アンナリータと夏のミラノ。プールサイドで仕入れたレシピ「愚か者のパスタ」オレキエッテ・アッラ・ミンキアータ
今週から仕事を再開している人も多いはずなのに、まだ、ミラノの街はまだなんとなくバカンスムードで、時間の流れ方が鈍い感じがする。車も人もまだ少ない。
来週になるとリラックスした感じの日焼けした人達でいつも通り街は賑わうのでしょう。
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「オレキエッテ」とはプーリア州(長靴の踵)名物の耳たぶ型のパスタ。
「ミンキアータ」とはイタリア語を知っている人ならギョッとする様な、特に南イタリアで使われるスラング。意味の詳細はレシピの後に書きますが「馬鹿」とか「アホ」の様な意味でも使われるので、あまり生々しい訳は避け、ここでは「愚か者のパスタ」と訳すことにします。
パスタのレシピとしては簡単で、名前に反して美味しいので「愚か者でも美味しくできるパスタ」と拡大解釈して、図らずも教わったレシピを投稿することにします。
アンナリータと行った夏のプールのことと、リコッタ・サラータの簡単な説明ははレシピの後に。
<材料> 2人分
・オレキエッテ 160g *生のものがあればベター
・プチトマト 100g *必ず味の濃いトマトを選ぶ。
・ルコラ 一束
・リコッタ・サラータ 100g
*文末に簡単な説明を加えます。
・エキストラヴァージン・オリーブオイル
*好みでペペロンチーノ入りのオイルを使っても美味。またはペペロンチーノを砕いて加える。
<作り方>
1・オレキエッテは沸騰した湯に人数分投入し指定時間茹でます。
2・その間にプチトマトを洗い、乾かして半分か1/4に切ります。
3・ルコラも洗い、良く乾かして一口大に切ります。
*ルコラは茎も美味しいので茎は捨てずに切って混ぜます。
4・リコッタ・サラータは 荒目に下ろすか、フォークで細かく砕きます。
5・2、3、4を混ぜてオリーブオイルを混ぜる。
*好みでペペロンチーノを加えてもよく合います。
オリジナルのレシピにはありませんが胡椒も似合う様に思います。
*このままでパスタを入れずにサラダとしていただくのも悪くありません。
6・1が茹で上がったら5に混ぜていただく。
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もと敏腕マーケティング・マネージャーから思い切ってアーティストに転身したアンナリータはプラスティックのゴミでアート作品を作る。
地球環境問題が頻繁に話題に上る昨今のヨーロッパでは、彼女の作品は環境問題意識を高めるために強い説得力があるため、新聞雑誌に頻繁に取り上げられている著名人とも言える。
それでは彼女自身は地球環境にローインパクトな生活をしているかというと、イエスでもありノーでもある。
「私はバカンスに行くのだったらホテルは絶対5つ星じゃなきゃ嫌!」といつも言っている。「ああ、ふかふかの白いバスローブ。そういうのを私の体は求めているの。」と付け加える。その趣向は決して地球環境にローインパクトではない、と私は思う。
でも5つ星ホテルに長く滞在するような余裕のある同伴者は見つからない。だから、滅多にバカンスには行かない。。。バカンスでミラノの人口が2割くらいに減る8月中旬でも、アンナリータはミラノにいて仕事していることが多い。これはかなりのローインパクトだ。
人口が2割と聞けば、5人に一人は残っているのなら良いじゃない、と思う人も多いかもしれないが、バカンスに行かない様な人はあまり外出もしない。だから外出しない人が残る8月中旬のミラノはゴーストタウンの様になる。観光客で賑わう中心部を除いて。
まあそれでも本当に砂漠の様だった30年前に比べたら、だいぶ8月のミラノも暮らしやすくなった。
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アンナリータのありがたい申し出があったのは、今年7月上旬、まだ猛暑になる前だった。
「私が通っているスポーツジムは屋外プールが広くて素敵なの。会員登録していない知り合いを2回は無料で招待できるから、暑くなってきたら一緒に行きましょう。」と。
夏休み前に終わらせる仕事が一段落した暑い日に、アンナリータに連絡してみる。
「ねえ、素敵なジムのプールに招待してくれるって言っていなかった?」と厚かましく。。
快諾してくれて、8月上旬、私のバカンス出発前に一緒に行くことになった。
ジム非会員が入場料を払って入る場合はかなり高額な料金のプールなので平日のその日はすいていたが、午後中くらいの気温が最も高い時間帯に人が少し増えてくる。
40代から50代くらいの数人のグループが、私たちの隣に陣取って、あまり上品でない話をしているのが聞こうとしなくても耳に入って来る。
延々と男女関係の話をした後、一番声の大きい女性がもう一人の女性に向かい「あなた、ミンキアータ作れる?」と。
私は耳を疑った。
ミンキアとは、特に南イタリアで使われる男性性器を意味するスラング。
ミンキアータとはミンキアを動詞化して過去分詞にしたもの。
他にも似たようなスラングはイタリアでは多く、聴き慣れているスラング、時には自分で口にしてしまうスラングもあるのだが、ミンキア、ミンキアータというのは南部の言葉なので殊更に下品に響く。
レシピの話と理解するのには次のフレーズを待つ必要があった。
一番声の大きい女性が続ける
「簡単で美味しいのよ。」と。
「プチトマトはダテリーニを使って。。小さく切るでしょ。」
*トマトの種類に関してはこちらをご覧ください。
https://cucina-kajorica.blogspot.com/2023/09/blog-post.html
「ルコラは適当な大きさに刻むでしょ。。。」
「それからリコッタ・サラータを荒目に下ろして、オリーブオイルと茹でたオレキェテに混ぜるだけ。好みでペペロンチーノを加えても良いわ。」
これででき上がり。
更に大事なアドバイスも加えてくれた。
「リコッタ・サラータなんてそんなに頻繁に使わないじゃない。でも冷凍しておくと便利よ。冷凍庫でなら1年くらいは持つし。」
とのことだった。
半信半疑でその場でネットで調べてみたら、本当にあった、オレキエッテ・アッラ・ミンキアータ
という名前のレシピが。内容はその一番声の大きい女性のと全く同じ。
家に戻って早速作ってみたら、簡単で美味しいのでご紹介します。
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<リコッタ・サラータについて>
リコッタ・サラータは南イタリアでは頻繁に使う食材の様です。
私は30年以上北イタリアに住んでいて、今回初めて聞きました。
言葉上では「塩をしたリコッタ」という意味ですがそんなに塩はキツくありません。
最近日本でも出始めている様ですが、フレッシュリコッタを10日以上熟成させたセミハードのチーズで南イタリア特産品。
一番声の大きい女性のアドバイス通り、4等分して約100gの塊にして半分は冷凍庫に入れました。
スーパーのリコッタ売り場。ヤギ乳や羊乳のリコッタなど色々並びます
リコッタ・サラータは一つだけ。
値段表示は100gの値段。以前は1kgの表示たっだのですが
近年のインフレで100g表示に切り替えた様です。
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