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機械仕掛けの街4

「いらっしゃいませー!」
 家に帰ると、早速嗅いだことのない芳醇な香りが鼻をくすぐる。と同時に、星野瞳の明るい声が出迎える。
「え?」
 見ると、見慣れているはずの自身の家が、小さな花屋になっていた。殺風景だった壁には華やかな花が鎮座している。大小様々でカラフルになっていた。芳醇な香りはこの花達から香ってきているのだろう。
 おそらく初めての表情をしているだろう。驚きと困惑がないまぜになっている。そんな俺に気づいて、星野瞳は屈託のない笑顔で近づいてくる。
「勝手で申し訳ないですけど、花屋を営んでみました! どうですか? 可愛らしいでしょう? この街の人たちは花を好きになってくれるでしょうか!」
 呆れるほかない。自分勝手に店を構えることもそうだが、花を欲しがる機械人間は居ないだろう。また倒産することが目に見えている。……彼女は目先のことを考えずに突っ走るタイプなのだろうか。これは骨が折れる。
「はあ、まあ、家を貸すと言ったのは俺だし、何をしようが勝手だけど、無駄な行為だぞ」
 冷めた目で返すが、笑顔の彼女はものともしない。鉄の心臓を持ってるのだろうか。
「良いんです。花が世界を救うというのはいつか……絶対に証明できますから! その為にはやはり、他の人に知ってもらわなければなりません。……ということで……」
 彼女はカップとポットを手に持っている。ポットの中には花弁が散り散りになって入れられて、お湯の中を漂っていた。
「アフタヌーンティーにしませんか? お花を煎じた紅茶はほっと一息、リラックス効果があるんですよ」

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