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即興演奏のアルバム紹介を書いています。Han Benninkのライブを体験してから早2…

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即興演奏のアルバム紹介を書いています。Han Benninkのライブを体験してから早20年、ずっと即興演奏を追い続けています。ヨーロッパフリー、フリージャズ、民族音楽、ノイズ。 料理のコンテンツも何処かに作成予定。

記事一覧

【音盤紹介 vol.9】 Irène Schweizer & Mani Neumeier / European Masters Of Improvisation

ド直球なタイトルの1990年録音。 泣く子も痺れる憧れる、イレーネ女史と我らがマニさんのデュオ。 Irène Schweizer Trio(Guru Guru以前のUli Trepteとマニさんとのトリオ…

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1年前

【音盤紹介 vol.8】 Brötzmann / Bennink / Schwarzwaldfahrt

Han Benninkの録音は、その全てが聞き逃してはならないドキュメントである。 森の中に置かれたマイク、それだけで全てが録音されている。 スティックで叩かれる木・岩・地…

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3年前
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【音盤紹介 vol. 7】 Günter Müller, Jim O'Rourke ‎/ Slow Motion (1994)

Günter Müller: Drums, Electronics Jim O'Rourke: Guitar 集められるデータを、時には一度捨ててみるJim O'RourkeとGünter Müller、今となっては大物2人の共演盤で、…

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3年前
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【音盤紹介 vol. 6】 MZN3 / MZN3 (2005)

1曲目の冒頭、バリトンサックスの第1音で、このアルバムが当たりであることを確信する。 何と気持ちのいい音。 痛快という言葉がしっくりくる、ストロングなフリージャズで…

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3年前

【音盤紹介 vol. 5】 Powerhouse Sound / Oslo/Chicago Breaks

一体いくつプロジェクトがあるのか、ワーカホリックKen Vandermarkのユニット"Powerhouse Sound"の2005, 2006年の録音。発売は2007年。 参加メンバーDisc 1: Oslo Version…

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3年前

【音盤紹介 vol. 4】 Rafael Toral / Space Elements Vol. 1

Rafael Toralといえばギタードローンということになるのかもしれないが、個人的には断然"Space"のシリーズに興味がある。 "Space"というプロジェクト"Space"と名のつく一…

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3年前
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【音盤紹介 vol. 3】 高橋竹山 / 津軽三味線

自分は青森の生まれだが、特別津軽三味線が好きなわけでもなく、昔から慣れ親しんできたわけでもない。 ただ、高橋竹山の音は、定期的に聞きたくなる。 1973年、渋谷ジァ…

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4年前
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【音盤紹介 vol. 2】 Tim Barnes / All Acoustics

Tim Barnes: solo percussion (見出しの写真は裏ジャケ) Tim Barnes、この人は一体どう認識されているのか。 Pullman、The Tower Recordings、Jim O'Rourkeのバンド、どう…

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4年前
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【音盤紹介 vol. 1】 Biggi Vinkeloe Trio / Sweet Odd

Biggi Vinkeloe: Alto Saxophone Peter Friis Nielsen: Bass Guitar Peeter Uuskyla: Drums Biggi Vinkeloe、実は全く知らない人です。 略歴はDiscogsにおまかせすると…

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4年前
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フリー・インプロヴィゼーションを語り継ぐ

なんと大げさなタイトル。 でも、そんな大げさな思いで書き始めた。 自分は今まで文章を書きたいと思ったことはないし、ましてや得意でもない。 そんな自分でも、書いてお…

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4年前
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【音盤紹介 vol.9】 Irène Schweizer & Mani Neumeier / European Masters Of Improvisation

【音盤紹介 vol.9】 Irène Schweizer & Mani Neumeier / European Masters Of Improvisation

ド直球なタイトルの1990年録音。

泣く子も痺れる憧れる、イレーネ女史と我らがマニさんのデュオ。
Irène Schweizer Trio(Guru Guru以前のUli Trepteとマニさんとのトリオ)以来、久しぶりの共演なのではなかろうか。
音盤は、おそらくキャプテントリップからでたやつのみ(レーベルのページが壊れていたのでリンクは貼らない)。

一聴して分かるのが、録音の荒さ。
蛍光灯の

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【音盤紹介 vol.8】 Brötzmann / Bennink / Schwarzwaldfahrt

【音盤紹介 vol.8】 Brötzmann / Bennink / Schwarzwaldfahrt

Han Benninkの録音は、その全てが聞き逃してはならないドキュメントである。

森の中に置かれたマイク、それだけで全てが録音されている。
スティックで叩かれる木・岩・地面・そこに在るあらゆるもの、川に沈むシンバル、川に投げられる石。
歩き回りながら吹かれるサックス・クラリネット。
鳥の声、風の音、川の音。

音が始まって、終わり、また始まるのとは全く違う音の在り方。
音は遠ざかり、近づき、ま

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【音盤紹介 vol. 7】 Günter Müller, Jim O'Rourke ‎/ Slow Motion (1994)

【音盤紹介 vol. 7】 Günter Müller, Jim O'Rourke ‎/ Slow Motion (1994)

Günter Müller: Drums, Electronics
Jim O'Rourke: Guitar

集められるデータを、時には一度捨ててみるJim O'RourkeとGünter Müller、今となっては大物2人の共演盤で、For 4 Ears初期、1994年の作品である。
この作品、上記の情報だけで勝手に期待して中身を判断してしまっている人が多いのではないだろうか。
Jim O'R

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【音盤紹介 vol. 6】 MZN3 / MZN3 (2005)

【音盤紹介 vol. 6】 MZN3 / MZN3 (2005)

1曲目の冒頭、バリトンサックスの第1音で、このアルバムが当たりであることを確信する。
何と気持ちのいい音。
痛快という言葉がしっくりくる、ストロングなフリージャズである。

Kjetil Møster: Saxes
Per Zanussi: Bass
Kjell Nordeson: Drums & Percussion

ノルウェー勢(サックス・ベース)にスウェーデンの百戦錬磨ドラマーが加わった2

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【音盤紹介 vol. 5】 Powerhouse Sound / Oslo/Chicago Breaks

【音盤紹介 vol. 5】 Powerhouse Sound / Oslo/Chicago Breaks

一体いくつプロジェクトがあるのか、ワーカホリックKen Vandermarkのユニット"Powerhouse Sound"の2005, 2006年の録音。発売は2007年。

参加メンバーDisc 1: Oslo Version
・Ken Vandermark: Tenor Saxophone
・Nate McBride: Electric Bass
・Ingebrigt Håker Flaten

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【音盤紹介 vol. 4】 Rafael Toral / Space Elements Vol. 1

【音盤紹介 vol. 4】 Rafael Toral / Space Elements Vol. 1

Rafael Toralといえばギタードローンということになるのかもしれないが、個人的には断然"Space"のシリーズに興味がある。

"Space"というプロジェクト"Space"と名のつく一連のシリーズは、Rafael Toralが作成した自作楽器の演奏が収められている音源だ。
『ギタードローン→自作エレクトロニクス』という流れだと現代音楽やインスタレーションなんかに行きがちだが、フリー・イン

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【音盤紹介 vol. 3】 高橋竹山 / 津軽三味線

自分は青森の生まれだが、特別津軽三味線が好きなわけでもなく、昔から慣れ親しんできたわけでもない。
ただ、高橋竹山の音は、定期的に聞きたくなる。

1973年、渋谷ジァン・ジァンでのライブ。
ここにある音は、日本の伝統芸能の継承なんていう大層なものではないし、民族音楽ライブラリーのような貴重な記録音源でもない。今日、今を生きていくための、生きている音だ。たとえここに津軽三味線の伝統という文脈がなかっ

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【音盤紹介 vol. 2】 Tim Barnes / All Acoustics

【音盤紹介 vol. 2】 Tim Barnes / All Acoustics

Tim Barnes: solo percussion
(見出しの写真は裏ジャケ)

Tim Barnes、この人は一体どう認識されているのか。
Pullman、The Tower Recordings、Jim O'Rourkeのバンド、どうもピンとこない。
私が最初にその名前を意識したのは、代々木にあったOff Siteで鳴らされている音に興味を持っていた頃だったと思う。残念ながら、Off Si

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【音盤紹介 vol. 1】 Biggi Vinkeloe Trio / Sweet Odd

Biggi Vinkeloe: Alto Saxophone
Peter Friis Nielsen: Bass Guitar
Peeter Uuskyla: Drums

Biggi Vinkeloe、実は全く知らない人です。
略歴はDiscogsにおまかせするとして、、
1曲目、いきなり高音でキィキィいわすので、おっ、これはEvan Parker的にいくか、と思いましたが、それは最初だけ

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フリー・インプロヴィゼーションを語り継ぐ

なんと大げさなタイトル。
でも、そんな大げさな思いで書き始めた。
自分は今まで文章を書きたいと思ったことはないし、ましてや得意でもない。
そんな自分でも、書いておきたいと思ったのだ。

ストリーミング時代における廃盤自分はフリー・インプロヴィゼーション(特にヨーロッパの)と呼ばれる音楽が好きで、学生の頃から見つけては買って聞き続けてきた。
でもこのフリー・インプロヴィゼーションと呼ばれる音楽を聞く

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