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映画『テラコッタ・ウォリア/秦俑』~甦った兵馬俑

前回、始皇帝に関する記事を投稿しました。
そこで、今回は、始皇帝繋がりの香港映画です。

映画の原題は、『古今大戦秦俑情』。

邦題の『テラコッタ・ウォリア』は、英語タイトル『A Terra-Cotta Warrior』をカタカナ読みしたものです。
( terracotta はイタリア語で焼いた土、つまり兵馬俑。warrior は戦士。)

1989年の香港映画、厳密に言えば、中華人民共和国と当時はまだイギリス領であった香港の共同製作です。

秦の始皇帝の時代から1930年代、さらに80年代の中国へ跳ぶ壮大なスケールの歴史浪漫、時空を超えた恋愛ファンタジーです。

日本ではほとんど無名の映画で、知っている人は少ないと思いますが、実はこの映画すごい豪華キャストなのです。

  監督: 程小東(チン・シウトン)
  主演男優: 張藝謀(チャン・イーモウ)
  主演女優: 鞏俐(コン・リー)
  主題歌: 葉蒨文(サリー・イップ)

張藝謀&鞏俐

張藝謀は、中国映画界の「第五世代」を代表する映画監督。この映画では、主演を務めています。

鞏俐は、数々の名作で主演を務めてきた中国のトップ女優。この映画では、一人三役をこなしています。

そして、特殊撮影には「香港のスピルバーグ」と呼ばれる巨匠徐克(ツイ・ハーク)の協力を得ています。

まず、どんな感じの映画か、概要はこちらでチェック ↓↓↓


では、あらすじです。ネタバレ注意!

時は始皇帝の治世。陵墓建造の指揮官であった将軍蒙天放もうてんほうは、始皇帝を刺客から守った手柄により始皇帝の側近に抜擢される。この世のすべてを手中にした暴君始皇帝は、不老不死の願望を抱いていた。そこで、仙薬を求めて、蓬莱国(=日本)へ童女500名を派遣する計画を企てる。蒙天放は、派遣団の童女の一人冬兒トンアルと道ならぬ恋に落ちる。二人の関係が発覚すると、冬兒は火炙りの刑に、天放は生きたまま土を塗られて俑にされる。ところが、冬兒は方士たちが精錬した不老不死の丸薬を密かに盗み出しており、処刑される前の最後の接吻で、その丸薬を天放に口移ししていた。
1930年代、映画の撮影隊が西安近郊にやってきた。主役の男優白雲飛パイユンフェイの真の目的は盗掘だった。撮影隊に加わっていた端役の女優朱莉莉チュー・リーリーは、冬兒の生まれ変わりだった。莉莉は盗掘の現場に遭遇してしまい、抹殺を謀った雲飛に乗せられた飛行機がたまたま始皇帝陵墓の中に墜落する。その衝撃で、陵墓内で俑となっていた蒙天放が甦る。天放は、莉莉が冬兒と信じ込んでいたものの余りに性格が違うので戸惑い、様変わりしてしまった世界に慨嘆する。白雲飛は、蒙天放の正体を知ると、不老不死の実物として売り飛ばそうとする。天放は乗せられた列車から脱出し、始皇帝陵へと向かう。盗掘団が入口を爆破すると、陵墓の仕掛けが動き出し、無数の兵馬俑が甦る。雲飛と天放が格闘する中、莉莉が銃で撃たれて絶命する。
そして現代(80年代)、始皇帝陵に日本人観光団がやって来る。不老不死の天放は、年取らぬまま兵馬俑博物館の修復作業員として働いていた。そこへ冬兒が再び生まれ変わった日本人の少女が現れる。


さて、面白そうだな、観てみようかな、という方は、こちら ↓↓↓
本編 120分のフルムービー、中国語+英語字幕版です。


荘厳でシリアスな前半、アクションコメディ風のサスペンスに変わる後半、そしてじーんと深い余韻の残るラストシーン。

「おすすめ名作映画」のハッシュタグを付けましたが、つまらなかったぞ、と言われるのが怖いので是非とは言いませんが、私の映画鑑賞歴の中では、イチ押し👍の1つです。

ちなみに、映画の原作は、香港の女流作家李碧華リヘキカの小説『秦俑しんよう』です。

李碧華は「時空穿越」(タイムスリップ)と「輪廻転生」(生まれ変わり)をテーマとした小説を多く著しています。

以前に記事を投稿した映画『さらば、わが愛/覇王別姫』と『ルージュ』も、李碧華の小説が原作です。


【付記】
『テラコッタ・ウォリア』の日本語字幕版、吹替版は、アマゾン、メルカリなどで入手できるようですが、いずれも VHS です。
また、現時点では、Netflix などでの配信はありません。

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