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【前編】Life Quest ~釜石で〇〇する人たちの多様な生き方〜第10歩目『「地域」から「地域」を伝えるということ。』×手塚 さや香

本記事は、岩手県釜石市で人生を探求し生き方を自分でつくることに挑戦し、様々な活動に取り組むゲストの生き方に迫っていくイベント型オンライン番組『Life Quest』の内容をnoteに転載しています。         
今回は、2020年10月5日に実施された第10歩目に取り組む『「地域」から「地域」を伝えるということ。』に取り組む手塚さや香さんをご紹介します。実際の放送については、こちらよりご覧ください。

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ゲストプロフィール:手塚さや香/2014年10月より釜石リージョナルコーディネーター(通称「釜援隊」)に所属。同協議会を通じて協働先の釜石地方森林組合で活動。
「釜石大槌バークレイズ林業スクール」の立ち上げや、視察・研修の事業化など、森林や林業に興味のある都市住民を呼び込むプロジェクトを担当してきた。Uターンの2名とともに「岩手移住計画」を立ち上げ、UIターン者のネットワークづくりや移住体験ツアーの運営にも取り組む。新聞記者の経験を活かし、記事の執筆、県内の一次産業者の直販などコミュニケーションのサポートも行う。

『「地域」から「地域」を伝えるということ』

手塚)私は釜石に来て6年経つのですが、それまでやってきたことをお話した上で今日のテーマのお話をしたいと思います。今、私は釜援隊という復興支援員の団体に所属しております。また、この釜援隊という団体を通じて森林組合に机と椅子を置いてもらって活動しています。

この森林組合も震災で事務所が津波に流され、職員の方も1名亡くなりました。ここのリーダーは「震災で漁業などの水産加工が被災したが、地域の山は残っている。地域の資源である山を若者の雇用の場としていきたい」という強い思いを持っていらっしゃる方で、その方と一緒に事業を進めてきました。

手塚)後程、説明しますが、釜援隊でやっていることの1つ目はソトから入ってくる人やお金、アイデアを組織(森林組合)につなぐこと、2つ目は地域(岩手、釜石)の木材ニーズを組織(森林組合)につなぐこと、3つ目は地域外の木材ニーズを組織(森林組合)につなぐことです。また、これとは別に並行して、岩手移住計画という団体で、県の移住体験ツアーの受託やUIターンのネットワークづくりにも取り組んでいます。最近、特に力を入れているのが、一次産業者と消費者を直接つなぐコミュニケーションの構築です。これらを、まとめるとウチとソトをつなげるコーディネーターという仕事を今までしてきたと考えています。

事例①森林組合で林業スクール

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手塚)これは、その名の通り林業に関わる人への人材育成の場なのですが、私が釜石に来るきっかけになったものです。これは、私が来る前から元々バークレイズというイギリスの外資系の銀行が支援してくれて、人材育成の場をしようというのは決まっていたことでした。森林組合は元々外資系企業と何かをするというノウハウももっていませんでしたし、どうしようかということ釜援隊に相談しました。

そして、釜援隊として森林組合と携わる人を募集し、そこに私が応募して釜石に来ることになりました。ここから、森林組合のリーダーや林業研究者などと相談し、林業スクールをどう進めていくのか決めていきました。今年度はコロナの関係で、中止になってしまいましたが、次年度は見通しが立てば行いたいと考えています。

事例②岩手移住計画での活動

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手塚)2つ目の岩手移住計画の活動ですが、これは新しい人を岩手に呼ぶというよりは、復興支援で岩手に関わって、任期を終え、地元に帰った人たちの中で希望してくれた人に岩手に留まってもらう、そのためのつながり作りができたらよいなということで2014年につくられた団体でした。その2.3か月後、国の方針で地方創生が重要視され始めて、その翌年に岩手県が初めて地方移住体験ツアーをするとのことで、コンペの募集があり、第2回出演していた細江さんや盛岡の旅行会社と企画を作り、それを受託してもらうことができました。それから5年間このツアーを運営してきました。

ツアーのプランを考える上で、移住を考えている方に岩手にいるどのような方に会ってもらいたいか、どういうところに行ってもらいたいかを大切にしながら、考えています。

事例③生産者と消費者をつなぐ

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手塚)3つ目の生産者と消費者をつなぐということに関しては、林業だけでなく農業や水産業の方と消費者をつなぐということをしています。具体的には、クラウドファンデングやECサイトのサポートなどです。

わたしにとって「伝える」とは

手塚)これらを踏まえて、先ほど説明した森林組合や移住定住の仕事など、どのように事業を作っていくかというと、財源を確保したり、収益を見込めるかという検討をしながら、林業スクールだったら企画の詳細や移住計画だったらツアープランだったりと、それらに協力してくれる方とのすり合わせを行います。これらの大まかな流れはどの事業でも同じだと思います。

手塚)私は前職、新聞記者である程度やり切ったなと思い、このような事業の立ち上げや企画を行っているのですが、いざ調整や企画を進めていくと最終的には「伝える」作業を通じて自分がやってきた企画を知ってもらわないことには林業の参加者やツアーの参加者が集まらないということに気づきました。そこで、改めて自分は新聞記者の仕事と釜石でやろうとしたコーディネーターとしての仕事は、そこまで重なるものとは思っていませんでした。結果的には、新聞記者を13年間やってきて、そこでやっていた伝える作業がコーディネーターをやっていても大切だと途中から気づきました。

とはいえ、新聞記者にとっての伝えることとコーディネーターの仕事の中の伝えることは共通するものがあるものの全く同じではないと思います。

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新聞に載っている記事の中でも新聞記者が自分でやっていることを書くことってあまりないと思うんです。書き手とは別に行動を起こしている人がいて、その先に読者がいるという構造で、ソトからの発信になっています。新聞というのは、読者にとって社会を考える判断材料になるものというのが一つの目的だと思います。

一方で、今私がやっている「伝える」ことは、どのような思いで取り組んでいるのかという想いを共感してもらうというところが目的になっています。ナカからの伝える作業は、読み手のより具体的なアクションを求めているものなのかなと思ったりします。

手塚)今日のタイトルにある「地域」から「地域」を伝えるということですが、中々難しいなと自分でつけて思いますが、あくまで私にとって、その地域に自分も暮らして、生活者として地域の弱み、強みを知った上で地域の当事者からエッセンスを抽出するということになります。たくさんある言葉の中でどの言葉を選ぶかということは、伝えたい相手や目的によって、変わると思います。

戸塚)ありがとうございます。手塚さんは、普段「伝える」側をされていますが、その中で手塚さん自身言葉でご説明する場はあまりないのでは、ないかと勝手に考えておりました笑                    また、お話を聞いて「伝える」の拡張をご自身が体現されているのではないのかと思いました。

ー後編では手塚さんご自身の人生について探求してきます!

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