盗作について 私の経験

盗作について、編集者だった私の経験を書いておこう。

編集者人生の中で、2回、作家の盗作問題に遭遇した。

私が思ったのは、

「プロの作家でも、簡単に盗作するのだな」

ということ。

もう1つは、

「元ネタを少し変えれば、盗作ではない、と思うのだな」

ということだ。盗作なのに。

(いずれも古い話で、時効ではあるが詳細は避ける)

1つは読者からの指摘で、1つは私自身が気づいて発覚したが、発覚しなかった盗作もたくさんあっただろう。

昔はもっと多かったはずだ。明治時代には、外国の小説を「翻案」して創作のように発表することは普通に行われていた。

私の現役時代にも、ある学者の本を読んでいて、前に読んだ洋書と似ていると思ったことはあった。盗作かどうか、確認できなかったが。

デジタル時代、インターネット時代に入り、簡単にコピペできるようになって盗作の実行可能性が高まったので、メディアは、投書や投稿のオリジナリティを判別するさまざまな手段を講じている(その手段については詳しく知らないし、知っていたとしても書いてはいけないことだろう)。

盗作ではなく「パクリ」といえば軽い感じになるし、「パロディ」「オマージュ」といえば罪でもなくなる。

だが、一度でも盗作が露見すると、作家は信用を決定的になくす。

仮にそれが世間にバレず、作家活動を続けられたとしても、編集者の信用をなくし、決して回復しないことを肝に銘じるべきだ。



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