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改元 2019/5/1 平成最後の夜は、雨だった。 俺は改元で浮かれる街の喧騒の中、救急車に…
入学式 2019/4/5 「──警部はその際、怪我をして病院に向かわれ、軽傷だから家族には知らせ…
卒業式 2019/3/14 「──諸君は、平成最後の卒業生と──」 自衛隊の最高指揮官である首相…
建国記念の日 2019/2/11 目の前の喧騒に嫌気がさし、俺は胸元からゴールデンバットを取り…
節分 2019/2/3 冷たい冬の風が、首筋をなでる。 俺はコートの襟を立てた。柏(かしわ)駅…
成人の日 2019/1/14 「何で振袖じゃないのかな」 「さあ、面倒臭いからじゃないの」 「だっ…
文化の日 201811/3 「──我々の護るべき文化とは一体、何なのであろう」 志願を終えてから、頭の中でずっと考えていた言葉を、ふと漏らしてしまったら、学校の室内が突如として騒がしくなった。 「俺は、文化とは社会や組織の一員として身につけるべき生活様式だと思う」 「先祖から引き継いできた有形、無形の成果の総体だな。身近で言えば、家族だ」 「いやいや、培ってきた精神的活動のことだ。俺は自分に恥じることはしたくない」 「みんな固いな。文化は芸術のことだろう。すばらしい小説
ハロウィン 2018/10/31 玄関のインターホンが、鳴った。 土曜の午後、和室でうつらうつ…
きつねの嫁入り 2018/10/23 「こーん」掛け声に合わせて、両手首を胸の高さまで上げ、きつね…
体育の日 2018/10/8 窓から運動会の練習の歓声が、聞こえてくる。 俺は枕元の耳栓を取り…
中秋の名月 2018/9/24 ──月なんて、大っ嫌いだ。 特に中秋の名月なんて見たくもない。…
敬老の日 2018/9/17 俺は年寄りじゃねえ──。全く、どいつもこいつも、俺をじじい扱いし…
終戦の日 2018/8/15 「──おい、ばあさん、そろそろ行くぞ」 夫が居間に入ってくるなり、…
山の日 2018/8/11 弟のことは嫌いじゃない。ただ、深夜まで彼氏と久しぶりの長電話を楽しんだ会社員の私を、祝日の早朝に叩き起こして、山に登るぞ、というのはさすがに如何なものかと思う。 栃木県のさくら市の実家から弟の運転する車の助手席に座って目的の山に向かう。退屈でひたすらあくびをかみ殺す。さっき大きなあくびをしたら、「不謹慎だぞ」と怒られた。 「しょうがないじゃないの。護(まも)ちゃん、航海中は連絡できないんだから」私の彼氏は、海上自衛官で護衛艦「ひゅうが」の乗