カンダマサヨシ

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マガジン

  • 【ノベルゲームシナリオ制作】エアリアルソニックライダーズ

    大学生の時、コミケで出したいと考案してから、10年間完成していないノベルゲームのシナリオをnote上でオープン制作していきます。公開したシナリオをベースに、感想や考察などを交えながら一緒に最高のノベルゲームのシナリオを共作してもらうためにnoteを活用していこうと思います。 <エアリアルソニックライダーズ> 20XX年――人々を魅了してやまないのが空中で繰り広げられるサバイバルゲーム・エアリアルソニックロワイヤル――専用のGPDスーツと兵器を纏う少女達の飛行拳闘劇だ。世代を超えて愛される通称「エース」はプロリーグ以上に高校生大会が人気となっている。  湘南・桜山学園高校――エース出場を夢みる少女は高校最後の1年を誰もいない部室で迎えていた。時を同じくして1人の少年が転入する。学生でいられる今年が最後のチャンス、その夢へ。無心で駆けだす彼女の後姿が少年の心を少しずつ焦がしはじめる――

最近の記事

chapter.6-4 何もかもが普通の女の子

以前、秋葉原で乙羽と一緒に入った全国チェーンのカフェ。ここ桜山学園最寄りの駅前商店街にも、同じチェーンが出店されている。 女子高生はどうしてクリームが山盛りになっている不思議なコーヒーが好きなんだろうか? 前に絵美里に「試しに飲んでみたら?」と言われて飲んだことがあるけど、甘ったるくて頭痛がした。その時は期間限定商品のピーチなんとかという商品名だったが今はマンゴーテイストのフラペチーノが期間限定となって目の前でその存在を主張していた。黄色に青っぽく装飾されたカップがいかにも夏

    • chapter.6-3 才能という名の迷宮

      ――ベッドの上に寝っ転がって、ヘッドモニターを起動する。 真っ暗な中に白いポインターがみえて、次にVR空間が広がった。 以前手に入れていたシルヴィの連絡先を開く。 ポップアップで表示された先にあったのはちょうど夏休み、五十鈴について相談した時のメッセージや夏祭りの時のメッセージで終わっていた。夏休みが明けてからシルヴィと会話はしていなかった。学年も違うし、会おうとしなければ会えない間柄ではある。いきなり、「シルヴィってエースをやってたの?」って聞くのは大丈夫かな? ――

      • chapter6-2. デュボアという名の少女

        ――ブワン 桜山学園のグラウンド・校庭のど真ん中、足元の砂ぼこりを円形に巻き上げて、緑色の機体が宙に浮かぶ。脚部が大きなスカート状の装甲に包まれた機体。腕部はやや細身で鋭利な印象――全体的にシャープなデザインでまとめられている。ホーリーナイトやコジローとはコンセプトがまるで違う。近距離戦を想定していない、遠距離サポート型に相応しいデザインではある。特徴的なのは背面にあるリング状の装備。フラフープ、なんて表現したら怒られるかもしれないが、円線状のそれは背中部分に装着されている

        • chapter6-1. 生徒会長の憂鬱

          長いようで、過ぎ去ってみれば一瞬だったともいえる夏休みが終わり、桜山学園も2学期を迎えた。休みの間はまばらだった学生の姿も、2学期が始まればいつも通り。クラスやグラウンドには沢山の制服が溢れていた。まだ夏服である半そでだが、あと1ヵ月もすれば徐々に冬服へと変化していく。 クラスではオレや絵美里に話しかけてくる人の数が相当増えた。エアリアルソニック部の注目度は、動画配信チャンネルを作って以降、指数関数的に増えている。この勢いで、部員が増えてくれたらいいのだけれど、とはいえ敷居が

        chapter.6-4 何もかもが普通の女の子

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        • 【ノベルゲームシナリオ制作】エアリアルソニックライダーズ
          35本

        記事

          chpater5-7:花火の中の決意

          時間も結構使ったので、集合予定の花火がみえる下流の西浜橋の方へとオレ達はなんとなく進み始めた。五十鈴は両手でテディベアを抱きかかえるようにして持っている。その横顔はとても嬉しそうだった。それに対してシルヴィは、自分が射撃で取れなかった景品だからか、少し悔しそうにしてそれを見つめていた。 「それにしても会長、凄かったな」 オレが五十鈴に話しかけると 「本当ですね。まさかぬいぐるみを取っていただけるとは思いもしなかったです」 そう言って、改めてテディベアを抱きかかえた。その姿にオ

          chpater5-7:花火の中の決意

          chapter5-6:夏祭りの夜に

          晴天の下、校庭脇の花壇に植えられた黄色のヒマワリがまぶしい。ミンミンゼミの声に、ツクツクボウシも紛れ込んできた8月も中旬。夏休みも残すところ半月といった所だった。ヴィーナスエースの決勝戦の観戦を終えて、改めてその距離を感じたオレ達エアリアルソニック部は、各々が課題を模索しながらその実力を上げるべく頑張っていた。同時に絵美里を中心に、新しい部員の募集を動画などを通じて呼びかけるものの、なかなか学内の反応は良くない。やはり生徒会に対立しているイメージからか、応援してくれる人は増え

          chapter5-6:夏祭りの夜に

          chpater5-5:ツバサとオトハ

          ――人混みが凄くて、サーキットから出るだけで2時間近くかかった。 その間、少しのやりとりはあったけど、メンバー間の言葉数は少なかった。各々に思うところがあったのだろう。 明日は自由時間なので各々好きに観光してもらって、午後には東京駅から鎌倉方面へ帰ろうという話だけは絵美里がしっかりとロビーで伝える。それらを聴き終えると、オレは無言で部屋に戻った。 ルームクリーニングが終えてあったベット似てるに飛び込むようにして倒れた。手にしていたケータイ端末を寝っ転がりながら起動する。今日

          chpater5-5:ツバサとオトハ

          chpater5-4:遥か遠く憧れの舞台

          このホテルの屋上にバーベキュースペースがあるという事で、夕食はみんなで肉を囲む運びとなった。 「あー! 先輩それウチが育ててた肉や!」 「え、うん。ごめん。美味しかったよ」 「ふざけんなこの!」 おそらく日中一番体を動かしたはずの2人が、ここでも一番暴れまわっているのは流石としか言いようがない。その様子をカメが生配信で動画撮影している。あれじゃあカメは肉が食えないかもしれないので、後で別の皿に取り分けておいてやろう。そんな2人と1人を横目に、オレと五十鈴、そして絵美里は静かに

          chpater5-4:遥か遠く憧れの舞台

          chapter5-3:エアリアルソニックパーク

          ーー夏休みになった。 といっても補習などもあり、午前中は学校に行かなきゃ行けない場合も結構多い。そういう意味では夏休みらしい夏休みってどこだろうという感じだ。そんな補習が終わり、午後になれば自由な時間となるので自然と部室に集まってくる流れ。ちなみに補習など一切受けていないらしい輝夜先輩はとりあえずバイトに勤しんでいるらしく不在で、また補習だけでなくテストで色々問題のあった真心は当然まだここには来れない。部室で1人、何か作業でもしようかなぁと思ったけど、なんとなく気分がのらな

          chapter5-3:エアリアルソニックパーク

          chapter5-2: 夏休みの合宿へ

          期末試験の喧騒もどこへやら。気がつけば夏休みが目の前に迫ってきていた。テストが終わった学校はどこか長期休みへの期待に浮き足立っているようだった。 エアリアルソニック部も色々と問題はありつつも(主に真心の追試絡みだが)なんとか無事、夏休みへと突入できそうな様相でとりあえず一安心。午前中だけの短縮授業を終えて、オレは輝夜先輩と2人で湘南新宿ラインの電車に揺られていた。先輩は車窓を眺めながら、抑えきれない感情が笑顔としてこぼれている。それも仕方ない、オレ達が向かっている先は秋葉原、

          chapter5-2: 夏休みの合宿へ

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          ノベルゲームシナリオ、執筆の息抜きという事で、メインテーマっぽい曲を作曲してみた。

          いつもはnoteにシナリオをアップしていますが、ちょっと執筆の息抜きに、テーマソングになりそうなイメージで曲を制作してみましたのでよろしければ! イラストとロゴは2014年頃に描いたヤツです^^

          ノベルゲームシナリオ、執筆の息抜きという事で、メインテーマっぽい曲を作曲してみた。

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          chapter5-1:夢の世界の外側で

          ――私は両足の自由を失った。 そんな私に自由をくれたのは、重力に逆らって飛ぶ不思議な椅子。自由に飛び回る不思議な椅子。 それは私を色んな場所に連れて行ってくれる、大切な相棒。 どうして私に自由を与えてくれるのか。 それが知りたいくて私は勉強した。 その先で出会ったのはどこまでも自由に空を飛び回る女の子の姿だった。 私はその姿に釘付けになった。 それは夢の世界、私はその世界の少女に、その世界の自由さにどんどんはまっていく。 --それと同時に気がついてしまう。 私は世

          chapter5-1:夢の世界の外側で

          chapter4-6: 最強 VS 最速(第4章ラスト)

          ――冷静に考えて凄い状況だ。 グラウンドに展開されたフィールドを挟んで、向こう側には現女王チームがいる。しかもライダーは控えではなくレギュラー2名。担当技術も正規のメインオペレーター。練習試合でこんなメンツと対峙する機会なんて、他のほとんどのチームにはないだろう。正直こういう風な形で、乙羽に頼りたくない気持ちもどこかにはあった。だけどそれ以上に、今回は絵美里を泣かせた生徒会が許せなかった。現況の生徒会の面々はこちらのオペレーターサイドの近くで唖然とした表情でこのマッチングを

          chapter4-6: 最強 VS 最速(第4章ラスト)

          chapter4-5: 前代未聞の練習試合

          ――嫌な予感はあった。 だけどなんとなく思い過ごしなような気がして、すぐにそれを口にしなかったのは、オレの落ち度だと思う。日々の練習にも気合が入り、部活の様子を気にしてくれる学内の生徒たちの姿も増えてきた。新聞部のおかげで練習試合の認知度はとても高く、もしかするとこれを機に部員が増えてくれれば、なんて期待もしていた。 そうしてやってきた練習試合前日、先日アキバまで見に行ったフレームが郵送されてきたのもあり、部室でオレと五十鈴の二人はそれぞれのフレームのパラメータの最終調整を

          chapter4-5: 前代未聞の練習試合

          chpater4-4:生徒会の影

          ――チリン。 涼しげな鈴の音が聞こえて、オレがベランダの方を振り返る。夜闇を背に、いつものように輝夜先輩がそこに立っていた。 オレはベランダの鍵を開ける。 「お疲れ様!」 そういいながら入ってくる先輩に対してもう何か苦言を呈する事もなくなっていた。あまりにも回数が多いので。もう感覚がマヒしてしまっているのかもしれない。 「今日もバイト先でもらったお惣菜、色々あるけど神谷野君も一緒に食べる?」 「……じゃあ、ちょっとだけ」 「OK、レンジ借りるね!」 そういうと、手慣れたよう

          chpater4-4:生徒会の影

          chapter4-3:時期外れの対外試合

          絵美里にその手紙が届いたのは、1年の五十鈴が入部した翌日だった。ラブレター、であればある意味良かったのだが、その手紙の差し出し主は子本――生徒会からの出頭命令だった。全員で行く事ない、1人で行くというので今日は来ている姫野先輩と五十鈴、オレに真心は部室で待機していた。五十鈴は色々と先輩に聞きたい話があるらしく、また先輩自身もエースヲタクという事もあり、部室の一角で勝手に盛り上がっている。そんな2人をうらめしそうに真心がジトっとした視線を送っていた。 「なぁ神谷野、ウチも色々エ

          chapter4-3:時期外れの対外試合