【演劇】マクベスの妻と呼ばれた女(青年劇場)
2024年3月19日(木)、青年劇場スタジオ結にて、『マクベスの妻と呼ばれた女』を観劇しました。記録を残します。
■公演概要
(1)公演日程等
日程:2024年3月19日(火)〜31日(日)
場所:青年劇場スタジオ結@新宿御苑前
作:篠原久美子
演出:五戸真理枝
出演:武田史江、島野仲代、福原美佳、松永亜規子、秋山亜紀子、江原朱美、蒔田祐子、八代名菜子、竹森琴美、広田明花里
(2)導入とものがたり
本作は、『マクベス』のストーリーに、女中たちの視点が加わっているような物語でした。ホームページや配布チラシから引用します。
■感想
女性10人による舞台でした。男性の私からみても、とても面白かったです。いくつか感想を書いてみます。
(1)マクベス夫人について
シェイクスピアの作品にそれほど精通している訳ではないのですが、以前、『オセロー』のイアーゴについて書いたように、『マクベス』に出てくるマクベス夫人も、私が興味を持っている(好きな)登場人物の1人です。
これまでの(私の頭の中での)イメージでは、夫・マクベスを、犯罪に駆り立てるきつめの女性(悪女)といった感じでした。
しかし、今回の作品『マクベスの妻と呼ばれた女』を観て、視野が広がりました。脚本や演出などの力というのでしょうか、描き方によってこうも変わるのですね。
あまり詳しくは記載できませんが、今回のマクベス夫人は、上品で控えめな貴婦人でした。能動的に夫をそそのかすというよりは、受け身的というか。それが、すぅ~っと『マクベス』の世界に溶け込んでいました。
(2)ポーシャについて
登場人物10人。マクベス夫人以外にも、様々なシェイクスピア作品に登場する女性たちが登場します。
数名だけ挙げると、へカティ(『マクべス』)、ケイト(『じゃじゃ馬ならし』)、デズデモーナ(『オセロ』)、オフィーリア(『ハムレット』)などなど。
登場人物たちの背景を、それぞれの作品でおさえていれば、もっと面白そうでした。(私は全作を読んだり、おさえたり出来ていません。)
私が一番面白く感じたのは、ポーシャです。ポーシャは『ヴェニスの商人』に出てくる女性です。男装して弁護士として活躍します。
本作でも、謎解きの中で、彼女の頭の良さが反映されていて、楽しく受け止めることが出来ました。
(3)ジェンダーについて
私は「ジェンダー」についてそれほど詳しくなく、上野千鶴子さんの本を数冊読んだことがあるぐらいです。
本作は、(マクベスのような)男性から見た視点はほぼ入らず、マクベス夫人とそれに対する女中たちの視点から成り立っています。
「女性」が「女性」をどう捉えるか。同性という同じ立場であるが故に、(女中たちがマクベス夫人に)共感する部分もあり、反発する部分もあり。そして、「個人」「各人」の問題であるとともに「団結」や「連帯」の問題でもあり。
他方で、受け身的になりすぎず、主体的に生きていくことの重要性・必要性については、「ジェンダー」という枠組みを越えて、私個人としても大きく考えさせられました。
(4)戦争について
『マクベス』は、国王・諸侯が乱立し争いあう中世ヨーロッパの話です。他方、配布されたプリントの五戸さんの挨拶文によると、篠原さんが戯曲を書かれたのは、1990年〜91年の湾岸戦争の起きていた頃だとありました。
戦争は、長い歴史の中、世界の至る所で起きています。しかも今回は(3)で挙げた「女性」の視点から「戦争」を捉えていました。
■最後に
今回、2時間という舞台において、「戦争」や「ジェンダー」といった問題が凝縮されるとともに、個から多方面に世界が広がっていく面白さも感じることが出来ました。
(毎度のことなのかもしれませんが、)演劇などを観る時、フィクションの世界に、現実世界が凝縮される面白さを感じることがあります。そしてその後、現実世界の問題(戦争や格差)についても、もう少し目を向けないといけないなと考えるのです。どちらから入り、どのように問題意識を持つかは、時と場合によるし、人それぞれのように思います。
本日は以上です。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。後半、あまりまとまりのない文章になってしまいましたが、勉強不足の部分もあり、その点ご容赦下さい。そして、舞台で女中たちがモップを持つことがあることから、冒頭の画像は「モップ」で検索し、pandamdaさんの作品を使用させて頂きました。こちらもありがとうございました。
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