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技能実習生面接のためインドネシアへ!涙ながらの家庭訪問も
今年2月、はじめて技能実習生受け入れを行った海邦福祉会。
不安もありながらの技能実習生受け入れでしたが、入ってみるとむしろ「指示待ちしない」「現場が明るくなる」など、現場から嬉しい声が続々と届いているそうです。
ということで来年も受け入れを予定している海邦福祉会。技能実習生の面接は、受け入れから半年以上前に行うことが多いそうで、今年6月に面接を行ったとのことですが...
なんとインドネシアまではるばる面接に行ってきたとのこと!
オンライン面接でも済ませられるのに、なぜ現地まで足を運んだのでしょうか。衛生面や治安についても不安がありましたが、実は面接以外の目的もあり、現地に行くと決めたとか。
インドネシアがどんな国だったのか。そして技能実習生の生面接はどうだったのか。そしてもうひとつの目的について、知念恵さんと、現場代表として同行した泉川亜紀さんに伺いました!
<取材執筆:外部広報/三好>
時間をかけてでも、インドネシアに直接出向くことにした理由
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ー前回はオンライン面接で技能実習生を採用したそうですが、今回現地に行こうと思ったのはどうしてですか?
恵さん「前回のオンライン面接では、事前に送っておいた質問にあちらが答えるだけの、一問一答スタイルでした。だけど質問への答えは定型文的なものばかりで、そこから選ぶのが難しかった。だから直接会いに行って、人柄を感じたかったんです」
ー確かに定型文だと判断が難しそうです。今回、インドネシアは初めてだったんですか?
恵さん「はじめてでした。現場代表として同行してくれた亜紀さんは、海外もはじめてだったんだよね(笑)」
亜紀さん「そうなんです。パスポートをつくるところからはじめました(笑)」
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ーインドネシアはどんな国でした?
恵さん「気温や湿度は沖縄と似てるなって思いました。6月だったけど30度超えてたし(笑)。生えてる植物も沖縄で見るようなものが多かったですね。ただ、カルチャーショックはたくさんありました。一番困ったのはトイレです。日本の衛生感では考えられない環境でした」
亜紀さん「トイレはやばかったですね。あっちではトイレットペーパーがなくて、用を足した後はトイレの隅に用意されている水を使って、左手で洗うんです」
ー用意されている水...。怖いですね。
恵さん「これを使うのはちょっと無理だと思ったので、私たちは常にティッシュを持参してやり過ごしたんだけど、水を流すための桶も、なんかベタベタしてて。触るのに勇気が必要でした」
(写真を見せてもらう)※自主規制
ーこの桶を触るのは怖い...!他にはどんなカルチャーショックがありましたか?
恵さん「到着時、キャリーケースが届かなかったことにも驚きました!職員さんに聞くと、香港から乗せ忘れたとのことで『モールがまだ開いてるから大丈夫だよ。本当に必要なものをモールで買えばいい』と言われてしまって(笑)」
ー謝らない(笑)。
恵さん「そう、謝らない(笑)。貧富の差もとても感じました。その辺で寝てる人や物乞いをしている人が、あちこちにいるんです。かと思えば、一本入ったところには噴水付きの豪邸が並んでたりする。通り一本違うだけで、街の雰囲気が全然違うんですよ。道の舗装すら違う」
ー道の塗装ですか。
亜紀さん「よそ見してたら落ちちゃいそうでしたよね(笑)」
ー落ちる...?!
亜紀さん「マンホールがあるべきところに穴が空いてるんです。だからちゃんと下を見て歩かないと落ちちゃう(笑)。でも下ばかり見ててもダメなんです。歩道がなくて、歩行者優先って概念もないから、ビュンビュン走る車にも気を付けないといけない」
恵さん「道を渡るときなんて、大縄跳びみたいな感覚ですよ。タイミングを間違えると死ぬかもしれない。さらに治安も悪いから、絶対に日本語学校の人たちとはぐれるわけにはいかなくて、ついていくのも必死(笑)」
ーひえ~。歩くだけでめちゃくちゃ疲れそうですね。
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亜紀さん「通訳の人が『インドネシアは人の命が安い国です』と言っていたのも印象的でした」
恵さん「命がお金で買えてしまうんだよね。通訳の方が話してくれたエピソードも衝撃的でした。その方は、足を怪我をして病院に行ったら『切断しますか?20万円です』って言われたらしいんです。怪我ですよ?化膿してるくらいの。おかしいと思って日本に帰って病院に行くと、もちろん切断するような怪我ではなかった。病院すら、ちゃんと見極めないと、何をされるか分からない」
ーそこでおかしいと思わなかったら、足もお金も失っていましたもんね...。
面接へ。「日本人の面接で、こんなに真剣なまなざしを向けられたことがない」
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ー面接はどうでしたか?
ふたり「(突然笑いだす)」
ー爆笑!何があったんですか(笑)?
恵さん「面白かったよね。面接自体は、なんていうのかな。教科書通りの自己アピールでした(笑)」
ーオンラインの時と同じ。
恵さん「そうそう。声は大きくて、それっぽい回答をしてくれるんだけど、イレギュラーな質問をしたら固まる(笑)」
ーAIみたいですね(笑)。
恵さん「本当にそんな感じ。しかも30度越えてるのにエアコンがないから、私たちは汗だくで頭が回らないし、話しはじめたと思ったらお祈りの放送が大音量で流れてきて、全然聞こえない(笑)。だから正直、話した内容はあんまり覚えてないんです。だけど、皆さんの真剣さは伝わってきました。日本人の面接で、こんなに真剣なまなざしを向けられたことはありません。必死なんだなって思いました」
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亜紀さん「退出する時はなぜか、体をこっちに向けたまま、ドアのほうに後ろ歩きして去って行ったのも面白かったですよね(笑)」
恵さん「お尻を向けてはいけないってルールがあるのかもしれないんですけど、こっちは笑いをこらえるのに必死(笑)。だけどそのおかしさも含めて、去年のオンライン面接では見られなかったことでした。皆さんがどんな環境で学んでいるのかを知ることができて、よかったです」
ー採用する人は決められたんですか?
恵さん「決まりました。定型文的な回答はおいておいて、こちらが投げかけた質問への回答や立ち振る舞いなど、前回よりは判断材料は多かったから。なんとなくこの人がうちに合いそうだねって、話し合って決めました」
「目的はこれだったと言っても過言ではない」もうひとつの目的
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ーもうひとつ、インドネシアに行く目的があったと聞いています。
恵さん「面接に行く話が出た時『だったら今うちで働いてくれている子たちのご家族に、挨拶に行きたいね』って話になったんです。インティさんだけ、インドネシアでも飛行機を使わないと行けないような場所だったので叶いませんでしたが、リアさんとワンダさんの家庭訪問は叶いました」
ー叶ったんですね!訪問されて、どうでしたか?
恵さん「話は聞いていたけど、本当にひとつの家に一族で暮らしていて驚きました。いとこや親戚もいて、子どもも多かった。『誰までが家族ですか?』って聞きたくなったくらい(笑)。平日の日中に一族が揃って家にいることも、驚きましたね」
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ー子ども達は学校に行っていないということなんでしょうか。
恵さん「早退させたと言っていたから、学校には行っているのかもしれないです。仕事や学校を早退するくらいの、一大イベントとして歓迎していただいたんだなぁと感動しました。この村にきた初めての日本人として、YouTuberが取材に来るほどだったんですよ(笑)」
ーどんな話をしたんですか?
恵さん「あちらからは、ワンダさんとリアさんの生い立ちや、日本に来るために頑張っていた話などを教えてもらいました。手料理をふるまってもらったり、楽しい時間でしたよ。私たちからは、ふたりが今仕事でこんな風に頑張ってくれていますよということを伝えました」
亜紀さん「あの子は昔から頑張る子だったとか、いい職場で働けているようで安心したと言いながら、皆さんぼろぼろと涙を流されていたのが印象的でした。よくしてもらってありがとうございますって、泣きながらお礼を伝えてくれて、こっちもウルウルしちゃいました」
恵さん「きっと日本の悪い噂も聞くんでしょうね。適当なところに住まわされて、低賃金で雇われているとか」
ー不安だったでしょうね。
恵さん「会ってちゃんと確認できて良かったんだと思います。私たちも、会えてよかった。もしも私が親だったら、やっぱり不安ですから」
亜紀さん「安心してもらえたことが、わたしたちも本当に嬉しかったし、会えてよかったですよね」
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ーインドネシアに行って、よかったと思いますか?
恵さん「行ってよかったです。今うちで働いている子たちに、より親近感が持てたし、ご両親を安心させられたこともよかった。それに彼女たちが育った環境を体感できたのも大きかったなと思います。まったく違う文化で暮らしていたのだと肌で感じたことで、もしかしたら私たちには居心地がいいことも、彼女たちにとっては違うかもしれないと思えるようにもなりました」
亜紀さん「家に行けたことが一番でかいですよね。ふたりのご家族に会えて本当によかった。彼女たちが暮らしてきた家庭環境を知れてよかった。目的はそれだったと言っても過言ではないです」
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恵さん「ごはん、辛かったよね(笑)」
亜紀さん「辛かったですね~(笑)。リアさんとワンダさんが『いつも作るものより甘めに作って』って伝えてくれてたみたいだけど、それでも辛かった」
恵さん「しかも飲みものは超あまい(笑)」
亜紀さん「珈琲すら激甘でしたね(笑)」
恵さん「日本に帰ってきて、トイレが綺麗でふたりで喜び合ったよね」
亜紀さん「あの日以降、合言葉は『あそこでトイレできたから、だいたいのことはクリアできる』になりましたよね(笑)」
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インドネシアの思い出話をしながら笑いあうふたりを見て、過酷で、面白くて、温かい3泊5日を通して、おふたりの絆もより強くなったんだなと感じました。
ー
取材を終えた帰り道、ふと技能実習生3名のインタビューを思い出しました。
あの日、3人のうちひとりが「日本はいい国だから、家族からはドウゾドウゾと背中を押されました」と言っていて、他のふたりもウンウンと頷いていたのです。不安を隠しながら、ドウゾドウゾと背中を押した家族の気持ちを思うと、胸が苦しくなりました。そう思うと、今回会いに来てくれたことが、どんなに嬉しかったことでしょう。
トイレや治安に苦労しながらも「会えてよかった」「機会があればまた行きたい」と笑うふたりを見て、来年もまた新たな技能実習生の方に会うことを楽しみに思いました。
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