税務調査の話 その7 〜非違事項別解説① 売掛金〜
元国税職員による税務調査のあれこれ。今回から非違事項(誤りや不正による要是正項目)別の解説をしていきます。いよいよ筆者の経験をお披露目するシリーズとなります。初回は売掛金について。
これまでの記事(税務調査の話その○)
売掛金の調査は基本中の基本
駆け出しの国税職員(事務官)が最初に見方を覚えるのが売掛金の計上漏れです。
売上は、商品を引渡した時やサービスを提供したときなどに計上することなになっています。請求書をお客さんに送付しているかどうかは関係ありません。
小規模企業では、請求書送付ベースで売上を計上していることが多いと思いますが、事業年度末もこのままだと売掛金の計上が漏れてしまいます。
例えば、3月決算の会社で、お客さんに20日〆翌月末払で商品を販売しており、請求書を当月末に送付しているとしましょう。この場合、3月21日〜31日の売上は、3月末に送付する請求書ではなく、4月末に送付する請求書に記載されます。決算月は、4月の請求書から3月中に出荷した商品の分も拾ってきて売上・売掛金を計上する必要があるんですね。
当然、こんなの税理士なら皆んな分かっています。しかし、税理士も事務員任せなのか、見落としていることが結構あるんです。税理士が付いてない場合は、高い割合で計上漏れとなっています。
決算月の翌月の請求書を見れば誰でも発見できるので、駆け出しの事務官は、まずこれを見つけてこいと指導を受けるんですね。筆者も最初の調査で数百万円の売掛金計上漏れを見つけて嬉しかった記憶があります。
ただ、こういった期間帰属(いつの売上かなど)の誤り(期ズレ)については、2期間を通して見れば本来納めるべき税金は変わらないので、税務署ではあまり評価されません。とはいえ、申告是認になるよりずっとずっとマシですし、加算税が取れるので、調査の初期で期ズレが見つかると調査官は安心します。
ちなみに、期ズレでも仮装・隠蔽を伴う場合は、不正所得(所得隠し)となり、重加算税の対象となりますので、税務署でもとてもとても評価されます。こちらについては、また別の記事で取り上げます。
おわりに
非違事項別解説の初回ということで、まずは基本中の基本の売掛金の期ズレについて説明しました。次回は、売上除外とその手口です。筆者は、かなり巧妙な手口を解明した経験があるので、このエピソードも記載します。お楽しみに!
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