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カンダマサヨシ
2020年6月15日 20:17
――私は両足の自由を失った。そんな私に自由をくれたのは、重力に逆らって飛ぶ不思議な椅子。自由に飛び回る不思議な椅子。それは私を色んな場所に連れて行ってくれる、大切な相棒。どうして私に自由を与えてくれるのか。それが知りたいくて私は勉強した。その先で出会ったのはどこまでも自由に空を飛び回る女の子の姿だった。私はその姿に釘付けになった。それは夢の世界、私はその世界の少女に、その世界
2020年6月12日 14:09
――冷静に考えて凄い状況だ。グラウンドに展開されたフィールドを挟んで、向こう側には現女王チームがいる。しかもライダーは控えではなくレギュラー2名。担当技術も正規のメインオペレーター。練習試合でこんなメンツと対峙する機会なんて、他のほとんどのチームにはないだろう。正直こういう風な形で、乙羽に頼りたくない気持ちもどこかにはあった。だけどそれ以上に、今回は絵美里を泣かせた生徒会が許せなかった。現況の
2020年6月12日 03:06
――嫌な予感はあった。だけどなんとなく思い過ごしなような気がして、すぐにそれを口にしなかったのは、オレの落ち度だと思う。日々の練習にも気合が入り、部活の様子を気にしてくれる学内の生徒たちの姿も増えてきた。新聞部のおかげで練習試合の認知度はとても高く、もしかするとこれを機に部員が増えてくれれば、なんて期待もしていた。そうしてやってきた練習試合前日、先日アキバまで見に行ったフレームが郵送されてき
2020年6月10日 13:12
――チリン。涼しげな鈴の音が聞こえて、オレがベランダの方を振り返る。夜闇を背に、いつものように輝夜先輩がそこに立っていた。オレはベランダの鍵を開ける。「お疲れ様!」そういいながら入ってくる先輩に対してもう何か苦言を呈する事もなくなっていた。あまりにも回数が多いので。もう感覚がマヒしてしまっているのかもしれない。「今日もバイト先でもらったお惣菜、色々あるけど神谷野君も一緒に食べる?」「
2020年6月9日 02:05
絵美里にその手紙が届いたのは、1年の五十鈴が入部した翌日だった。ラブレター、であればある意味良かったのだが、その手紙の差し出し主は子本――生徒会からの出頭命令だった。全員で行く事ない、1人で行くというので今日は来ている姫野先輩と五十鈴、オレに真心は部室で待機していた。五十鈴は色々と先輩に聞きたい話があるらしく、また先輩自身もエースヲタクという事もあり、部室の一角で勝手に盛り上がっている。そんな2人
2020年6月6日 23:34
時間を合わせるのではなく、通学の途中でたまたま絵美里と合流したのは転校して以来、初めてだった。昨日は先輩も用事があり、図書委員などの雑務があったらしく、結局真心と2人で勉強だけやって終わった。エアリアルソニック部の活動としては少しいびつだけど。「それで、真心は大丈夫そうなの?」「どうかな。オレが教えてどうにかなるのか分かんないけど」「何にしても再追試とかだけは止めてよね、練習に全力出してもら
2020年6月6日 02:21
彼と彼女の間にはいつも沢山の人が集まっていた。私の大切な友達で幼馴染は、いつだって私から少し遠くを歩いている。置いていかれても仕方なかった。私には何もなくて、私じゃ何の役にも立ちはしない。2人はいつも輝いて見えた。学校の朝礼では全校生徒の前で表彰され、ネットや雑誌でも2人の顔を見かける事が多々ある。そこに私はいなかった。結構前から一緒にいたはずなんだけど、私はどこにもいないんだ。そうして気が付
2020年6月3日 15:22
――こんなにも体力を消耗したのは本当に久しぶりだった。この2日間、授業の時間を除いてほとんどの時間をプログラミングと機体のハード調整にあてた。学校の規約に反する事はしないという約束で、部室に寝泊まりこそしていないが、家でもリモートでのプログラミングやシミュレーションなどの調整を延々繰り返しての3日目の朝。閉じたカーテンの隙間から光がぼんやりとこぼれている。時刻は朝の6時を少し回ったところ、なん
2020年6月2日 21:00
「イテテテ……」先輩はオレのベッドの上でクルクルと回りながら苦痛を訴える。「だから、胴着をちゃんと着てやらないからそういう事になるんです」「そりゃそうだけどさー……ッタァ、もう! あんなヤマカンみたいな反応は反則だよ!」タンクトップにショートパンツというラフな格好、だがその腹部の隙間からみえる肌には痛々しく赤く腫れた部位が見て取れた。今日の攻防の激しさが伺われる。「あ、なによ、なんで私の
2020年6月1日 23:52
「私が止める前に出ていっちゃうんだもん、ビックリしたよ」絵美里は怒りと言うよりは呆れたといった、そんな雰囲気で話す。武道場から部室へと戻ってきた。「絵美里は知ってたのかよ、女子剣道部が廃部になってるって」「まぁね、別に剣道に興味はないけど、去年度かなりの部活がなくなったってカメから聞いたでしょ? 女子剣道部って結構強かった印象あったからさ、廃部なんだーって感じだったかな」「強かった?」
2020年5月30日 00:38
「……ねぇ、これはなに?」3階の廊下で、佐倉千歳は鋭いまなざしを壁面の掲示板へと向ける。常に背筋をまっすぐ伸ばし、服装にも乱れがまったくないその凛とした姿はまさに生徒会長らしい威厳に満ちている。そんな彼女の視線の先には、まだ貼られて新しいA4サイズの小さなチラシへと向けられている。彼女の後ろを歩いていた副会長・子本が答える。「これは、あれですね……エアリアルソニック部の新規部員募集の張り紙かと
2020年5月28日 02:11
――心を静かにして、自分の心象世界をただひたすらの静寂に包み込む。そして静かに目を開いたら、視線と一直線に手にした剣先を向ける。勝負は一瞬、勝つのは相手が先を焦った時、負けるのは自ら負けを呼びこんだ時。気がついた時には自分の足元には剣の道があった。じいちゃんに連れられて歩き始めたその道は、あの瞬間まで自分が一人で歩む道だと思っていた。その日、桜舞い散る春のあの日まだ堅さの残
2020年5月25日 21:11
昨晩は正直あまり寝られなかった。先輩に対して、自分が一体何を言っていたのか、なんて事を言ってしまったのか、自分が分からなくて、自己嫌悪に陥っていた。自分が発した言葉が間違っているとは思わない、オレは正論で、あの人はめちゃくちゃだ。だけど、あえてそんな事を言う必要なんてなかった。そういう関係を荒立てるような事をしないように上手くやるべきなのに。心がざらついてどうしようもない。机の上には昨日もら
2020年5月23日 12:29
外で話すと人に見つかるかもしれないので部室で、姫野先輩はタンクトップにジーンズという私服で手には大きめのタオル。髪は濡れていて、時折そのバスタオルで頭部をふいていた。「いやー、もう結構暑かったからついね」「それで、ついプールに全裸で入る女の子がどこにいるんですか?」「水着が見当たらなかったんだから、しょうがなくない?」「いや、しょうがなくなくないです。普通諦めるでしょそこは」「いやいや、