映画館で映画を(6)
問題はどこで終えるかですよね。😅
失速するまでに、なんとかせねば。
これまでのお話は
***
手術はトラブルもなく
あっけなく終わった。
術後は、救急患者専用の部屋。
病室へ着くなり
髪ぼさぼさの間から管を出して
いつも以上にブサイクな顔で
へらへらとビースをする写真を
撮ってもらって、
オットくんと第二弟に送った。
二人のリアクションは不明。
翌日の術後CTはまずまずだったので、
頭の管を抜いて、またホチキスでパチン。😱イタイ💦
「血の抜けた後は隙間ができるから、
しばらくは頭を振ると
チャプチャプって音がするらしいけど、
問題ないですからねー」と主治医。
いや、いや
そんな恐ろしいことは
わざわざやりませんて……。
でも頭の中の痛みはほとんど取れて
霧も晴れた。
そう、霧がかかっていたのだ。
顔を見に来た同僚が口々に言うに
「やっぱり、最近変だった」
「ぼーっとしているっていうか
覇気がないというか……」
じんわり広がった霧の存在は
取れるまで自覚がなかった。
頭痛も我慢できる程度だったので
手術2日前には、長距離を運転し
母を病院へ連れて行ったりしている。
後から医師に
「よくあんな状態で仕事をしてたね」
と言われたけれど
仕事より、運転中に何事もなくて
よかったな、と密かに胸を撫でおろした。
術後2日目には
一般病棟へ移った。
もったいないほどの広い個室。
こんなときまで
病院経営に貢献してる
自分に笑えてくる。
ベッドに大の字になった。
どうして今、こんなところに
いるんだったろう?
身体が不調のときには
全身で、回復しようというモードが
発動しており
考えているようで、考えられていない。
左脳の機能は必要最小限に
抑えられていたのかもしれない。
記憶もあるし状況もわかるのだけど
なにか大切なことを忘れているような
心細い気持ちになった。
入院は約1週間。
たいくつなほど
ゆっくり時間が流れた。
そんなある日、
母が熱中症で入院したと連絡が来た。
たまたま第一弟が帰省していたときに
様子がおかしいので
病院へ連れて行ったら
そのまま入院だったと。
当時まだ元気だった父は、
私がどうして帰ってこないのかと
しつこく尋ねてきたようだが
「出張中で帰ってこられない」
でなんとか誤魔化した。
さすがにこっちも入院中だとは
伝えられず。
母とシンクロしていたのだろうか。
面会制限中なので
めったに人は訪れない。
母を心配しながらも
特にすることがないので
たいくつな日中は
窓辺に座って
ぼーーーっと、外を眺めていた。
ちょうど今頃。
世間は夏休み。
遠くで蝉しぐれが聞こえる。
ふと向かいのベランダに
カラスが止まっていたのに気づいた。
カラスはじっとこちらをみて
目をそらす気配がない。
いつのまにか
私はカラスに話しかけていた。
<つづく>
***
タイトル画像は”麦田ひかる”さんにお借りしました。
コメントは……いりません。(笑)
そんなことがあったのかぁと
読んでいただけるだけで、いいんです。
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