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『セクシー田中さん』が良ドラマ作品であった話を今あえてしたい -全ての創作劇と全ての創作者のために-

漫画作家 芦原妃名子さんの訃報でこのタイトルを初めて知られた方もおいでやも知れません。
事件は知っていても、実際の漫画には/ドラマには/もしくはそのどちらにも触れてはいないという方も。

大変な事が起きてしまった事件そのものと別途、怖いのは
あの報道では、実際には原作を尊重し一個のドラマとしてもきちんとした内容で放送に至ったドラマ版『セクシー田中さん』なのに、「原作を踏み躙った酷い内容だったらしい」と捉える人も数多く出てしまうのではという事です。
実際、事件当初制作側や出版社を批難する”第三者”の声ではそうしたものを多く散見したものでした。

現在では「放送段階の完成したドラマ自体はかなり原作に忠実であった」事に触れた記事も出ておりますが、初報や概要伝聞の広がりに対しこうした丁寧な続報はなかなか届かない場合もあります。
勿論私個人のこの記事などよりそうではありましょうが、せめてもの記録のひとつとして。

漫画作品はまず作家の魂が込められ、商業ベースであれば多くの人の協力もあって発表されたものです。
映像作品はより膨大な数の人達が心血を注ぎ制作され結実したものです。
そのどちらもが
軽んじられる事の無きように祈りを添えて。

△事件後に綴った長文記事です。事件の概要自体を御存知ない方も、”経緯”の項目だけでも御参照頂けましたら


.。.:*『セクシー田中さん』というフィルムの結実/その結実の今後

総じてこの作品の魅力は、”原作”である芦原妃名子さんの漫画作品を既読の方は御存知のように
主人公の田中さんをはじめとする様々な人達の各々の”生きづらさ”、そして”それでも背筋を伸ばし前に進むこと”
その物語構築と人物描写にあります。

ドラマだけを御覧の方も同様であった事かと存じます。
つまり
ドラマでもそこが本当にきちんと描かれていたのです。

芦原先生御自身も放送前「楽しみ」とコメントされていた実写映像による音楽とベリーダンスの臨場感、これも見事なもので
第一話のSaliさん(※田中さんのダンサー名)の初登場シーン、本当に圧倒されたものでした。

生身の演者さんが漫画の登場人物を再現すること。
それは見た目を似せる以上に中身を演じることに他なりません。
前記事でも触れたように、メイン方面だけとっても木南晴夏さんの田中さんや生見愛瑠さんの朱里ちゃんは元より二人に関わる4人の男性陣の表現も各々素晴らしく、特に出色であったのが前田公輝さんの小西で、小西は見た目を然程寄せてはいないにも関わらず実に”小西”であった演技と魅力が本当に良かったんですよね。。

事件は、裏側の制作過程が発端で、その後の無思慮な脚本家個人の暴言発信とSNSの無数の第三者達の掻き回しによってあの顛末に至ってしまった、取り返しのつかない出来事です。
ですが、現場の制作スタッフや演者さんはそうした事情と全く別の処で只々全力で結実させたのがあのフィルムだった訳です。

今回の事件があって、その結実が世に残らなくなってしまうのではという懸念(※Blu-ray/DVD-boxの発売中止や配信取下や再放送不可能の可能性)がありました。
現状、事前からのスポンサー契約の関係かHuluの全話独占配信は残っており、とはいえその独占期間終了後は判りません。
パッケージソフトの発売は今のままではとても難しいはずです。

その結実を今後も多くの人が観る事の出来る環境をどうか残してほしいと強く願う他ありません。
芦原妃名子先生御自身も完成したドラマと制作スタッフ/俳優さん方や視聴者/読者らファンの皆さんに感謝を伝えて告発文を締められていました。
これが社交辞令ではない事は、実際にドラマを御覧になった方は特に原作ファンほど理解されたはずです。

そこを誤解されたまま、観る事の出来ない幻の作品になってしまわぬよう..。
あのしっかりしたドラマ版『セクシー田中さん』の完成に至る為に、連載中の身であれ程に消耗されながらも芦原先生は引き下がらずに粘り続けられたのですから……………………………….。

.。.:*動き始めた追求への路

事態を、言葉だけでなく重く捉えたと思われる、ドラマ版の制作放送局・日本テレビの新しい声明が先日発表されました。
小学館も含めた特別調査チームによる、今後の全ての創作者/演者が安心して作劇できる環境の為の、今回の問題の解明追求が始まるとの事。
▽以下が日テレホールディングス公式サイトで公開された声明文です(日テレ側でpdfになっています

https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/docs/20240215.pdf

(..この動き始めの件をネットニュースで知り、大元の声明を検索する中で、SNSでまた無責任な”第三者”達が無思慮に日テレを罵り続けている内容の報道を見掛け
本当に 芦原先生が亡くなられた流れを何も振り返っていない地獄はずっとあの場所にあるのだなと 感じた次第です

前回の記事では、”会社に責任がある”と言いSNSでの個人攻撃を諌めた日本テレビ(※今でも公式サイトのトップにその文言があります)に対して、作家を護るべき立場であったのにSNSに作家個人を踏み込ませながら何ら発信しない小学館の責任を私も問うておりましたが
一転、現場の編集者の方々も含めた強く真摯な言葉が発信されました。

懸念は 少しばかりの安堵に変わりました。
TV局と出版社と、各々の立場での、表面的ではないここまでの真摯な言葉が出て今回の事へ動き始めたのです。
只々、実際の現場の真実がどうであったのかの解明と、今後の為に何を構築出来るか。
そして
これはこの二社だけで終わる問題では決してない事は、業界の各所で大勢の人が感じているはずです。

メディアミックスに伴い起きる問題の種類はアニメ化も実写化も同じです。
そこが捻じ曲げられぬよう。
実写/アニメ問わず数多く生まれている素晴らしい映像化の機会を決して潰さぬよう。

媒体の移し替えによる広報手段について、沢山の事を見直し明文化する為に。
書籍映像問わず全ての創作者表現者を護る為に。

そして
SNSという地獄で”正義”を振るう無数の一般人を制する術はなくとも
そこに決して作家個人を、特に斯様な問題の渦中の人として不用意に踏み入れさせる事などあってはいけないと強く認識し会社が護る事は
可能な限り
どうか。

..どうしても
人が亡くなる事でしか問題が切り開かれない現実があるのは、何事もそうなのだと痛感しながらも
どうか
芦原妃名子さんという作家の命と引換えになってしまった今回の問題提起が
何らかの結実に至ってほしいと
願う次第です。

インフォメーション.。.:*

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(※続きの文字は御礼文面です

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