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よみがえる川崎美術館で芸術作品にふれて

 12月4日まで神戸市立博物館で「よみがえる川崎美術館~川崎正蔵が守り伝えた美への招待」をやっている。
 その紹介記事を見て、もう一度見に行った。

 その記事というのがエミール松永さんのnoteなのだが、グルメガイドまで載っている。

 この展示は4日までだが、市立博物館には、教科書でお馴染みのザビエル像も常設であるので(レプリカ展示が多いけど)、一度神戸へいらしてください。


 検温して博物館に入る。平日は年寄りが多いなあ。
 数ある作品の中でも、円山応挙、与謝蕪村、葛飾北斎の肉筆画には「おおっ」と思った。(個人の感想です)

 川崎美術館は、明治時代に川崎正蔵が神戸に設けた私設美術館。日本と東洋の美術作品を守るために集め、それを秘蔵せずに公開するための施設だった。後に作品が散逸したが、今回それを集めた美術展が開催された。

 鹿児島で生まれた川崎正蔵(1836~1912)は、神戸で川崎造船所(現川崎重工業)を創業し(1887)、後の震災の時にも発行を続けた「神戸新聞」を創刊(1898)した。貴族院議員も務めている。

 展示作品の話にもどると、
 円山応挙のふすま絵は圧巻。松の絵は、近くの物は精密に、遠くは墨も薄く、輪郭もぼやけて描いている。1本の松でも、近くと遠くの筆遣いを変えている。西洋の遠近法も学んだ応挙だが、墨の濃淡でも遠近法を実践している。遠近の違いを、松の木ではこれでもかというぐらい極端に描いている。執念のようなものも感じ、「おおっおおっ」と思ってしまう。
 与謝蕪村の絵は、うまい。「うまい」としか言えない。デフォルメした蕪村の芭蕉図とは違い、リアルな人物画。引き込まれてしまう。
 画狂人まんじとも名乗った葛飾北斎晩年の肉筆画は「すごい」の一言だ。北斎の画力は万人が認めるだろうが、この肉筆画は「すごい」。
 いくら解説を並べても、そのすばらしさは実物を見ないとわからない。私が「おおっ」と思ったものを、他の人に同じように感じてもらえるかどうかだ。

 俳句や短歌も、自分と同じように感じてもらえるかどうかで評価がわかれる。同じように感じてくれる人がいるとわかれば「おおっ」と思う。同じように感じる人が多ければ、それは特にすばらしい作品ということになる。

 子どもたちが手にする教科書の作品には、大多数の人が「おおっ」と思える作品が載っている。俳句や短歌でも、子どもたちに刺激を与える作品が選ばれる。文法を勉強する資料としてではなく、作品を鑑賞するために教科書には掲載される。


 音楽作品も美術の鑑賞作品も、教科書には子どもたちに知ってほしい作品が載る。
 音楽も、いい音楽はヒットし、歴史を超えて残る。教科書にも載る。
 先日は、フジコ・ヘミングのピアノを聞いて感動した。


 いい芸術作品は、インスピレーションを与えてくれる。何かを作りたくさせる。音楽はできないので、読む人に響く文章を書けるように努力しよう。

 絵であれ、音楽であれ、文章であれ、子どもたちには良い芸術作品を鑑賞させたい。「おおっ」と思える作品にふれた子どもたちは、すぐに結果は出なくても、その後の人生で、その感動が生きてくるだろう。AIは作品の分析はできても、「おおっ」と思うことはない。心に感じることができるのが人間だ。国語の授業で、説明文だけを読解させるのではなく(説明文の読解力も必要!)、文学的文章を読ませなければ、今後のAI時代をヒトは生きてはいけないだろう。


 すばらしい芸術にふれて今、心が躍っている。
 

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