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2021年4月の記事一覧
大壹神楽闇夜 1章 倭 降り立つ闇3
「いや、しかし華咲の娘とは思えんな。」
香久耶をジロジロ見やりながら彦介が言った。彦介は既に顔を真っ赤に染め上げできあがっている。
「ほんと、お母さんもお姉ちゃんも図々しいのに此の娘はなんとも大人しい。」
喜多が言った。
「うん。確かに似ておらん。この娘は何と言うかお頭の良さそうな顔をしておる。」
又次が言う。
「にゃはははは…。当たり前じゃ。香久耶はお頭の良い日三子になるんじゃ。」
と、
大壹神楽闇夜 序章 2 卑国の神楽
太陽の日差しが木々に遮られ、蒸し返す暑さは幾分ましではあるが、其れでも汗を拭う手拭いはグッショリである。娘達は山道から川を見つけると隊列を離れ、川辺で紬を脱ぎ捨てると川の水でこべり付いた汗を落としはじめた。
山道を覆い尽くす娘達の群れ。その群れから勝手に外れ川辺に行けば咎められそうなものだが、卑国の娘達にとっては普通の事である。誰も咎めず誰に許可をもらう必要もない。好きな時に休み、好きな時に飯を