魔法は日常的に
年齢で人を見るのは好きではないのですが、ある一定の年までに身につけておくべきことはあると思うのです。
今までに二人、えっその年で出来ないんですか?!と言いたくなる人を見たことがあります。
一人については、まだ客観的に見られるようにはなっていないので、バイト先で出会った副店長について書きたいと思います。
バイトをしていた時、副店長が異動してきました。人不足で店長はマネージャーが兼任、ほぼ不在の店舗でしたので、実質的に店でトップの立場でした。彼は33歳、たちまちスタッフの間で不評が相次ぎました。
理由は挨拶をしないこと。
おはようございます、お疲れ様ですの挨拶をしない、と言って最初にキレたのは厨房のじい様でした。じい様と陰で呼ばれていたこの人も、苛めをしたり些細なことで怒鳴りつけたりと相当嫌われていた人でしたが、それはまた別の機会に。
あいつがいるなら俺は辞める、と息巻くそのじい様に、マネージャーは言いました。
「彼はまだそういう部分もあるけれど、これから成長すると思います。彼を指導してやってください」
あれ、私の感覚では33歳は、ある程度の常識くらいは身につけておかなければいけない年齢なんですけど、一般的には違うんですか?
と言ったら準社員のIさんが
「そうに決まっとるやろう」
と苦笑しました。
「ていうかな、副店長は指導しなければいけない立場なのに、指導もらうっていうのもおかしな話だと思わんか」
「しかも内容が挨拶ですよ、そんなアホなことないですよね」
「まぁ、普通は身につけとかんといけないことだろうな」
「私の年齢でも近頃の若者は挨拶もしないって怒られるのに、33歳がそれじゃあじい様が怒るのも当然と言えば当然ですよ」
「じい様のことも怒って欲しいけどな」
「マネージャーはあの人の本性知りませんからw」
しかしその後、副店長が元気良く挨拶をするなんてことはなく。店内での評価は上がることはありませんでした。挨拶の出来ない大人に、誰が尊敬の念など抱くでしょうか。
あの時ほど、挨拶をするようにと厳しく躾けられたことを感謝したことはありません。挨拶が出来れば生きていける。父親の口癖は本当のことでした。
挨拶だけでもちゃんとすれば、取り敢えず大丈夫。今日も私はそう思って、魔法の言葉を唱えます。