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神崎翼の創作小説

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投稿した創作小説をまとめてます。短編多め。同名義で「pixiv/小説家になろう/アルファポリス」にも投稿しています。
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#人外

疫病神の傍らで|短編小説

疫病神の傍らで|短編小説

 拾った吾子は、どうやら近辺の村から口減らしのために追い出されたそうだ。「なるほどなるほど」と頷いて聞いてやる。吾子はまだ布団の中だ。大雪の中にろくすっぽ寒さを遮ることのない薄着で放り出されたものだから、全身がしもやけのようになっているのだ。囲炉裏に火を入れ布団にくるみ、雪を溶かしてお湯も作ってやる。古く小さいが、その分隙間風は少ない家だ。じきに温まるだろう。ああ、全身が真っ赤になって可哀想に。

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魔物とは|短編小説

 リスポーンという言葉を御存じだろうか。ざっくり説明すると、殺されても同じ場所で再スタートするという意味だ。『スポーン』は産卵とか放卵という意味で、そこに『RE(リ)』、つまり再びという意味の言葉がくっついて出来た言葉である。
 魔物はリスポーンする生き物だ。死んだって生き返る。殺されたって生き返る。同じ場所で何度も何度も生まれ直す。死なないわけではない。どんなものにも終わるは来る。終わらないもの

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