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映画館納めたよ

悩んでいた。
携帯を握りしめてはずっと悩んでいた。あ、スマホか。
スマホで目黒シネマのサイトを見ては一ヶ月くらい前からずっと悩んでいたのだ。
なにを悩んでるって、「今年の映画納めにいかがでしょうか」と謳われた「パルプフィクション」を観に行くか否かだ。

もう、ものすごく好みなジャケット!!!!(?
美人な切りっぱなしボブの女性がヤニを吸っている姿が好きなのは、LEONを好きな人の本能なのかもしれない。わたしのことなのですけれど。
この赤地に黄色い文字のロゴも一昔前の海外って感じで、たまらなく好きだ。

何がわたしを悩ませていたかって、その上映時間の長さだ。こんなに映画好きを公言しているのに、普段120分の映画でも観るのをちょびっと躊躇ってしまう。100分前後が一番ちょうどいいと思っている。
本作品は154分。「めっちゃ観たかったやつ!!!!!!」のすぐあとに、「Oh...super long…ナノネ…」となったのだ。

腰が重かったわたしを何が奮い立たたかって、目黒シネマさんのTwitterである。
目黒シネマさんでは、普段混雑具合をツイートしてくれるのだが、ある日たまたまTwitterを見ていると、
「本日満席になっております」
とのツイートを見かけて、わたしは目ん玉が飛び出た。そして自分で戻した。

目黒シネマさんは、普段平日に行くことが多いのだけども、基本的には好きな席を選べるくらいに空いている。

ショーシャンクの空にと同時上映だったのもあるのかと思うが、満席という言葉を見て超ミーハーなわたしは重い腰が天使の羽ランドセルくらい軽くなった。

そしてその日撮影会を終え、上映開始までの時間カフェで仕事をして過ごしたのだが、その間にもTwitterで残席情報が更新されていく。
段々ソワソワしてきたわたしは、目黒の乾いたビル風が吹きすさぶ中目黒シネマに向かった。こういう時の気温って忘れない。
競歩選手もびっくりするスピートで歩き、劇場に着く頃は汗がにじんでいた。
いつも表に出ている看板に混雑状況が書いてあるのだが、なんとこの日は△(空席半分以下)!!!




階段を転げ落ちるように地下へ向かい、券売機でチケットを買った。ちなみにこの日でスタンプが5個貯まったので次回は無料で2本映画鑑賞が出来る。すごすぎるサービスである。

会場までロビーで過ごすのだが、目黒シネマさんのロビーは博物館なのだ。
当時の貴重な雑誌の記事や、ポスターなんかが貼ってある。それが頻繁に上映に合わせて変わるわけだから、スタッフさんの映画への愛が冬に食べるおでんくらい染みる。まるで幼稚園の壁画を作る先生のようだ。

今回も壁に張り巡らされているショーシャンクの空にと、パルプフィクションの記事を読みまくる。期待値が限界メーターを振り切る。

会場時間近くになり、整理番号順に呼び出される。ちなみにわたしは35番。
階段に並ぶのも初めて。

「ショーシャンクの空に」を観終わった人たちが次々と出てくる。
「すっごい並んでる~!!」という声も聞こえる。しかも、国籍を問わない老若男女が次々と押し出されていく。
「今からそんなすごい映画を観るんだ、、!」と思うと興奮と緊張が涙に変わって滲み出てくる。(こういう時涙出てくるタイプ

とにかくここまでの一連の流れてめちゃくちゃ満足してしまったわたしは「もうどうにでもなれ~~」という気持ちで2時間半の冒険に出かけた。

冒険終了。

ヒョーーー!

ほぼ事前情報なしで観たので、時系列の点でちょいと難しい部分もあったけど、ギャングと一緒に何気ない日常を過ごした気分!!!
いや、人をあれよあれよと殺めたりするものですから、全然日常ではないんだけど、これは「ギャングの日常」なのだ。
ただの、といってあはなんだけど、「ギャング界」で言ったらなんでもない日常。
それをコミカルに、ものすごい構成で、2時間半もあるのにまったく飽きさせずに描くものだから、感嘆のため息が50秒くらい出た。


クリスマスを過ごしたつがいたちは、「あのシーンってあのシーンと繋がるの!?♡」という話で盛り上がったのだろう。と、わたしは帰りの電車でネタバレサイトを読みながら思った。

サタデーナイトフィーバーとパルプフィクション、ジョントラボルタの2枚目役を続けてみたところで、ファナティック ハリウッドの狂愛者のヤバイ役をもう一度みたいな~なんて吐いた息が、目黒の真っ黒い空に消えた。

ちゃんちゃん

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