――平良海馬
「体のサイズがハンデだと思ったことはない」――森友哉
「『体が小さくてもプロで活躍できる』、そんな夢を与えたい」――浅野翔吾

はじめに

 『ヤキュイク』という少年野球サイトをご存知でしょうか?
 「野球を通じて子どもたちに考える力を。」をモットーに、少年野球の指導者、保護者に向けて情報を発信するサイトです。
 そんなサイトもスタートして間もなく7年になります。スタート当初は少年野球をメインにしたメディアもほとんどなく、少年野球に関する情報も少なかったように思いますが、最近では少年野球の記事を目にする機会も多くなりました。
 必然的に『スーパー小学生』という表現を用いた記事も増えてきたように感じています。
 言葉の定義ははっきりしていませんが、小学生離れした体格から、投げては剛速球、打っては大ホームランを連発する、そんな選手を『スーパー小学生』と呼ぶのかもしれません。
 将来プロ野球選手になるには、そんな『スーパー小学生』と呼ばれるくらいでないとやっぱりダメなのでしょうか?
 そんなことはありません。中学、高校、大学へと進む中で、かつての『スーパー小学生』たちの名前が聞かれなくなる、そういうことも意外と多いのです。
 「小学生の頃に騒がれていたあの子、今どうしてるの?」
 「○○高校でベンチにも入ってないそうだよ」
 このような会話は、アマチュア野球の現場ではあるあるだったりします(その後もトップレベルであり続ける選手ももちろんいます)。
 反対に、体も小さく、目立った活躍もしていなかった「無名だった小学生」たちが成長するにつれて、かつての『スーパー小学生』たちを逆転するケースも多々あります。まるで童話の『うさぎとかめ』のような現象です。
 フィギュアスケートや卓球、ゴルフなどのスポーツは幼い頃からトップレベルだった選手たちが、その後もずっとトップ選手であり続けているイメージがありますが、野球の世界ではなぜ『うさぎとかめ』のような逆転現象が多く起こるのでしょうか?
 そこにヤキュイク編集部は以前から関心を持っていました。

 関心を持っていることがもう一つあります。
 それは近年、プロ野球の世界で身長の低い選手の活躍が目覚ましいという点です。
 昔から体の小さな選手はいましたが、どちからかというバントや盗塁などの小技が求められる1、2番を打つタイプの選手が多かったように思います。しかし現在では、森友哉選手(オリックス/ 170センチ)、宮﨑敏郎選手(DeNA / 172センチ)のように高い技術とパワーを兼ね備え、打線の中軸を担う選手も珍しくありません。昨シーズンまでオリックスの中心バッターだった身長173センチの吉田正尚選手も今年からメジャーリーグでプレーします。ピッチャーに目を移しても、平良海馬投手(西武)は173センチの身長から160キロ近い剛速球を投げ込み、球界を代表するリリーフ投手の1人になっています。

 プロの世界では体格に恵まれているとはいえない彼らは、いったいどんな少年野球時代を過ごしたのでしょうか?
 早熟タイプだったのでしょうか? あるいは子どもの頃から小さかったのでしょうか?
 身長の低さが現在のプレースタイルに影響を与えていることはあるのでしょうか?
 自分の体格とどのように向き合い、どんなふうに練習に取り組んできたのでしょうか?
 体が小さいことで壁にぶつかったとき、どのように乗り越えてきたのでしょうか?
 どのようにしてプロに注目される選手へとなったのでしょうか?

 そんなことを考えていると、彼等の野球ヒストリーを追ってみたいと思いました。

 体の小さなプロ野球選手たちが辿ってきた野球ヒストリーと、前述した『うさぎとかめ』の現象。この二つには何か関連性のようなものがあるのでしょうか?
 そんな思いが、この本を制作するきっかけになりました。

 体が小さかったり、線が細かったり、パワーがなかったり……。
 なかなか試合に出られない、思うように活躍できない選手もいるでしょう。
 体の大きい、パワーのある選手を前にすれば「自分なんて……」と思うこともあるでしょう。
 でも大丈夫です。この本に出てくる選手たちの多くも、かつては小さな野球少年の一人にすぎませんでした。彼等は体のサイズが小さくても一流のプロ野球選手になれることを、身をもって証明してくれているのですから。
 
 目先の結果よりも大事なものがある。今回の取材を通じて、そんなことを学ばせてもらった気がしています。
 この本が、野球に携わるすべての指導者、保護者の皆さんにとって、何かの参考になれば幸いです。
 そして、体の小さな野球少年、野球少女たちのみならず、プロ野球を目指すすべての人たちの夢に繋がってくれると嬉しいです。

プロフィール

ヤキュイク編集部
「野球を通した教育」がテーマの全国の野球少年保護者、指導者向け情報サイト。 大人はどのように子どもをサポートするべきか? 子どもの成長を引き出すためにどう関わるべきか? 保護者、指導者に役立つニュース、コラムを無料配信しているほか、小学生を対象に「ライフスキル」と「野球技術向上」をテーマにしたキャンプを、プロ野球球団と共に毎年実施している。

書誌情報

カンゼンWEBショップでも予約受付中です(¥3000以上のお買い物で送料無料)


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?