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読書雑記『こころの対話 25のルール』

「みんなが、人の話を聞くより、自分の話を聞いてほしいと思っているわけですから、聞いてくれる人がいるわけがないのです。」

『こころの対話 25のルール』 伊藤守/著 講談社プラスアルファ文庫 40頁より

人間は他者に話を聞いてもらうことで、安心を得るとのこと。けれど、聞くよりも話したい、話を聞いてほしい人のほうが多い。

考えてみると確かに、話したい、聞いてほしいばかりな自分がいます。人の話を聞きながら、次に自分が何を話そうかと考えていることはあります。それを会話のキャッチボールと勘違いしていたふしはありました。

ただ聞くだけでいいのだと、そしてその聞くだけというのが難しい。

ふと気づいたのは、本を読むことも、他者とのコミュニケーションなのではないか。
書き手から読み手への対話であり、読み手は読書によって何かの感情を共感しあうことで、人と繋がる安心感を得ているのではないか。

私は人と喋るときに緊張します。思うことを上手く話せない、伝えられない。そんな自分がもどかしくて、話すのが苦手だと思うようになりました。

ひとりは寂しいくせに、他人と一緒にいて傷つくことを恐れている。
話したくて繋がりたいくせに、話すのが苦手だと逃げている。
私が読書で満たされたのは、人とのコミュニケーションに飢えていた自分を、受け入れてくれる相手がいたことだったのです。

読書が安心するのは、自分の気持ちをただ受けとめてくれる、静かな対話ができる時間に他ならないから。

誰かの言葉を聞き、自分の内から湧きでる言葉に耳をすます、その穏やかな時間が愛しいから。

だから、今日も私は何かしら本を読みます。

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