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仮想世界と実社会の連続と境界/”人との関わり” -夜ドラ『VRおじさんの初恋』第14話までを終えて-

全32話という長尺のこのドラマ。
先週末には早くも1/3以上を終え、大きな展開が動き出しています。

15分枠ではありますが、各話の密度はとても高く
週4日の放送という比較的すぐ続きが観られる連続形式もあり、より魅入る気持ちが強くなります。

この御話で描かれている事は様々な立場の方に響くものに感じました。
折返し前にその辺りで少し記事を綴ってみたいと思います。

▼※当記事はtvドラマで初めてこの御話に触れる方を考慮し、未放送内容にあたる先の展開には触れません。但し、筆者は原作既読の為、核心は避けつつ少し原作との差異に触れる部分があります※


🖥私の立ち位置と、作品世界の”人との関わり”描写

△放送開始時に一度小さな記事も綴っておりましたので、宜しければそちらもご一緒に。

・原作漫画既読且つそちらに強く心震わされた作品ファン
・漫画作品の実写映像化大歓迎派
・普段からドラマよく観ます
・所謂VR Chat等のメタバースワールドに参加はしないものの、アバターを通じたSNS交流経験自体は各所にて現在進行系で有り

簡単に纏めるとそういった立ち位置の私です。

直樹自身語っていたように、VR世界に惹かれるからといって大勢でワイワイ交流を求める訳でもなくて、だからといって関わりを全部避けている訳ではなくて、どちらの立場に居る人でも全員が各々そうしたそれでいいと望んでいる訳でもなくて
これは誰にとっても仮想世界でも実社会でも同じものかと思われます。
そうした”人との関わり”と所謂”生きづらさ”のバランスを抱えている人は、今時特に存外多いものなのではないかと感じています。

直樹は、恋をしたホナミの実社会での本人を知って勿論意外性と戸惑いはあっても、だから嫌などではない事はドラマ14話で台詞として言及もされています。
にも関わらず、実社会でも逢いたがる穂波に対し、直樹は出来るだけ”VR世界でのナオキとホナミ”でいたい訳です。
穂波と直樹のお互いに求めるものの(あくまで現時点での)差異は、VRと実社会に対する向き合い方の差でもあり、これまで生きてきた人生経験による人との距離の取り方の差でもあります。

ドラマ版で掘り下げや追加された直樹の会社の同僚達の描写や関わりも本当に作品世界やテーマをより深くしているもので、変な話例えば加藤真美さんはテーマの違う作品(ドラマにせよアニメにせよ)なら「実は直樹の事が好きな若い女性同僚」みたいにされそうな処を、只々ああして加藤さん個人の生きづらさをもって直樹との関わりが描かれている事に非常に感嘆している次第です。。

少し作品外の話になりますが
”私の立ち位置”で触れた”VRChat系ではないアバターを通じたSNS交流”というのは、例えば今一番入れ込んでいる『ポケコロ』という今年13周年にもなる着替アバターSNSアプリがあり、これは掲示板以外にもルーム生成や所謂DM的な個人間のトークも可能で沢山のコミュニティも築かれているようながら
基本私にとってアバター”コロニアン”は、一般的に云われる”自分の分身”ではなく大切な”ウチの子”で(※公式としても”あなたのポケットの中の星に住むコロニアン”というのが”アバターのその子の位置付け”だったのもとても嬉しかったのでした)
その子とその住居を彩る事の楽しみを中心にあの世界に接しており、その想いが日々のお互いのコロニー来訪の交流の中でフレンドさんに伝わっていた様子がトークや贈り物で知れてちょっと泣いてしまったりなどあって。。
当初から交流は求めない姿勢でマイペースに接しながらもそうした人との関わりによる素敵な事もあり、
そして他の方のコロニアンの向こうに実社会での生活が垣間見える人などもおいでで、膨大なユーザーの、生きた誰かがこうして電子世界に集っている実感も日々あり、沢山の事を考えたりもするのでした。

位置情報ゲーム『Pokémon GO』『Pikmin Bloom』などでもコミュニティに参加せずとも他ユーザーとアバターを通じて交流する常備システムがあり、メッセージのやりとり無く外見とお名前だけでも個性を感じるもので不思議と”仲良くなっている”人も居たりもして、そして全世界規模のこれらアプリでふんわりした地域くらいしか判らなくともこの向こうに間違いなくどなたかも知れない”人”がおいでなんですよねと、これまた不思議な感覚もあるのでした。

でもきっと、実社会でも逢って仲良くしたいか/なれるか
みたいなとこって
そこはきっと人それぞれで。

以前綴った様々な”終了”に立ち会った記事▽で触れた”想い入れが重すぎた一番大きな経験”では、お互いずっとアバターだけを知っていた人達と直接逢う経験も実は何度か通っていたのでした。
やはり詳細は割愛したままに致しますが、そこには本当に、相手と場合による様々なものがありました。

件のVRChatでの交流や、それこそ”お砂糖”の関係にある人達すら、実社会を絡めた関係性は各々なんだろうなって、より密接な仮想世界でのそうした交流に、私以上に経験やこのドラマを通じて思うところが沢山ある方もきっと多いのだろうなと強く感じるのでした。
(処でドラマ内で”お砂糖関係”の説明したのちょっとびっくりしたよ..! でも今時色んな新しい事の知識がきちんと広がるのはよいことなのかも

そしてVRだけでない人と人の関わりの御話としても、色んな人に色んな立場で響く物語なのではないかと感じている次第です。
仮想世界というのは(どう接するかのやりようはあれど)決して異世界の幻想空間ではなく、あくまで現代社会における”人との関わりの形のひとつ”に他ならないはずです。


🖥実社会での”ホナミ”との邂逅の先

放送済部分に関し少しだけ原作未読の方にも明かしてしまうと、実は直樹が穂波の家を訊ねて実社会で逢ったあの展開は第一部の、というよりも元々のこの作品の”最初の”ラスト直前の展開でした。
この漫画作品はweb連載であの先の展開を経て一度完結していて、後に著者の暴力とも子氏が許可を得てnote公開したものがVRチャット系の話題としてネットで拡散され(※私もその機会に初めて読み衝撃を受けました)、大反響を呼び、ゼロサムオンラインでの加筆修正版掲載に加え、何と新規”第二部”の連載を経て単行本発売、そこで更にの描き下ろしを加え本当の完結に至りました。

△原作漫画の第一部と第二部序盤が掲載されている公式商業サイトです。第二部は僅かにドラマ14話以降の先にあたる部分もあるのでお気を付けて。

田中麗奈さん演じる”芦原飛鳥”の息子、柊木陽太くん演じる”葵”くんはその第二部からの登場人物です。
番組開始前にこのキャスト発表があった時点で、私はドラマ版は最初から第二部を見据えた再構築になると期待していて、正にその進み方をしていて
こうした”既知だが未知”の別媒体展開は本当に大好きでして。。
(アニメ版『マギアレコード』や映画版『DEATH NOTE』など、”原作の映像化”と”原作の再構築”を同時に編成する手法に非常にときめくのでした

因みにこれは勿論無断改変などではなくそもそも原作のプロットにあったものをドラマスタッフが丁寧に織り込んでいったものである事を、暴力氏ご自身が久々のnote記事として綴って下さっておりますのでこちらも是非後程ご一読下さい▽
(※詳細内容に関してはドラマ放送分までに控えて下さっておりますので原作未読の方もご安心を。。

(※余談ながら、記事内でも告知を繰り返されている氏の新連載『VRおばさんの暴力』に少しだけ個人的感想を触れると
”VRおばさん”とほぼ年齢の変わらない直樹は意図してああしたビジュアルであったのに対し、桜沢ツカサちゃんは”可愛く”描かれているんだなぁというのに幾つか思うところはあるのでした(ここも恐らく意図があって後々語られるのかも知れないのですが..(先手で暴力さんから言及されたのは「37歳はおばさんなのか」にだけだったので、ツカサビジュアルに関しては単に様々な事情なのかもとも思いつつ

キャストの話に戻し
ドラマ第一報で直樹が野間口徹さんというのがまずこれは..!となって、”ナオキ”の倉沢杏菜さんも”ホナミ”の井桁弘恵さんも期待を上乗せ、特にVR世界をCGやアニメーションでなく生身の演者さんで描こうというところに強い本気を感じたのでした。
そしてずっと伏せられていた穂波のキャスト
大御所が来そうとは思ってはいたものの坂東彌十郎さんは想定してなくて、まーびっくり且つ何とも成程と申しますか。。
私原作の”穂波”のビジュアルは完璧だと思っているのですが、そこに見た目を寄せずにちゃんと”穂波”なのも見事で。
ドラマ内でのリンクとしても、坂東さんの穂波が直樹を見てくしゃっとなる笑顔なんて、いげちゃんのホナミの笑い方にそっくりなんですよね。。

原作既読の方はお気付きでしょうが、実はドラマではホナミアバター利用停止手続きのくだりでの”お別れ”の台詞、物凄く印象深い”あの”台詞が削られているんですよね。
あれを観て私は単に削られたとは一切思わず、これってこの先あの台詞を持ってくる編成があるんだ..!と、わーっとなってしまったのでした。。
どのように魅せてくれるのか楽しみにしつつ
また、ドラマ完結後に色々と綴ってみたいと思う次第です。

ドラマで興味を持たれた方は先に原作単行本を買われて既読の後に追ってもよいでしょうし、あえてドラマ完結まで待ってそれからでもよいでしょうし
その辺りは現時点で原作未読の方の選択肢で羨ましいところです。
勿論既読だからこその楽しみもあるので、ここは各々の巡り逢わせというものではあります。。

個人的に何というか
素敵な映画を観て、原作を読んでみたらとてもシンプルで、でも原作の時点でエッセンスは全部詰まってたなぁと感じることってあるじゃないですか
そんな感じなのでしたドラマ『VRおじさんの初恋』。
(例えと私の経験は順逆ですけれど


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