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#思春期
クローバー@Hokkaido
明日は首が隠れる服を着てきて。
そう書いてあった。雪だるまの絵と一緒に。
その前日、私は1ページ書き込みを増やしたノートの上に、白い封筒を置いた。自由に使えるお金がない私は、なにも贈れるものがない。それを知っていた彼から、この封筒を渡された。開くと立体的な雪だるまが飛び出すグリーティングカード。雪だるまのお腹を押すと、メッセージが録音できる。ピッ、という音を聞いて、私は息を吸い込んだ。
向かっ
ペットボトルの緑茶@Hokkaido
自動ドアが開く。どんよりいつもの曇り空。海沿いのこの街は、霧が多く夏も涼しい。教室の誰より早くビルを出た。長期休暇の講習会にしか参加しない私には、どうせ知り合いもいない。正面から少し離れたところに、見慣れたグレーの車が停まっている。さっと乗り込んだそれは、親の車ではない。
海沿いの国道を走る。助手席には座れない。この辺りの海は、沖に出ると突然深くなる地形だそうで、全面遊泳禁止だった。そのうち車は
Open sesame@Hokkaido
キキ、とブレーキの音がして、車が停まった。後部座席、助手席の後ろ座っていた私は軽く背中を打った。このまままっすぐ進めば、公園が右手に見えてきて、もうすぐ着く。でもここはずいぶん手前の、周りに何もないただの道。住宅街だが車も人もあまり通らない。画質の悪いホラーゲームに出てきそうな暗い街だ。
いきなり明るくなって反射的に瞬きをした。車内のライトが点いたんだ、ドアを開けたら自動で点くやつ。続けてバン、