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【音盤紹介 vol. 6】 MZN3 / MZN3 (2005)

1曲目の冒頭、バリトンサックスの第1音で、このアルバムが当たりであることを確信する。
何と気持ちのいい音。
痛快という言葉がしっくりくる、ストロングなフリージャズである。

Kjetil Møster: Saxes
Per Zanussi: Bass
Kjell Nordeson: Drums & Percussion

ノルウェー勢(サックス・ベース)にスウェーデンの百戦錬磨ドラマーが加わった2005年作。北欧勢のトリオでサックス、ベース、ドラムという編成、ドラムがMats Gustafssonとの共演(AALY Trioはとても良い)も多いKjell NordesonであることからThe Thingが連想されるが、個人的にはJohn SurmanのThe Trioを意識しているのではないかと思う。
自分が即興演奏へと引き込まれていったきっかけはCreamであったので、どうしてもトリオという編成を見ると聞きたくなってしまうし期待は高まるし点数は甘くなる。

1. The Doctor
バシバシッと切れ味鋭いシンプルなテーマから短いサックスソロへ。下から上へとそのサックスの形状そのままに音が放出されるサックス、そこに猛スピードで突っ込んでくるベースと、サスティンのコントロールされたパーカッシブなドラムがやってきて、怒涛のフリージャズへと突入。ベースの印象的な繰り返しフレーズが時計台の鐘のように打ち鳴らされると、そのままスパッと終焉。

3. Chi'ing Fung
4. Catz Paw
弓で軋み歪む弦の音や執拗に繰り返される低音の上に放り込まれる金物・小口径のタム・タオルミュートのスネアの音、そんなこともできるのね、な特殊奏法を交えたサックス。それぞれが、音の立ち上がりとその質感を聞かせ続ける。時間と空間を支配するベースは、Per Zanussiがこのトリオの首謀であることを感じさせる。

5. Samiel
6. Sarq
フリージャズファンには2・4・8曲目のスピード感のある演奏が好まれそうだが、個人的なハイライトはこの2曲。この2曲はセットで聞きたい。キレまくりのテーマに続くそれぞれのソロ、細かく変化していく音の肌触りとそれらが織り重なっていく様が強烈な印象を残す。サスティンを排除しひたすらアタック音で攻め続けるドラムは、どことなく大傑作"I Love It When You Snore"を思わせる。

総評

日本語情報レア度★☆☆
・・・来日もしているので情報は結構見つかる。なぜか来日は見逃した、見たかった、、

必聴度★★★
・・・元々好きな人にも、これからフリーを聞きたい人にも、どちらにもおすすめ。即興にありがちな1曲20分みたいな曲がなく、最後まで一気に聞き通せる。

入手困難度★★☆
・・・レーベルのJazzaway Recordsはもうやってないかも?

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