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人として、企業として、クリエイターとして、このAIの波にどう向き合うべきか。

AIが凄まじい勢いで進化する中で、1人の人間として、企業として、クリエイターとして、このAIという存在にどう向き合うべきかモヤモヤしているという方は多いのではないだろうか?

このnoteでは、「人間として、企業として、クリエイターとして、このAIの波にどう向き合うべきか」というテーマについて考えていきたい。

AIは人間の脳にとっての新しい新皮質的な存在である


まず、人間とAIの関係性という観点で、これからのAIの進化は"人類史的な"ターニングポイントとなるはずだ。

我々人間の脳は、運動や本能を司る原始的な小脳の周りに、言語や思考を司る大脳新皮質が覆う形で形成されて進化してきが、AIは人間にとっての新しい新皮質、いわば「Artificial Cortex」とも言うべき存在になるだろう。

なぜそう考えるかというと、生成AIサービスによって人間の生産性が10倍以上になる事例がすでに出始めているというのが1つある。

例えば、すでに多くのエンジニアが使っている開発向けの生成AIサービス「Github Copilot」では、現時点でエンジニアの生産性が2倍になっているというデータが出ており、次のバージョンの「Github Copilot X」は10倍を実現するべく開発が進んでいる。

https://github.blog/2023-05-05-web-summit-rio-2023-building-an-app-in-18-minutes-with-github-copilot-x/

私の顧問先でも特定のワークフローで生産性を10倍以上に改善するというのはざらに起こせており、これから100倍、1000倍も普通に実現すると思っている。

そして、能力が1000倍も差がついてくると、これまでは「テクノロジーに強い人」と「テクノロジーに疎い人」くらいの対比でしかなかったが、これからは旧人類と新人類、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人くらいの差が出る。

「サピエンス全史」のハラリも「ホモデウス」で近しいことを言っているが、「脳の新しい皮質になる」「新人類と旧人類くらいの差を生む」くらいの存在としてAIは捉えて個人としても企業としても向き合った方が良い。

その時代に企業や個人はどう立ち回るべきか


では、そのときに企業や個人はどう立ち回るべきか。

わたしは、AI新皮質「Artificial Cortex」と、生態的な脳の間の回路の数や、回線速度をいかに上げるかが鍵になると考えている。


10年以内にはNueralinkのように、マイクロファイバーで脳とAIを直接つなぐ時代が来ると思うが、それまではひたすらAI対話力を上げるのがポイントだ。

AIを実際触って、パートナーと呼べるくらい親しんだ生成AIサービスやエージェントを増やし、AIを使いこなすためのプロンプトエンジニアリングと呼ばれる言葉の使い方を学び、自分の頭の中のイメージを言語化するための能力や語彙の引き出しを磨く、ということが非常に重要になってくる。


生成AIが企業や個人の創造性やクリエイティビティにどのような影響を及ぼすか?


次に、AIが人類の創作活動やクリエイターのありかたに与える影響を考えていきたい。

まず、「クリエイティビティは人間の"専売特許"ではなくなった」と言える。

それを象徴する面白い研究がドイツのフンボルト大の「Artificial muses」という研究だ。

人間の創造性を評価するAUTというテストで、すでにGPT-4がほとんどのタスクで人間を上回り、しかも、GPT-4よりも創造性が高い人は100人中たった9人しかいなかったという結果となった。

顧問先のAI企業 エクサウィザーズ社の資料から抜粋


現時点でもすでにAIの創造性は人間に迫っている上に、2030年までにはテキスト領域でも画像領域でもどんな専門家よりもAIが良いアウトプットをつくると言われている。

https://www.sequoiacap.com/article/generative-ai-a-creative-new-world/


つまり、一昔前と違って、AIも創造性を発揮する時代に我々は生きていると言える。

では、人間が完全にAIに創造性を明け渡すかというとそうではなく、AIによって創造性を拡張された企業や個人が活躍する時代が来ていると私は考えている。

当面の間、AIが得意なのは、確率論的に確からしい答えを生成することと、バリエーションを大量に生成することの2つなので、論理を超越したアイデアを出すであったり、無数のバリエーションから目利きをして、責任を持って選び取り、周囲を熱狂させていくというのは、まだ人間にしかできない行為だ。

人間とAIがお互い補い合う創造性の形がこれから主流になるだろうし、そのAIパートナー力が強い企業や個人がこれから存在感を発揮する時代になるだろう。


AIを親友にできた個人や企業にとっては黄金時代に

強調したいのが、企業やクリエイターの知的生産行為がAIに代替されることはない、ということだ。

そうではなく、AIを使いこなした企業やクリエイターがそうでない企業やクリエイターを代替するという構造が、これから起きる変化である。

よく、AIはCo-pilot、副操縦士と言われるが、本当にその通りで、AIは競争相手ではなく、パートナーである。

そして、これからの時代、AIを良き友にできた企業やクリエイターは強い。そしてめっちゃくちゃ楽しいはずだ。

なぜなら1人1人に、不眠不休で働く100人の弟子が常に横にいる状態であり、理想を即アウトプットできるからだ。

しかもスキルの制約はなくなり、センスの良さ・AI対話力がクリエイティブ力に直結する時代になる。

そういった意味でAIを親友にできた個人/企業にとっては黄金時代だと思っている。


今後、各個人、企業がAIの恩恵を享受するためにどう向き合っていくべきか


生成AIを使いこなすためには、「本の表紙を読むだけでなく中身を読む」のが一番大事ということをを伝えしたい。

実際に生成AIツールを触ってみるのが絶対的に重要という話で、当たり前だと感じると思うが、新しいAIサービス登場のニュース自体はキャッチアップしているが実際に触ってみている人は驚くほど少ない。

それは例えると、本の新刊が大量に並ぶ書店を通り過ぎながら表紙だけを見て回って実際に知識を得たような気分になっているのと同じだ。

本当に知識を得るためには、表紙を眺めるだけではなく、実際にその本を手にとって中身を読み、気に入ったなら実際にお金を払ってその本を購入して自宅でじっくり読む必要がある。

したがって、とにかく本の表紙だけでなく中身を読むべきだ、というのを伝えしたい。

そして、「組織の上に立つ人間ほどAIを触るべき」だと思っている。

なぜなら、インターネット登場時に、インターネットのインパクトに気づいてそれを触りながら肌感を得たトップが率いる企業は成長し、そうでない企業は衰退したように、すでに生成AIでもえげつない差が付き始めている。

このnoteをここまで読んでくださっているということは、AIの勢いにチャンスや危機感を感じられている方々だと思うので、今回の激変の中で個人としても所属/経営する企業としてもAIのポジティブな側面を享受できるように、ぜひ「本の表紙だけでなく、中身を読む」というのを今日から意識して頂ければ幸いだ。

さいごに

生成AI領域を自社事業に活用したい企業の顧問・コンサルティングの仕事をお受けしております。ご興味がある企業の方はお気軽に会社サイトのフォームやTwitterなどでご連絡頂けますと幸いです。


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