豊かさの価値とは~シンポジウムに登壇して~
鳥取県と日本財団が地方創生共同プロジェクトを実施している。
今年が取り組み5周年ということで、今までの成果とこれからの鳥取を考えるシンポジウムが開催された。
鳥取県は新型コロナ感染者数400人程度。(2021年5月現在)
全国でも累計感染者数が少ない地域である。
しかし、コロナによって社会環境は激変している。
弊社が関わっている医療介護界隈における変化で言えば、入院に対する対応や、高齢者施設に入居されている方々、そして遠距離介護をされているご家族の移動制限である。
コロナ前から、遠距離介護者は移動の時間を割くことが多く、心身的ストレスは大きかった。しかし、コロナが蔓延することにより、県を越えての移動がしづらくなり、大切な家族に益々会えないというストレスが増した。
そうした遠距離介護を迎える現役世代(凡そ40-60代)の子どもたちと共に実現したい親孝行を弊社は取り組んでいる。
「暮らしやすさ日本一の県 鳥取県」
鳥取県と日本財団は、県内の誰もが社会に参加する機会と環境をつくることで、住み慣れた地域の中で尊厳を盛った暮らしを実現することを目指してきた。
私たちは高齢化先進地域の鳥取県で活動して気づいたことがある。
それは若者がUターンできない理由の中に、親や親せきの介護のことを思うと自身がないと言うものが16%もいたということだ。(弊社調べ 2020年1月~2月)
ただ、親の介護に関わりたいという若者も一定数いる。
と、いうことは、親孝行はしたいけれど、親の老いや介護のことを考えると不安で仕方がないと言っているように聞こえる。
社会保障制度を知らない子どもたち
社会保障制度は全国どの地域でも平等に存在している。
困ったら行政に申請し、サービスを使うことができる制度である。
そのことを若者たちは知らない。
知らずして故郷を離れるから、不安しかないのだと思う。
学ばずして大人になるから、ひとりで抱え込んでしまうのだと思う。
日本海新聞 2021/5/13 朝刊 記事より引用
そこで、シンポジウム内のトークディスカッションで、学校教育の中で社会保障制度や介護のことを学ぶ、若者自身のライフデザインを考える時間を設けるよう提案した。
行政や教育委員会に授業時間を用意して欲しいと訴えるよりも自分で動いた方が早い。
早速翌日には、大学の講義において、社会保障制度の種類、家庭内で問題を抱えたらとにかく行政に相談に行くこと、ひとりで抱え込んではいけないことを伝えた。
鳥取県の課題は日本各地の課題でもある。
また、日本の課題は未来のアジアも抱えることになる。
マイナスと言われてきたことをプラスの発想に変え、
日本初と言われるような実験を住民参加型でやってみたい。
学生から、高齢者の移動支援に関わるビジネスを立ち上げたいと質問があった。
既に県内数か所で実証されていること、移動支援に関わる資格取得などについて回答した。
自分ごととして社会課題を考える。
そんな人々が増えていけば、地域も優しくなるし、住みよいまちになる。
今ある知恵を惜しみなく若者に提供し、彼らの「社会を良くしたい」という思いを応援できる起業家でありたい。
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