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盗撮依存のカモシローさんの100日(前半)

盗撮にハマっていく真面目なカモシローさん(仮名)のお話です。
(注:盗撮依存の方の典型的な言動や経緯を合体させました。実在している方や特定の方のことではありません。)

-100日目
カモシロー、33歳、真面目で優秀な男性士業。妻子持ち。毎年冬・春は繁忙期で激務。
妻の話をしっかり聞く。
他人を優先しがちで、自分の気持ちはあまり言えない。
自信がなく、その分努力と協調性で補う。
趣味なし。休日はしっかり家事育児で「良いパパ」「良い旦那さん」。

-90日目
盗撮サイトを間違って閲覧。特に何も思わなかった。

-85日目
先日見つけた盗撮サイトにもう一回行ってみた。「意外と簡単そう。自分にもできるんじゃ。」

-75日目
仕事がいつものように忙しくなってきて、残業が増えた。

-70日目
年末で会社では仕事納めしたが、自宅に仕事を持ち帰り大晦日と元旦以外は仕事をしていた。

-65日
超多忙だったが、出先の秋葉原で急に隙間時間ができて電器屋に立ち寄った。ライターのような小型カメラを見つけた。「こんなにちっちゃいんだ。購入。仕事鞄に入れておいた。

-60日
仕事に忙殺されていた。終電で帰り始発で出勤。土曜日だけは自宅にいたが、妻を育児から解放するために育児を一人で引き受け妻を遊びに行かせてあげた。日曜昼間は家族と一緒に過ごし、夜は自宅で仕事の作業をした。鞄の中の小型カメラのことはすっかり忘れていた。

-55日
繁忙期も終焉し、解放された。「ふー ひと段落。今年度も生き延びた。やっとゆっくりできる。」

-50日
仕事帰りに、鞄の中のカメラを思い出した。「今度何かで使ってみようかな?」

-45日
朝の出勤途中に、スカートの女性がエスカレーターで前に立っていた。特に「何も考えないまま」、後ろから盗撮した。バレるかもという発想はなかった。あまりに簡単にできてびっくりして、画像よりもできた事実に興奮した。データは念のため消した。

-42日
何度か同様のやり方で、盗撮を繰り返した。ワクワクして朝通勤するのが楽しくなった。データの動画は毎度消した。「自分てすごいのかも?」

-40日
盗撮20回目で、張っていた私服警官に怪しまれ声をかけられた。恐怖で、だいぶショック。「まさかばれてしまうとは。」
動画はブレており、カモシローさんは全否定で、厳重注意で終わった。「もう二度としない!注意されなくたってやらない!頼まれてもやるもんか!」と思った。

-39日
初検挙後、大いに反省。でも妻には言わなかった。できるだけ自然に、何事もなかったかのように振る舞った。小型カメラは捨てた。

-20日
検挙のことを忘れるため、仕事に打ち込んだ。家族サービスも目一杯やり、実際それは楽しく充実していた。自分でこんなに幸せなんだな、と思った。

-10日
女性の後ろに立っていた時、スマホでさっとスカート内を盗撮した。昔捕まったことはほとんど気にならなかった。「あー スマホでもできるんだなー。」やっぱり盗撮できる事実に興奮を感じた。気が緩んでいたのか、データを消そうと思い付かず、消さないままにしていった。ただ見返すこともほとんどなかった。

-5日
通勤の行き帰りに何度か盗撮した。エスカレーター以外のところでもするようになった。

-3日
盗撮していたところを盗撮ハンターに捕まった。「通報されたくなければ100万円今すぐ払え」と恐喝された。怖くなり、交番に走って逃げ込んだ。盗撮ハンターは退散した。「あーよかった。これでもう大丈夫」

-2日
週末の三連休を前に、仕事を詰め込んでやり、終わったらとっても気が緩んだ。再び盗撮をした。今度は女性本人に気づかれ大声を上げられ、周囲の人たちに捉えられ、通報された。現行犯ということで最寄りの警察署に連行された。

-1日
連絡なしに帰宅してこない夫を心配して、妻が警察に相談し捜索願を出した。
カモシローさんは警察の留置所にいて、取り調べを受けていた。妻に連絡されるのが嫌で、全否認していた。「僕じゃない」「やっていない」「僕のスマホじゃない」「ただ女性が写り込んでいただけ」など、見てて痛い否認だった。
しかし、聴取が終わり切る前に、家族に連絡をされる前に、妻から警察に問い合わせられたのだ。

0日
妻は逮捕の事実を知り、耐えきれなくなり自分の親にすぐに打ち明けた。
妻の親は怒り、カモシローの親に連絡してきた。
両家全員に全て知られることとなった。
カモシローは家族に知られたことで絶望し、一転して全部自白し、捜査にも非常に協力的であった。「被害者様の尊厳を傷つけてしまいました、反省してます」等といって供述調書に書いてもらった。

3日
全自白してデータも少なかったため、保釈され、捜査も超高速で終わった。逮捕されたのが平日から挟んで三連休でもあったため、留置されていた事実も会社に知られずに済んだ。
「子供もいるし、クビになるわけにはいかない」と、会社には逮捕の事実を黙っていた。

4日
捕まったことと同じくらい家族に知られて大ショック。「迷惑かけた、ごめんさない」と家族に土下座した。しかし、被害者の方に迷惑かけたとは言わなかった。 離婚しないでいてくれた妻に大感謝し、頭があがらなかった。
逮捕と家族全員に恥部を知られたことで、自尊心が大きく傷ついた。眠れない、食欲も低下した。周囲から見たら「喪に服している様子」だったので、カモシローはしっかり反省していると判断された。

5日
夫婦で一度話し合い、妻からの提案や指示(GPSなど)には全て従うことにした。警戒・緊張しながら日々過ごした。妻からのLINEでのチェックにもちゃんと応答した。GPSでも行動範囲を見てもらっていた。

10日
「盗撮なんでもう一生やらない、懲り懲りだ。考えたくもない」と思った。

20日
若干日常が戻り、常に夫を見張っていた妻も疲れてきた。
盗撮の過去を考えないようにした。
罰金30万円の処分も痛かった。だが一区切りついた感覚だった。「これで終わった。」

30日
連休に妻は子供を連れて帰省した。
カモシローは仕事が忙しく自宅に一人で残った。
妻子がいないことで実はすごく開放感を感じた。「あー 一人っていいな」

31日
昔使っていたスマホを偶然発見した。「これは使えるんじゃないか?」
カバンのポケットに穴を開け、穴から撮影できるようにスマホを設置した。

32日
GPSをオンにしたまま出勤し、エスカレーターで女性に穴あきカバンを向けて盗撮を試みた。
カバンを色々な方向に動かす動きが不審すぎて私服警備員にすぐに捕まった。警察を呼ばれ逮捕。

33日
2度目の逮捕後、実家先で連絡を受けた妻は「裏切られた、信用できない」と警察に迎えに行くのも拒否。帰省先の実家から戻ってこなかった。別居した。カモシローは両親に警察署まで迎えにきてもらった。

50日目
50万円の罰金処分。もう傷つく感覚も麻痺して何も感じなかった。
相変わらず一人暮らしであった。 盗撮のことは考えたくもなかった。悲しくて寂しくて仕事で紛らわそうとして過労、慢性的な睡眠不足になった。

60日目
「(盗撮)したい、でも妻と子を取り戻したい、でも辛い」 妻に報告だけはし続けた。「今日も大丈夫だったよ。」妻からのレスポンスを実は期待していた。 
しかし妻からは毎回既読無視だった。

65日
妻へのラインは、既読すらつかなくなった。何に悩んだり我慢しているのか、もうわからなくなった。いつか妻子は戻ってきてくれるという希望を抱いていたのに、打ち砕かれた感じだった。

70日目
悩んだり我慢することに疲れた。何も考えなくなった。考えるのをやめたり、盗撮の様子を想像するとふっと楽になれた。

80日目
女性がトイレに入っていくのを見かけた。何も考えないまま、ふーっとついていった。
女性は個室におり、他に誰もおらず、カモシローも個室に入った。なんだか安心した。しばらく居座った。

90日目
公共トイレの女子トイレの個室に再び入った。飲み物やお菓子も持ち込んだ。何時間も個室が開かないことで誰かが倒れているんじゃと心配され、管理人がやってきた。カモシローはどうしようもできなかった。焦って絶望した。怪しまれ通報され、捕まった。取調室にて、「撮影しなければ、いるだけなら大丈夫、バレないと思った」「捕まる前提がなかった」と話した。

95日目
失職。妻は「報道されたら子供が大変なことになる」と思い、速攻離婚。

100日目
前回の罰金刑からの時間の短さもあり、建造物侵入で裁判になることが決まった。離婚した妻は、それでも夫を憎しみきれず、カウンセリングを探してくれた。消沈し切っている夫を連れていった。カウンセラーに妻が全て説明した。カモシローはほとんど話せなかったが、「今度こそやらない。でも自分が信用できない。妻と子に戻ってきてもらえるなら何でもする。」とだけは言った。

(後半へ)

*************************************後半はカモシローさんが回復していく過程を簡単ながら書いていきます。

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