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2023年5月の読書記録まとめ

今回は、2023年5月で読んだ本をまとめていきます!
この毎月の読書まとめをnoteに投稿すること、しっかり習慣化していきたいです。

「感想の長さ」=「僕の気に入った度」と解釈してまったく差し支えございません。笑 

屍人荘の殺人

今村昌弘

相変わらず事前知識なしで読んだわけだけど、まさかまさか〇〇〇〇〇だったとは(ネタバレ回避で伏せます)。

クローズドサークルを”つくりだす”手法や事件のトリックは、今までにないミステリーなのは間違いない。
が、うーん、なんとなく“コレジャナイ感”がほんのわずかに心の隅にある。
それがてばなしに推すことができない理由かな。

とはいえ、比留子さんをはじめキャラはそれぞれ魅力的で違いもちゃんとある。怪しそうな人物やそうじゃなさそうに見えて…みたいな描写も好きだし、総合的には面白い部類なのは間違いない。明智さんと葉村くんの関係性を、、とは思うけどね。

で、シリーズ二作目の『魔眼の匣』の方がおもしろい、より好きになる、この作者、シリーズに惹き込まれるっていうのは納得。より“超能力ミステリー感”を感じるからね。続きのシリーズも早く文庫化してほしいなぁ。
そして案外、2→1の順番で読んだ今回の読み方、正解かもしれないな。

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楽園とは探偵の不在なり

斜線堂有紀

探偵もの、ミステリーというには、少々物足りないのは事実だと思う。
ただ、この本の主題はそこじゃない
探偵の存在意義を問い、そして、正義や不条理を問う。天国、楽園、死後の世界についても問うている、そんな気がする。
とはいえそれらに解答を用意してくれているわけでもないので、あくまでそれらを考えるきっかけになる、というだけだが。

そういう意味では、他とは違う雰囲気があるのは間違いないし、SFにジャンル分けされてもいいかもしれない。最近は“特殊設定ミステリー”にハマっているが、それらとも絶妙にちがうよなぁ。

なめらかな世界と、その敵

伴名練

赤坂アカ先生の絵に惹かれて買ったこの本、相変わらず内容は読み始めるまで知らず、まさか中短編集だったとは…笑。今の時期は長編を読みたい気分なので少し物足りなさを感じているが、記憶の上では、日本人のSFは伊藤計劃に継ぐ2人目なわけで(嘘、『ユートロニカのこちら側』をSFとカウントするなら3人目だと後で気づいた、ごめんなさい)、その部分ではとても楽しめた。
斜線堂有紀さんの解説を読んで(斜線堂さんの『楽園とは探偵の不在なり』を読んだ後だったのは本当にたまたま)、描き方というか、言葉を借りれば、“繋がり”と“隔たり”を描くのがうまいというか、そういう作品の魅力に言葉として気づけたのがよかったな。

自分の中での評価が”あと一歩”と感じているのは、きっと他の作品に比べると、読み終えた後のインパクトが弱いから。これは“読みやすかった”ということなのかもしれないが、なんだろう、やっぱり今の自分は読書に刺激を求めているのだろうか。やはりそういう意味では、自分の今の感情の状態を見るためのツールとしても良いものだな、読書は。

逆にいうと、みんなへはこの作品はオススメできる。それこそ、SFの入門としては読みやすいし、この一冊でかなり雰囲気の違った作品が読めるから。日本SFの偽歴史をあたかも本当のように語っているのなんて“これぞフィクション”ってかんじだし、物語のすべてが“手紙の文面”っていうのも、ありそうでなかなかないし、それでいて作品としてもおもしろいっていうのがすごい。うん、やっぱり作品の評価としては本当に4.9/5ってかんじなんだろうな。あと半歩。

SFと言われると、宇宙ものだったりゴリゴリの近未来ものをイメージするけど、それは海外作家が描くSFの印象が強いからなのかもしれない。日本人SFは、いま現代の延長にフィクションだとわかる設定が乗っかっている、だからこそ、より身近に感じられて、だからこそ「いいなぁ」とか「大変そうだなぁ」とか、そういうのを感じやすくて、作品から感じられるものがあるのかもしれない。
そしてその中に、人と人の心のやり取りもある、むしろ実は、そっちがメインだったりする。
心のやり取りがメインっていうのは、海外の作品もだけど、なるほど、実はSFの本質はそこなのかもしれないと気づけた。人と人の心のやり取りをより顕著にするための“装置”、それが“隔たり”と“繋がり”を“SFという舞台で描く”ということなのかもしれないね。

ともあれ、掲載されている作品のうち、一つはお気に入りが見つかることは間違いなしの素晴らしい一冊です。

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ジョーカー・ゲーム

柳広司

スパイ小説ということでどんな内容かと思って読んでみたが、、うん、物語としてシンプルに面白かったと思う。マンガを読んでいるような感覚に近かったかも。純粋に、面白いから読む、みたいな。

上手く言えないけど、小説とマンガの違いって、文字だけなのと絵なのと以外にもある気がするんだよね。それを感じられた気がする。

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今月の一言

たった一つの明日は、きっと今日よりずっと、暑くなる。

『なめらかな世界と、その敵』より


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