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大臺 序乃壱

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此のお話は日本が嫌いな日本人へ…。  日本を愚かと思う日本人へ…。  日本が貧しい国であったと思う日本人へ…。  日本人として誇りを持てぬ日本人へ届ける物語。  此れは我等が…
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#日本をカッコ良く

大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 23

大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 23

 実儺瀨(みなせ)達が八重国でファイトしている頃、賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) は国を千佳江(ちかえ)に任せ狸島に来ていた。勿論賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) が此の島に来ているのは狸を食べる為でも観光の為でも無い。賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) が従える千の娘達と砦と馬鹿でかい葦船を作る為である。と、言っても砦を作っているのは奴婢達である。
 さて、此の奴婢は何処で調達して来たのか ? 勿論現地調達

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大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 22

大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 22

 五瀨が大王への返事を書いたのは次の日であった。伝令兵はユックリ出来ると思っていたので実にナンジャラホイな感じではあったが文句は言えない。否、寧ろ有難いと言うべきである。伝令兵は書状を受け取るとテクテクと集落からバイバイキン。来た道を戻って行った。
 其れから一月が経とうとした頃、ア国に八重国の大将軍を務める宇沙都比古(ウサツヒコ)と其の妻が到着した。宇沙都比古(ウサツヒコ)は到着するなり迂駕耶(

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大臺神楽闇夜 1章 倭 4灯の消えた日1

大臺神楽闇夜 1章 倭 4灯の消えた日1

 全てを話し終わり三佳貞は花水を一口飲んだ。フゥっと一息饅頭をパクリ。夜麻芽は黙っていたが目からは涙が溢れていた。樹寐恵はただ俯いていた。
「つまり、倭人に斬られた腕を倭人が治療してくれたと…。」
 樹寐恵が問うた。
「じゃよ…。」
「で、其方は其処に七日も滞在しておったと。」
 夜麻芽が問う。
「ご飯が美味しかったからの…。」
「舞まで披露したじゃか…。」
 樹寐恵が言う。
「披露ではない。練習

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大臺神楽闇夜 序章 奴隷の王 加筆修正版

大臺神楽闇夜 序章 奴隷の王 加筆修正版

          大臺序乃一

         大臺神楽闇夜
           序章

          奴隷の王

 数百年続いた戦乱の世が終わりを告げる。長きに渡り繰り広げられた此の戦を後の人は春秋戦国時代と呼んだ。此の戦での勝者は秦王政である。
 彼の勝利により久方振りの平和な世が訪れ皆は喜んだ。長きに渡る戦は国力を疲弊させ多くの民を苦しめていたからだ。
 秦王政は自らを王を超越し

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大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇10

大臺神楽闇夜 1章 倭 3高天原の惨劇10

 お日様が天高く。普段ならお昼ご飯を食べる刻。李禹は今日のご飯はナンジャラホイとウキウキしている刻。真逆今日この日、自分が其のご飯になるとは考えてもいなかった。
「何故じゃ…。何故我が死なねばならぬ…。」
 と、涙は枯れる事なく溢れ出てくる。項雲も麃公も楊も王嘉も司も誰も嘆願すらしてくれなかった。
「諦めるな…。必ず三佳貞が助けに来る。」
 と、王嘉は希望を持たせてくれたが、三佳貞が助けに来る保証

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大臺神楽闇夜 1章 倭 2襲来6

大臺神楽闇夜 1章 倭 2襲来6

 時は少し戻り倭族の船が進路を高天原に向ける少し前…。三佳貞達は無事帥升が乗船している船に辿り着いていた。
「ちょ…。ちょっと休憩じゃぁ。」
 外板に鉤爪を引っ掛け音義姉はグッタリである。
「分かっておる…。我も限界じゃか。」
 外板にしがみつきながら眞姫那が言う。
「二人ともだら…。 うげ !」
 波がドンブラコッコと三佳貞の口に入る。
「これこれ、既に力尽きておるんは三佳貞じゃか。」
 ゲンナ

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大臺神楽闇夜 1章 倭 降り立つ闇 2

大臺神楽闇夜 1章 倭 降り立つ闇 2

「で、月三子が二人、水三子は四人もおって誰もおらんとはどう言う事じゃ。」
 ジロリと伊都瀬が神楽達を睨め付ける。
 六人は揃って伊都瀬の前で正座をさせられお叱りの真っ最中である。勿論第二城門の前であっては迷惑と伊都瀬は案内された寝所で此の六人を集めての事である。
「我は寝ておったから関係ないぞ。」
 神楽が言った。
「そうじゃ、我はちゃんと神楽を見ておった。」
 吼玖利が言う。
『そんな言い訳が通

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