キアラのためのハムと人参の前菜ゼリーと国と人について
先週の夕食会の主賓はキアラ。一緒にグルメ友タマルとマウロも招待した。元々キアラは彼らのママ友だった。
キアラは現在抗がん剤投与中で免疫力が落ちているため、あまり大勢の食事には呼べない。
だから今回はこじんまりと少人数で。
それもまた色々じっくり話ができて良いものです。
このレシピは実は前に「肉料理」として投稿したチキンゼリーと基本同じなのですが、先々週の「フェルニ」と同様すみれの花と、出て来たばかりの柔らかいイタリアアンパセリの葉先を飾ったら可愛らしく出来て、きれいな写真も撮れたのでまた投稿してしまいます。
チキンゼリー
https://note.com/kajorica/n/n674c5c10ddda
https://cucina-kajorica.blogspot.com/2023/11/blog-post.html
今回は少人数分の前菜でお肉の量も少なくていいので、チキンハムを使いました。
普通のプロセスハムでもそれなりに美味しくできると思います。
「国と人について」はレシピの後に書きます。
<ハムと人参の前菜ゼリー 材料4人分>
・チキンハム 150g(牛タンハムがあったらベター、プロセスハムでもOKだと思います。)
・人参 中1本
・レモン汁 1個分
・ブイヨン入りゼラチン0.5 lt分
*ない場合はブイヨンとゼラチンを一緒にします。
・飾り *なくてもOK。
*今回は野生のスミレとイタリアンパセリの葉先を使いました。
<ハムと人参の前菜ゼリー 作り方>
1・鍋に0.5 ltの水とブイヨン入りゼラチンを入れ、ゼラチンを溶かします。
2・人参を小さめのみじん切りにして1に入れ少し煮て、ゼラチンがよく溶けたら火を止め冷まします。
*本格的な調理人さん達は人参は別に茹でるのだと想像しますが、私の料理は「最小の努力で最大の効果」が基本なので一緒に茹でてしまいます。
3・その間にハムを小さく切ります。
小さなスプーンで食べるので、スプーンにハムの切ったものが数個がゼリーと一緒に乗るようイメージして切ります。
*今回ハムの厚みはいつもよりも厚めにスライスしてもらいました。
4・銘々の器に(今回はシャンパン用のクープグラスを使用)3を盛ります。
5・2がだいぶ冷めてきたらレモン一個を絞り2に加え混ぜます。
6・5のニンジンの量が均一になるよう気をつけながら4に注ぎます。
7・6を冷蔵庫で冷やし固めます。
8・固まったら飾りつけます。(飾らなくてもOK)
*今回はイタリアンパセリの葉先と野生のスミレで飾りました。
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国と人について
今日は少しシリアスなお話です。
最初はこのタイトル「イスラエルとパレスチナについて」にしようかと思いました。
そう、今戦争が続いている真っ最中の。ただそういうタイトルにしてしまうと政治とか地政学の話と誤解され拒否反応を持つ人も多いのではないかと「国と人について」に変えました。
私が書きたいのは常に「人」の事。政治や地政学の話をしたいのではありません。
その日招待したタマルはイタリア国籍も持つイスラエル生まれのユダヤ人。
彼女は、「他人の困難を察する並外れた能力を持っている」とでも表現したらいいのか、他人が困っているのでは無いかと察知すると手伝いを申し出てくれたり、助け舟を出してくれたりと、いつもとても優しい。
親しい友人にでも頼み事をするのが苦手な私は、本当に困っていた時に、頼んでいないのに助けを申し出てくれて、彼女の心使いに深く感謝したことが何度もある。
私はその会食の10日前にある友人に愛想を尽かした。友人の友人で何度か会ったことがある程度だったけれどSNS上でオピニオンを交換することは多く、彼の友達と一緒に出かけないかと何度も誘われていたのを、口実をみつけてできるだけ会うのは避けていた程度の知り合いだ。
彼はエリート銀行員で最近まで大手銀行で投資リスクの分析の仕事をしていた。職業柄データを集めるのは得意だが、解析に人間的な見方が欠落していた。
イランに行ったと話した時も、イランは公開死刑をする国だ、とまるで国も国民も悪の権化という様な批判的な言い方をした。私だって死刑は反対だ。公開死刑などとんでも無いと思う。だからと言ってそれだけでイラン人を否定するのは間違っている。
私は個人でできるだけ地元の人と接触のあるように旅行するのが好きなので「国の方針」とその国民一人一人は必ずしも一致していない、と常に思う。
彼に呆れたのはFacebookで「反イスラエル人&ユダヤ人」というグループの管理人になってメンバーに招待してきたからだ。1回目の招待を却下したら、2度目の招待を送ってきて、自慢げにそのグループの管理人なので招待したと電話までかけてきた。私は当然断り、暫く不愉快な思いで悶々とした後、Facebookの友達から彼を削除し、チャットはアーカイブし消音設定にすることにした。
彼とは議論しても無駄だと思ったから。議論というのは理解し合える可能性のある時にするものだ。
日本ではあまり大きく扱われていないようだが、昨年10月7日のハマスの対イスラエルのテロで約1200人が殺害され数百人が人質として誘拐された。その報復としてハマスの本拠地のあるパレスチナ、ガザ地区にイスラエルが仕掛けた軍事攻撃が西欧ではほぼ毎日のようにトップニュースとして報じている。
戦争の報道はどんな戦争でも痛々しいが、このイスラエルの軍事攻撃は尋常で無い悲惨さがあり、ニュースで流される短いビデオも見るに堪えないほどだ。被害者も一般市民の死者はイスラエルの反撃開始4ヶ月半だけで約3万人に上っている。逃げ場もなく、負傷者手足の切断のための麻酔もなく、今ガザ地区に残っている人々は食べ物も飲料水も十分になく子供が餓死し始めていて、このまま停戦がなければ一般市民は餓死と疫病の蔓延などで絶望的な状況になることが予想されている。
たとえ10月7日のテロがイスラエルという国の存在自体を揺るがすものであったとはいえ、過剰な反撃であることは誰の目にも明らかで、政治的にはアメリカ寄り、ひいてはイスラエル寄りの西欧各国でもパレスチナ保護を訴える大規模なデモンストレーションが各地で多発していて、反ユダヤ意識も膨らんで来ていることも否めない。
イタリアのマスコミでは現在のネタニヤフ政権のイスラエル国内の支持率は15%と極端に低い事を伝えつつも、過度の反撃を過半数の国民が支持している事を報道しているが、イスラエル国内は右翼極保守派のオーソドックスユダヤ教徒の家庭は子沢山で十人という家庭も多い一方、特に宗教的に熱心でない家庭の子供の数は一人か二人。建国以来三代目四代目の世代に入り、民主的な選挙にも反映されるという特別な国内事情もある。
彼が管理しているFacebookのグループが「反イスラエル人&ユダヤ人」ではなくもし「反ネタニヤフ政権」というのだったら理解、共感できる。イスラエル建国以来最も極右寄りの一政権のすることへの反感を全国民と世界中に散財する一人種に標的向をき変えるのは断じて間違っているし愚かだとさえ思う。
イタリアはキリスト教徒が古代ローマに到達する前からユダヤ人はいたというお国柄なので、ユダヤ人は多い。本人に言われなければそうとわからないくらいイタリア社会の一部となっている。私個人が知り合った範囲のユダヤ人は、自分に甘えがなく理性的でかつ人間的に温かいというのが共通する印象だ。
シェイクスピアの「ベニスの商人」に登場するユダヤ人などとは全く異なる。
イスラエルの軍事攻撃開始以降タマルがどんなにパレスチナの被害に心痛しているか想像できたが、簡単に電話やメッセージで話せる類の内容では無いデリケートな話題だったのでこの会食でゆっくり話せて良かった。
想像していたようにタマルは現在のガザ地区の人々の状況に心を痛め、イスラエル国籍を放棄しようかとまで悩んでいて、自分で何かできることはないかと模索している。
イスラエル、パレスチナ問題は世界中の戦争の中でも最も平和的解決の見えにくい戦争。
私が彼女の立場だったらと想像すると胸が詰まる思いだ。
1日も早い終戦を願ってやまない。
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