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赤井葵
2023年11月25日 15:42
デルタは目を開ける。 しばらくぼーっとしていたが、突然その目から油が流れる。溢れるように。 止める間もなかった。ただ、何があったのかは知らない自分が止めるのもお門違いだとも思い、そのままにしておくことにした。 星野瞳とアルファはそっとデルタの部屋から出る。 突然訪問し、自身の目的のために入ったデルタの家。 慌てていたということもあり、じっくりと見ていなかった。一旦落ち着いたため、周り
2023年10月6日 15:02
「あ、アルファ?」 星野瞳はカゴいっぱいに花を敷き詰めて抱きかかえ、街を歩いている。道は殺風景で、植物一つもなく、金属で作られていて無機質だ。建物は機械仕掛けで歯車が回っている。街の中央には大きな時計塔が聳え立ち、その大きな建物も大小様々な歯車で動いている。 その時計塔の傍では唯一知っている機械人間。確かアルファと呼ばれていた。その影に気づき、近づいてみる。 相変わらず、紙が大好物のようで紙
2023年10月4日 21:10
「いらっしゃいませー!」 家に帰ると、早速嗅いだことのない芳醇な香りが鼻をくすぐる。と同時に、星野瞳の明るい声が出迎える。「え?」 見ると、見慣れているはずの自身の家が、小さな花屋になっていた。殺風景だった壁には華やかな花が鎮座している。大小様々でカラフルになっていた。芳醇な香りはこの花達から香ってきているのだろう。 おそらく初めての表情をしているだろう。驚きと困惑がないまぜになっている。
2023年9月30日 16:59
「これでいいだろう。もう一度動いてみて」 目の前の女性は頷いて、腕を動かす。「問題ないみたいだね。念のため、あまり動かさないことをお勧めするよ。あと、これを。また不調を感じた時はこのパーツを体に埋め込んでみて。良くなるはずだから。それでもダメなら、また俺のところに来て」「ありがとう、人間様。では、お礼にこれを」 女性は自身の腕から紙を数枚出して、俺の目の前に差し出す。 慣れては来たが、や
2023年9月30日 16:57
目の前の男は、必死に自身の手で紙を掴んでは口へ運ぶのを繰り返している。口に紙が入るたびに機械音が響き、紙が取り込まれていく。「やっぱり無地に限るよ。シンプルでさっぱりしていて美味しい」「そうか」