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「何度もやめたいと思った」泉川さんが2回辞表をひっこめた理由

こんにちは。
海邦福祉会、外部広報担当の三好です。

前回の記事では、一度辞めたけど戻ってきた大湾さんにインタビューしました。そして前回の記事で海邦福祉会には、辞めそうで辞めない方もいると言っていましたね。

そう、今回は辞めそうで辞めない方、もとい5回辞めたいと口にして2回辞表を提出し、結局今も海邦福祉会で支援員として働いている「泉川亜紀(いずみかわあき)」さんにお話を伺いました!

未経験からの世話人デビュー。楽しくて「仕事って感じがしない」

第一印象から、とても明るくて笑顔が素敵な泉川さん。とにかくまとう雰囲気がとっても明るくて、とても5回辞めようとした人には見えない!というのが率直な印象です。

三好「泉川さんは、もともと福祉のお仕事に興味があったんですか?」

泉川さん「いえ全然!もともと保育士をやっていたんですが、保育士を辞めたくて自分でパーラーを経営することにしたんです。だけどパーラーの仕事は思ったよりも孤独で。耐えられなくなったとき、海邦福祉会で世話人をやっていた先輩からやってみないかと誘われたんです」

隆生さん「やってみてどうだったの?」

泉川さん「とっても楽しかったです。利用者さんとおしゃべりしながら料理をして、家事をして。仕事って感じが全然しませんでした。」

泉川さん「世話人デビューして3か月たらずくらいのとき、友利さんから『あなたはこっちの人じゃないよ。本家に行きなさい』と言われたんです。本家というのは入所施設(重度障がいのある人が生活上の支援を受けながら集団生活するための施設)のことなんですけど」

三好「なんて返事したんですか?」

泉川さん「それもいいですね~って言いました。世話人の仕事が本当に楽しかったし、友利さんがどこまで本気なのか分からなかったので、軽い感じで。だけど友利さんは本気だったようで、翌日面接が組まれていました(笑)」

隆生さん「友利さんから急に、そっちで働きたい人がいるから連れていくと連絡が来てね。だけど結局、面接という面接はしてないよね?!」

泉川さん「雑談でしたね(笑)。だけど気づけば、翌日から働くことになりました」

「こんなところで働けるわけがない!」から一転。半年後には仕事の虜に

支援員デビューした初日、泉川さんは唖然としました。

泉川さんは?!こんなところで働けるわけないやし!って思いました。グループホームとは障がいのレベルが全然違っていたんです。廊下で叫ぶ人や後ろからついてくる人、すべてが恐怖でした。こんなところにいたら自分が狂いそうだと。初日はずっと帰りたい、逃げたいと思っていました」

だけど紹介してもらっている手前、せめて1週間は行かないと。そう思った泉川さんは、まず1週間頑張ってみることにしたのだそうです。1週間経過すると、次は2週間、まだいけるかな?3週間頑張ってみようかな?そんな風にやり過ごして半年ほど経った頃、仕事を楽しんでいる自分がいたのだとか。

泉川さん「気づけば仕事の虜でした。利用者さんのことが大好きになっちゃったんです。休みの日にも、あの利用者さん何してるだろうって気になったり。手がかかる子ほど可愛いみたいなやつかもしれません」

「もう辞めたい」と思ったときの理由は全部同じ。だけど踏みとどまったのは...

三好「お話を聞く限り、泉川さんの人柄もあって天職なのかなと感じます。だけど何度も辞めようとしたとか。」

泉川さん「はい。全部で5回、辞めたいと伝えています。辞表を出したのは2回かな?3回?」

隆生さん「2年に一度くらいペースかな(笑)。辞表は2回だね。」

泉川さん「理由は毎回同じなんです。もう無理っていう。現場に出るのがきつい、利用者さんのことを嫌いになりそうで嫌だ、もう限界って。」

三好「どうして毎回踏みとどまったんですか?」

泉川さん「辞めたいと言うたびに、理事長がたくさん話を聞いてくれたんですよ。で、なんか喋ったらすっきりしちゃって。あーなんかすっきりした!やっぱり私、辞めない!って(笑)」

隆生さん「5時間くらい喋って、すっきりしたから辞めるの辞めた!って言って帰っていくから、びっくりですよ!」

自由!!!

隆生さん「ああでも、2回目の辞表のときはやばかったよね。本気度が違うというか。僕も一度受け取って、本当に辞める雰囲気だった。だけど、ね。ある出来事があって、やっぱり辞めるの辞めますって自分から言ってきたんだよね」

三好「ある出来事って、どんなことですか?」

泉川さん「利用者さんが亡くなったんです。基本的に入所施設は医師配置がなく、夜間帯に看護師配置もないので、死が近づいた利用者さんは病院に行くことになるんですが、そのときは皆で話し合って、ここで最後まで見よう、皆で看取ろうという話になって。」

隆生さん「入所施設での看取りはあまり前例がないんですよ。だから試行錯誤しながらだったんだけど、泉川さんが中心になって色々とやってくれました。最後、看取った後ね。やっぱり私、辞めないって。」

泉川さん「看取りを経験したとき、この人にもっとこうしてあげたかった、あれをしてあげたかったって、後悔みたいなものが次々と浮かんだんです。私にはまだやり残したことがある。だから辞めないことにしたんです」

隆生さん「それからは、今のところまだ辞めるって言ってないよね」

貯め込まずに話すように。そして今は、やり残したことをやる日々

ものすごい愛嬌で、ずっと素敵な笑顔を見せる泉川さん。ですが人が好きだからこそ、嫌いになりそうだと悩んだり、辛いことを貯め込みやすいのかもしれません。

泉川さん「今はなるべく、嫌だと思ったら貯め込まずに伝えるようにしています。理事長も恵さんも、とても聞き上手なので。」

隆生さん「昨日も恵さんとお茶しに行ってなかった?」

泉川さん「昨日も3時間くらい聞いてもらいました(笑)。恵さん、聞き上手だから盛り上がっちゃって」

貯め込まなくなった泉川さんから出るオーラの無敵感。そして「やり残したことがある」という使命感からなのか、泉川さんからは底知れぬ強さのようなものをずっと感じます。だから第一印象で「何度も辞めようとした人」だと思えなかったのかもしれません。看取りの経験前にお会いしていたら、印象が違っていたのかも。

ちなみに、入所施設で利用者さんを看取る、という行為は業界としてもとても稀なことだそう。全国の障がい者福祉施設が集まる会で、泉川さんが登壇して今回の看取りについてお話をされたそうですが、大変反響があったそうです。

今回、看取りについてもお話を聞かせていただいたので、次回記事にてお伝えします!

◎海邦福祉会は、無資格・未経験の方も募集しています。
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