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シュレディンガーのひきこもり

この部屋のカーテンを開けなくなって
十数年が経った頃

今日も閉め切ったドアの前に運ばれた
夕食のラップに光る水滴
温かい飯の湯気はのぼることを許されず
閉じ込められて集まって大きくなった

僕はと言えば何の変化もない
当然のことにふと悲しくなる

誰からも観測されることのない存在
生きているのか死んでいるのか
僕が確定するのはいつのことか
まだ当分はこのままがいい

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