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体が弱くて情緒不安定だった29歳の私が漢方の世界に足を踏み入れた話


漢方って縁のある人には、当たり前の世界だけどそうじゃない人にはちょっと怪しさをまとった独特の世界だと思う。

最近では漢方を処方する病院も増えてきたり、ドラッグストアでも漢方薬コーナーを見かけるようになってきた。


身近になってきて気になる方も増えてきたのではないだろうか。

今回は私の漢方との出会いについての話である。


母にとって命の恩人は漢方だった



では、私がなぜ漢方の世界に足を踏み入れたのか?

実家が漢方薬局とか学校で学ぶ機会があったとかでもない。

お金や時間をかけて勉強して、その魅力を届けたいとまで思うようにまでになったのか?


大きな理由は二つある。

まず一つ目は、母親が漢方薬局に通っていたことだ。

私が幼い頃、母は下痢が一ヶ月以上治らず病院で検査をしまくったことがあった。
だが、原因不明で、乳酸菌の処方だけで終わってしまった。

つらい症状があって病院に行ったけど、「原因不明」と言われてしまいどうしようと途方に暮れた経験がある方もおられるかもしれない。



当時の母のように乳酸菌の服用だけでは治らず、食事の度にお腹を壊していたら家事も子育てもまともにできない。

このままでは生活に支障が出ると悩んでいた時、偶然見つけた漢方薬局の広告を見てははは、漢方薬を飲み始めた。

十日ほどでで食べてもお腹を壊さない日が増えてきた。
やがて母の下痢は治った。


母は、その時の話を何度もした。
私は、母が漢方で救われたのがよほど嬉しかったんだと子供心に思った。

このことから私は、「病院行ってもダメなら、漢方という手がある」という認識ができていた。


体が弱いことで、周りから理解されなかった


二つ目の理由は、私が幼い頃から体が弱かったからだ。
なんとかして体質改善したいと思っていた。

私は幼い頃から毎月カゼをひいて熱を出しては病院に行っていた。

中三の時、担任の先生に「こんなに欠席が多いと高校行けないよ」と言われた。
確かに同級生で、持病もないのに毎月何日も休む子は居なかった。
不登校を疑われて、先生が家庭訪問したことさえあった。

私は、悲しかった。
本当に体が弱いだけなのに責められることがつらかった。
母にも心配させてしまうのも心苦しかった。


病院に行くほどでもないとガマンした結果



私は、成長しても体は弱いままだった。

具体的な症状をあげると、

食が細くてまともに一人前食べられないから、一人で外食に行くにも店を選ばざるを得ない。

すぐ疲れちゃうから遊びに行くのも近場ばかり

風邪をひきやすく、一度ひくと治りが遅い

鼻炎と目の痒みが毎朝ある

とにかく忘れっぽい

などなど。

病院に行くほどでもないけど、日々の暮らしにちょっとずつ制限がある感じだ。

中でも、風邪をひくのが怖くて遊びに行くのを断ったり、仕事のシフトを減らしたりしていたのが辛かった。

「なんで私ばかり…」
「体が弱いのは私のせいじゃないのに」

と悲観的にものごとを見るように生きていた。

でも、私は特に何もしなかった。

病気じゃないから。
日常生活にそんなに大きな支障もないし。


漢方を飲んだのに


その後私は結婚して、専業主婦となった。

慣れない家事をこなしながら新生活を送っていたが、だんだん困ったことができていた。


それは、忘れっぽいことと、情緒不安定なことだ。

まず、忘れっぽいこと。
もともと忘れっぽい人だったが明らかに悪化していた。

皿洗いをしていて中に思い出したことをメモしに行こうと、手を止めてスマホを持ったらもう覚えていない。

ほんの一分も経ってない。
皿洗い終わるまでキリをつけてるどころじゃない。

一度記憶から消えたら、もう出てこない。
次に出てくるのは、買いそびれて困ってからだ。


1日に何回も「あれなんだっけ」と言っていた。
思い出せないことがあるたびにイライラしていた。


生理前のイライラがずっと続いてるみたいで辛かった。


忘れることによるミスや、イライラから八つ当たりされる家族にも迷惑をかけ続けていた。


そんな自分に嫌気がさしていて、さらにイライラするの繰り返しだった。

私はなんて未熟な人間なんだろうと自分を責めた。


そして、もう一つ情緒不安定なことだ。

私は子供の頃は、おとなしくて喜怒哀楽があまりない子だった。

ところが生活環境が激変し、なんでも自分でやらなければいけないようになった。
親のありがたみをひしひしと感じていた。

そのせいだろうか、
私には余裕が無くなっていた。

些細なことですぐにカッとなるようになっていた。
泣くことなんて怒られた時くらいだったのに、ちょっとしたことですぐ涙が出るようになっていた。


夫と外食にどこに行くか話していた時、「次は蕎麦にしよう」と言っていたのに「お寿司が良い」と言われてキレた。
怒りの炎は瞬く間に燃え盛り、夫が口を出すたびに何倍も怒り散らす有様だった。


あきらかにおかしい。

このままじゃいけない。
体質改善して穏やかな自分を取り戻そう…

そう思ってまず私は、独学で漢方の勉強を始めた。

いきなり漢方薬局に行くのはハードルが高かったのだ。
地理的にも心理的にも。

SNSで情報を集めたり、書店で初心者向けの本を買い漁ったりした。
ドラッグストアで私の症状の書いてある漢方薬を買って飲んだりもした。

そんな日が2年近く続いた。


肝心の私の体質はほとんど改善されなかった。

知識としては知ってるけど、行動や在り方をなにも変えなかったからだ。


漢方では養生と言われる体を整えるための様々なセルフケアの方法がある。

その養生を知っても、翌日には忘れていた。
ゆるくて続けやすい方法なんていっぱいあったのにやらなかった。


漢方の世界に足を踏み込む


何も改善されないまま、ある日私は風邪をこじらせた。

病院で処方された薬を飲み切っても咳が残って治らず、何回か病院に行った。

半年以上も咳が続き、肋骨を骨折し胸の痛い日々を過ごした。

痩せてたのがさらに痩せた。

さすがにしんどかった。

忘れっぽさも、怒りっぽさもそのまま残っていた。


そしてようやく私は漢方薬局に相談することに決めた。

独学の限界を感じたのだ。
専門家にこの悩みを聞いてほしい。
私を少しでも楽に動ける体にしてほしい。

そんな思いで決心した。

その時ちょうどコロナ禍でオンライン相談する薬局が増えていた。
近場に通える漢方がなかったので助かった。

私はSNSで繋がりのある先生を頼った。

そこから、咳が治るまで1ヶ月くらい。

まず、咳を治してから体質改善をした。
治ってから、体質改善に挑んだ。

漢方では、「標治と本治(ひょうちとほんち)」という考えがあり、
①標治:対症療法をして目の前のつらい症状をとり、
②本治:病気の元となる体質改善をしていく
という順序がある

漢方相談を受けてみて


ほんの少しずつだが、良くなっていった。

相談のときに、私の体質を教えてもらい必要な養生もした。
今の私の体に何が起こっているのか、何が足りないのかなど毎回1時間ほどかけて教わった。

漢方では、体の不調は体に必要な要素(血や水など)のバランスを整えることで治していく。

だから健康になるための第一歩は自分を知ることでもある。



忘れっぽさも、怒りっぽさもグラデーションのようにじんわり、じんわりと消えていった。


メンタルが安定し始めたことが何より嬉しかった。

あと、前向きになれた。

イライラして怒り散らす頻度も格段に落ちた。


漢方の勉強も知れば知るほど、漢方の世界ののつながりや奥深さに気づいて楽しくなった。


今でも漢方の勉強は続けている。

漢方の勉強は体のことや薬のことだけではない。
ベースが古代中国の哲学なので、生き方までも繋がっている。


気づきとこれから



前より元気な体とメンタルを得て気付いたことがある。

体のこと、心のこと、自分のことを理解してあげることで生きやすくなる。

漢方において、健康になるには自分を知ることでもある。

そして、自分に優しくなれると周りの人にも優しくなれた


このことをもっと多くの人にも知ってほしい。

だから私は、漢方の良さを伝えることにした。


知らない世界は確かに怖い。

でも、漢方の世界は怖くなかった。

むしろ、優しかった。
本来あるべき健康な状態に導いてくれてる。



このことを私は伝えて続けていきたい。

そして今悩んでるあなたにも漢方の世界をのぞいてみてほしい。

別にいきなり漢方薬を飲まなくても良い。

ちょっとした簡単な養生からでも良いのだ。

むしろ、大事なのは日頃の養生である。



漢方薬は日頃の養生のもとにその効果を発揮するからだ。
ただ漢方薬を飲むだけより、養生をした方がその漢方薬の効果は大きい。

日常を整えることで身体のバランスは整う

そこに漢方薬が加わってより整うのだ。

まずは、毎日じゃなくてもたまにでも良い。


スーパーで筍見かけたから買ってみる

そんな感じで季節を楽しむのも養生だ。

自分を知って、周りも楽しくなる人が1人でも増えたら私はそんな嬉しいことはない。






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