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うつになった話

2019年春、心療内科へ行った。
もう限界だった。薄々気づいていた。
はっきりさせたかったのかも知れない。

前兆

2018年、大阪から東京に引っ越し、同棲を始め、転職した。
期待を胸に膨らませた新生活だったが、思っていたより順調に進まなかった。
その頃は「まぁ、新しい環境だし仕方ないか」くらいの気持ちだった。

私生活も仕事も、自分の思うように進まないことばかりで、一喜一憂しても仕方がない。やけに冷静だった。
すでに、自分の心は早くに殺していたと思う。
その方が楽だったから。
感情と向き合うと、すぐにでも壊れてしまいそうだったから。
時間が経てば慣れてくるだろう。
慣れたら、自分らしく過ごせるだろう。
そんな矢先だった。

帰ったら疲れて泥のように寝る毎日だったのが、だんだんと寝られなくなる日が続くようになった。
どれだけ疲れて帰ってきても、寝られない。
毎日、朝まで寝られない。
日が昇るころ、やっと眠気がきた。

そんな日々が続き、仕事が始まる時間には
寝不足で頭が痛く、全身がだるく、吐き気が伴うようになった。
さらに食欲もなくなる。水や必要最低限の栄養をとるのでやっと。
動機や息切れが続き、微熱も続く。
着替えるのもしんどい。
オシャレには気を配っていたのに興味を示さなくなる。
お風呂に入れなくなる。
あまりにお風呂に入れないので、旦那に手伝って欲しいと懇願したのを覚えている。
「なに言ってるん?笑」て言われてた。
趣味を楽しめなくなる。(感情がなくなる感じ)
生理も止まった。

もう無理かも。
病院へ行こう。

最初は内科から始まり、整形外科、婦人科などに行き、最後に行き着いた先が、心療内科だった。

自分はうつとは無関係だと思っていた

正直、メンタルはわりと強い方だと思っていた。
今まで新規営業もやってきたし、
何十回、何百回と営業電話をして断られても、そこまで気にしなかった。
大阪時代、激務で睡眠時間2時間くらいの時でも、倒れずにやっていた。

一人暮らしも海外一人旅も、ホームシックになったことはなかった。
何なら初めての経験が楽しくて、困難も楽しめるタイプだった。

どちらかと言うと、明るくて前向きな性格だった。
今までの人生で、いじめや家族の問題、受験失敗や大失恋、
大切な人の死など、何度も辛いことを経験してきたが、全て原因が分かっていたので、それを乗り越える努力をしてきた。

乗り越えられない壁はないと思っていたし
乗り越えてきたことで、強くなった。
自信があった。

けれど、今から思えば病院に行くまでの1年間、こんなにも原因が分からないのに落ち込む日々が続くのは初めてだった。
振り返ると原因はあったのだけど、
今までの経験より大したことのない辛さだったから、自分では原因にも入らないレベルだった。
しんどいことに自分で気づいていなかった。

休職に入ってからが地獄だった

重度になると、自殺願望を抱いたり、入院に至る人もいる中、
私は幸いにもまだ症状が軽い段階で病院に行けた。
そして、3ヶ月ほど働きながら治療していたが、だんだんと体の症状が重くなり、休職することに。

1番しんどかったのは、休職してからだった。
とにかく休んでください、と主治医に言われ、
体に素直になって、思う存分泥のように寝た。
今まで心を鬼にして朝出社していたが
家にいると、眠たい時に素直に寝られるようになった。
丸2〜3日間、寝続けた時もあった。

時に、自分の体が鉛のように重くて動かなかった。
ベッドから出ようとするだけで
動きと共に全身に激痛が走る。
歩くのはもっとしんどい。
一歩一歩が痛い。重い。

そんな日もあれば、次の日は症状がおさまって、もう大丈夫かも!と思う時もあった。
そんな時は出来るだけ外に出た。

そんな風に、毎日予測もコントロールもできない体の症状に苦しみながら、いつしか3ヶ月経った。
休職の満期が来て、医師や産業医と話し合った結果、会社を退職した。

うつから学んだこと

心を無視して、最終的には体に症状が現れてやっと気づけた。
少しスピリチュアルな話になるかも知れないが
うまくいかない時は、神様がいじわるをして
「あなたの道はそっちじゃない!」と
ヒントを与えているのだと聞いたことがある。

何事も頑張るのが当たり前で、完璧主義だった。
「自分ができないことなんてない」と本気で思っていた。
振り返ってみると、自分に合わない仕事や生活を
無理やり続けていただけだった。

そして、自分だけではどうにもならないことが
あるのだと気づけた。
「全て自分のせい」と自責にし過ぎない考えも大事だと思う。
これは「自分次第で変えられる」というのとは、また別の話だ。
突然の事故や死を責められないのと一緒だ。
自分のせいにし過ぎて、自分を追い込み過ぎない。

思えば新しい生活が始まってから、
東京には友人が少なく、彼と二人で過ごす時間が多かった。
仕事から帰ってくる時間は私の方が遅かったが
家事はほとんど私が行なっていた。
初めての同棲は思うように行かず、たくさん泣いた。

仕事もうまくいかなかった。
毎日マルチタスクで、メールは何百件の処理。
会社には毎日見知らぬ人から電話がかかってきて、クレーム対応で数時間かかることもあった。
追い詰められて混乱してしまい、
その間ほかの方との電話アポを忘れてしまい
さらに怒られ暴言を吐かれる、なんて日は辛かったし自分を責めた。

法人・個人の両方の間で板挟み状態の仕事で、やりがいも大きかったが、ストレスのかかる仕事だった。
何よりも機械のような働き方で、数をこなさなければいけない。
心を殺して仕事をしなければ勝ち残れなかった。

このように、息抜きをする場所がなく、相談相手もおらず、どこにいてもストレスを感じていたのだと思う。

うつになってからは、人に相談する大切さを知った。
最初はカウンセリングを受けていたが、
徐々に「自分で出来るかも」と思い、
本や動画で、レジリエンスや認知行動療法を学んで実施した。

幸いにも私は軽度で、最近体の症状が治ったので、自分の心と向き合いながら、今は別の新しい勉強を始めている。

うつは誰にでもなり得る

うつは誰にでもなり得るものだ。
うつになることは特別なことではない。

診断を受けていないだけで
心が疲れている人は世の中にたくさんいると思う。
心が限界になると体にも現れてくる。
人間の体はよく出来ているなあと思う。

うつを経験して、自分の考え方のクセが分かったし、生きるための素晴らしい知識をたくさん知ることが出来た。
このタイミングで良かったかも知れない。

うまくいかない時は、我慢しない。
辛い時は、心を殺さなくていい。

良い時も悪い時も、
強い自分も弱い自分も、
受け入れた上で、過ごしていく。



最後まで読んでいただきありがとうございます。 スキでも十分嬉しいですが、お気持ちは還元したいと思います!