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病院の夜勤が好き、と思うとき

18時間以上の夜勤、いつも身体が参ってしまうし
夜勤の前は、ああ行きたくないって気持ちでいっぱいになるけど。
落ち着いている時間に先輩たちと話すとき、
夜勤好きだな、ってちょっと思う。

2交代制の勤務では、夜勤の時は
15時くらいから出勤して、16時半から申し送りして、
17時から、朝の8時半の申し送りまで、
結局18時間以上働いている。

日勤よりも医療スタッフの人数も少なく、
自分の受け持ちも多い。
こうやって勤務を回していこう、ってスケジュールを立てていても、

患者さんの急変、救急車でくる母体搬送、重なるお産、
緊急入院、緊急の帝王切開、鳴りやまないナースコール…
緊急事態が起これば、夜勤助産師全員で対応、
やるべきことが押し出されてどんどんストレスになる。

忙しい夜勤は、本当にきつい。
完徹夜勤になったときは、もう朝ボロボロで、目もしょぼしょぼ、
3日間くらい身体もだるかった。

夜勤は好きなんて言えない。
身体にも心にも負担で、いつなにが起こったら、と考えるとストレス。
18時間って長すぎる。

でも、ちょっと夜勤好きかもって思う瞬間がある。
夜勤の間、落ち着いている時間に、
ナースステーションで夜勤スタッフの先輩と世間話をする時間だ。

「眠いね」「はやく夜勤終わらないかな」なんて会話をしながら、
仕事の話や、プライベートの話をすることがある。

日勤だったらゆっくり話をすることのない先輩、
とても仕事ができる先輩と一緒になると、
「最近仕事のこんなことで困ってて。先輩はどうだったんですか。」って聞いてしまう。

「私もこんなことで悩んでたよ」「そういうとき緊張しちゃうよね」
そんな言葉が返ってくると、そっか、私だけじゃないんだって思えたりして。

私も相談してしまうけれど、
先輩たちも愚痴がとまらないこともある。
あの先輩が苦手、この前こんなことがあってつらかった、困った、とか。
あの患者さんの急変が大変だった、とか、

聞いていると、
あ、この先輩もあの先輩が苦手なんだ、とか、
あ、こんな緊急事態になったらこうやって動くんだ、とか
勉強になることも多い。

世間話が好きな先輩たちと一緒になると、ただの女子会みたいになる。
夫の愚痴、育児の大変さ、婚活のこととかも話したりするし、
保険のこと、転職のことも話したりする。

彼氏がいる、となると
いつ結婚とか話してる?仕事ここ辞めちゃうの?とか話してて、
あ、先輩結婚したら地元行っちゃうんだ…って知ったりする。

産休に入った先輩がいつ復帰する、とか
知ることができるのもそんな時間。

そういえば、1年目の時には、
先輩が勤務何年目なのかとかも知れたのは、夜勤だった。
日勤ではそんなことを話している暇もない。

いくつもの病院で看護師・助産師経験をしてきた
平素は寡黙な先輩と一緒になったとき、
いままでも病院と今の病院の違いや、
前の病院で経験したことなどを、教えてくれた。

ナースコールが鳴れば、患者対応が必要であれば、
ケアのために病室にこもる必要があれば、
途切れてしまう時間だけど。

日勤では、病棟にいるスタッフが多いし、
日勤だって忙しいので落ち着いて座っている時間はなく、
上の先輩たちもたくさんいるなか、世間話なんてできやしない。
そんな時間があるなら、定時で上がれるように仕事を回せって話である。

夜勤の空白の時間はたとえ10分なかったとしても、
ちょっと心を休ませてくれる時間で、
夜勤が終わって次の勤務で先輩に会ったとき、親近感が湧いて、
「この前はどうも」みたいな合図を送り合うのも、
ふっと心が緩む。

夜勤が増えるのは嫌だけど、
夜勤がないと、先輩たちとずっと緊張した関係のままだったかもしれない。

職場に少し親近感を抱けるきっかけになってくれることもある。
適度に、忙しすぎない夜勤が、続いてくれたらいいんだけどなあ。


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