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サービスの進化に必要な引き算
「機能を削る手法と考え方」

「始めるのは簡単だ。続けるのは難しい。終わらせるのはさらに難しい。」と言われます。

サービスの機能についても同じで、新しい機能を追加することよりも、機能を削っていく方が格段に難易度が高いです。

しかし、複数の研究から、80%のユーザーがプロダクトの機能のうち20%しか使っておらずサービスの複雑さは、一般的に機能性を低下させ、プロジェクトマネジメント自体にも悪影響を及ぼすことが分かっています。

※ プロダクトの複雑性がいかにサービスに悪影響を及ぼすかについては、以下noteで詳細な解説をしています。

このnoteでは、非常に重要なテーマでありながら、ほとんど語られることのない「いかにサービスの機能を削るか」という問いについて解説していきます。

機能の重要性をいかに評価するか

「機能を削る」ことを考える上で、まずは適切に機能の重要性を評価することが重要です。

特定の機能がうまくいっているかどうかは以下のように分解できます。

つまり「どれだけ多くのユーザーの使われているか」、「その機能からユーザーがどれくらい価値を感じているか」の2つの軸で評価する、という考え方です。


そして、それぞれ下記に細分化され、対応する分析手法も以下のようになります。

■ User Adoption

  1. 機能の利用比率:全体のユニークユーザーに占める該当機能使用ユニークユーザーの割合、新規ユニークユーザーに占める該当機能使用ユニークユーザーの割合。

  2. 平均使用回数:該当機能を使用しているユーザーは月内、週内などの一定期間の中でどれくらいの頻度使っているのか。

  3. 機能Retention率:1度機能を使ったユーザーがその後、2度3度使うユーザーはどれくらいの比率いるのか。

■ Value

  1. 顧客維持率:該当機能の使用有無でリテンション率などにどれくらい差が出ているのか。

  2. 定性データ(VOC):ユーザーインタビューで得られたユーザーの声の中でどれくらい該当機能が評価されているか。

  3. 機能の満足度スコア:機能ごとに取得する満足度スコアの高低。


機能の仕分けと対応方針


サービスの主要な機能について、上記で解説したAdoptionとValueの評価を行い、下記のようにアクションを取っていきます。

  • 右上(Value/Adoptionともに高い)→ うまく行っている機能なので、より機能を磨くことによるValueアップと、導線やユーザビリティ改善によるAdoptionアップを図る

  • 左上(Valueは高いがAdoptionは低い) → Adoptionを上げるべく導線やユーザビリティ改善、コーチマークによる誘導などを行う

  • 右下(Adoptionは高いがValueは低い)→ プロフィール設定などAdmin的な機能がよくここに入り、基本はそのままでOK

  • 左下(Value/Adoptionともに低い) → 設定変更などのAdmin的な機能はそのままでOK、開発/運用工数がかかっているのにこの象限に属する機能は削除することを検討

注)それぞれの値が高いか低いかは完全にケースバイケースで、基本はサービス内の機能間を比較した相対評価を行います。


上記のようなFeature Successを分析するタイミングは主に下記の以下2つです。

  1. 新機能をリリースして計測データが溜まったタイミングで都度分析

  2. サービスに機能が増えてきて複雑性が増してきた状態で一気に分析

まとめ

いかに新機能を追加するか、については多くの解説記事が出ていますが、いかに機能を削るか、についてはあまり情報が共有されていないと感じています。

適切な新陳代謝がなされないままに、サービスに機能が氾濫してしまうと、それだけでUXは蝕まれていきます。

本noteが長期的に高い水準のUXを実現するヒントになれば幸いです。

さいごに

わたしは現在、「先端テックの変化を捉えながら上手くサービス戦略に落とし込めない」、「グロース戦略やサービス体験の設計を我流でやってしまっていて効果が最大化されていない」という企業の課題を解決する「サービス戦略と先端テックに強い経営顧問」として、約10社ほどをサポートさせて頂いています。

ご興味がある企業の方はお気軽に会社サイトのフォームやTwitterなどでご連絡頂けますと幸いです。


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