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読書雑記録

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読書感想まとめ。
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#読書感想文

許された気持ちになる物語

許された気持ちになる物語

大島弓子さんの漫画が好きです。

ヘッダーの絵は「青い 固い 渋い」というお話の、印象深かった最後のシーンを思い出しながら描きました。文庫本の『ロスト ハウス』に載っています。

同居している恋人と離れようと思った主人公は、バス停だか駅のホームだかのベンチに一人で座っている。周囲の景色は、昨晩降った雪が積もっている。そこでたまたま、顔見知りの郵便屋さんに会い、「雪やんで、よかったすね」と声をかけら

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読書雑記【漫画】『リアル』

『リアル』1〜14巻 井上雄彦/著 集英社

登場人物たちの言葉が、刺さること刺さること!

その中で、一番強く印象に残っている言葉。

「笑いたいやつは笑え!」

交通事故で車椅子生活になってから、漫画家を目指して描きはじめた彼女の言葉に。初めて読んだとき、ガツンとやられました。

そうだ! 笑いたいやつは笑え!
他人しかり!
自分しかり!

他人よりも自分自身の方が笑ってる気がします。

誰か

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読書雑記『やがて満ちてくる光の』

読書雑記『やがて満ちてくる光の』

読書の楽しみのひとつは、言葉を知る喜びではないか。
梨木さんのエッセイを読んでいくなかで、そう思いました。

『やがて満ちてくる光の』梨木香歩/著 新潮社

やわらかな文章と、固い言葉のバランスが良くて。ときどき難しい漢字が出てくると、ハッとさせられます。ふだん話し言葉で使うこともなければ、書くときにパッと出てくることもない、でも言葉としては、ああ! と思い出す。それらが言葉として文章の中におさま

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読書雑記『すてきなあなたに』

読書雑記『すてきなあなたに』

「でも、どんな宝石より、私は生きている花の方が、ずっと素晴しいとおもうのです。事実、その方が、おしゃれに見えますね。第一、こうやって、二十年も前のバラの花一輪のことを、あなたは、おぼえていて下さるんですもの」

『[ポケット版]すてきなあなたに 01』
大橋鎭子/著 暮しの手帖社 283頁より

このエッセイのすてきなところは、日々の細やかな観察と心持ちの清々しさにあります。

とくに背伸びする

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読書雑記『こころの対話 25のルール』

読書雑記『こころの対話 25のルール』

「みんなが、人の話を聞くより、自分の話を聞いてほしいと思っているわけですから、聞いてくれる人がいるわけがないのです。」

『こころの対話 25のルール』 伊藤守/著 講談社プラスアルファ文庫 40頁より

人間は他者に話を聞いてもらうことで、安心を得るとのこと。けれど、聞くよりも話したい、話を聞いてほしい人のほうが多い。

考えてみると確かに、話したい、聞いてほしいばかりな自分がいます。人の話を

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