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#記念日にショートショートを

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記念日には、ショートショートを一緒に、楽しんでみませんか?  有志の作家が集まり、記念日に合わせて、一分で読めるショートショートを、Twitter上で公開しています。こちらにはそ…
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#一駅ぶんのおどろき

ささやかな願い SS0027

十月二十一日 2019/10/21  ──作家になりたい。  ガラス越しに流れゆく美しい風景を見な…

救いの大雨 SS0026

梅雨入り 2019/6/1  大雨の日は、心が落ち着く。  ただの小雨では駄目だ。大雨、それに嵐…

時代の風 SS0025

改元 2019/5/1  平成最後の夜は、雨だった。  俺は改元で浮かれる街の喧騒の中、救急車に…

娘とレストランと出会い SS0024

入学式 2019/4/5 「──警部はその際、怪我をして病院に向かわれ、軽傷だから家族には知らせ…

それぞれの明日 SS0023

卒業式 2019/3/14 「──諸君は、平成最後の卒業生と──」  自衛隊の最高指揮官である首相…

トンビとカラス  SS0022

建国記念の日 2019/2/11  目の前の喧騒に嫌気がさし、俺は胸元からゴールデンバットを取り…

季節を分ける  SS0021

節分 2019/2/3  冷たい冬の風が、首筋をなでる。  俺はコートの襟を立てた。柏(かしわ)駅で電車を降り、バス乗り場に向かう途中のダブルデッキは、日曜日の人出で、にぎわっている。  二年前の大事件など、みな忘れたかのように、休日のひと時を満喫している。  まあ、それでいい。警察──特に公安の仕事は、表に出ない地味な任務だ。高校卒業後、俺は三十年近くその仕事に人生を捧げてきた。  バスを待つ間に、一服したかったが、柏市内は路上喫煙が禁止だ。警察官が条例とはいえ、法律を

哀しみの序章  SS0020

成人の日 2019/1/14 「何で振袖じゃないのかな」 「さあ、面倒臭いからじゃないの」 「だっ…

青い空  SS0019

文化の日 201811/3 「──我々の護るべき文化とは一体、何なのであろう」  志願を終えてか…

黒いとんがり帽子 SS0018

ハロウィン 2018/10/31  玄関のインターホンが、鳴った。  土曜の午後、和室でうつらうつ…

母の着物  SS0017

きつねの嫁入り 2018/10/23 「こーん」掛け声に合わせて、両手首を胸の高さまで上げ、きつね…

小さな手  SS0016

体育の日 2018/10/8  窓から運動会の練習の歓声が、聞こえてくる。  俺は枕元の耳栓を取り…

月に願いを  SS0015

中秋の名月 2018/9/24  ──月なんて、大っ嫌いだ。  特に中秋の名月なんて見たくもない。…

共に老いる  SS0014

敬老の日 2018/9/17  俺は年寄りじゃねえ──。全く、どいつもこいつも、俺をじじい扱いしやがって。  俺は好物の鶏肉を食べ残して、ため息をついた。まあ、そう言っても、このたるんだ腹を見れば、情けなくなる。若い頃はもっと引き締まった体で、活発に動けたと愚痴も出る。  ──総務省によると今年、全国の高齢者は、過去最多となり──。テレビからお馴染みのニュースが流れる。老人週間とやらが始まっているらしい。この時期だけ騒ぎやがって。 「もっと柔らかいご飯のが、いいのかしら」